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【東京世界柔道選手権2019特集】志々目vsケルメンディが準々決勝、勝者は準決勝で阿部詩と激突・女子52kg級直前展望

東京世界柔道選手権2019組み合わせ(公式サイトippon.org内)

阿部と志々目。 Photo: IJF

エントリーは57名。「概況×有力選手」で示した予想からの、シード選手配置の変更はなし。階級の現況や王者3名の相性についてはこの「概況×有力選手」、有力選手の特徴や得意技、実績については「有力選手(選手名鑑)」を参照頂きたい。

シード予想のとおり、阿部詩(日本体育大1年)がプールC、志々目愛(了徳寺大職)とマイリンダ・ケルメンディ(コソボ)がプールDに配されて後者2人が準々決勝で早くも戦うこととなった。それぞれの対決のシミュレーションは「概況×有力選手」で詳細に行っているためそちらをご参照いただきたいが、ここを勝ち上がった選手の優勝はぼぼ間違いない。組まれたカードのレベルの高さを考えるならば、実質的に3試合続けて決勝が行われると言ってもよいだろう。今大会は阿部と志々目の東京五輪の代表争いにおける最大の山場であり、どちらかが優勝した場合にはその優位は決定的なものとなる。また、今回の結果によって東京五輪における日本代表対ケルメンディの力関係が規定されることとなり、東京五輪で日本がケルメンディを迎え撃つのか、それとも挑むことになるのかが決まることになる。日本の強化にとって今後1年を過ごす上でのこの「立場」の差は実はかなり大きい。果たして誰が勝利を手にするのか、終盤の試合は一瞬も目が離せない。あらゆる準備を整えて、瞬き厳禁で観戦に備えたい。

なお、上側の山ではアモンディーヌ・ブシャー(フランス)とナタリア・クズティナ(ロシア)の勝ち上がりが有力視される。どちらも世界大会の決勝進出は初であり、ベテランのクズティナにとっては30歳で訪れた千載一遇のチャンス。こちらも熱戦となること確実だ。

有力選手の配置、各プールのひとこと展望は下記。

マイリンダ・ケルメンディ KELMENDI Majlinda (KOS)
マイリンダ・ケルメンディ

【プールA】
第1シード:アモンディーヌ・ブシャー(フランス)
第8シード:アナ・ペレス=ボックス(スペイン)
有力選手:アンジェリカ・デルガド(アメリカ)、エレウディス・ヴァレンティン(ブラジル)、ジョアナ・ラモス(ポルトガル)

アモンディーヌ・ブシャー(フランス)の勝ち上がりが確実。上側の山は有力選手のいない空白域であり、それに加えてこの選手は良くも悪くも実力どおりに結果を出すタイプ。格上に勝つことはほとんどないが、勝てる相手には徹底的に勝つ。混戦模様の下側の山からはアナ・ペレス=ボックス(スペイン)が勝ち上がってくると思われるが、ブシャーの敵ではないだろう。

【プールB】
第4シード:シャーリン・ファンスニック(ベルギー)
第5シード:ナタリア・クズティナ(ロシア)
有力選手:ファビアン・コッヒャー(スイス)、エカテリーナ・グイカ(カナダ)、アレクサンドラ=ラリサ・フロリアン(アゼルバイジャン)、ルハグヴァスレン・ソソルバラム(モンゴル)、アニャ・スタンガル(スロベニア)、オデッテ・ジュッフリダ(イタリア)

このトーナメント最大の激戦区。準々決勝のカードはシャーリン・ファンスニック(ベルギー)対ナタリア・クズティナ(ロシア)でまず間違いないと思われるが、下側の山にはルハグヴァスレン・ソソルバラム(モンゴル)、アニャ・スタンガル(スロベニア)、オデッテ・ジュッフリダ(イタリア)ら組み合わせ次第で上位進出が狙えるレベルの選手が詰め込まれている。なかでもジュッフリダは得意技が実力差を飛び越えやすい足技であり、本トーナメントにおけるダークホース候補の第一。調子次第ではクズティナとファンスニックを食って勝ち上がる可能性もある。順当であればクズティナのベスト4進出となるはずだが、ジュッフリダの試合には常に注意を払っておきたい。

【プールC】
第2シード:阿部詩(日本体育大1年)
第7シード:エヴェリン・チョップ(スイス)
有力選手:ラリッサ・ピメンタ(ブラジル)、ディヨラ・ケルディヨロワ(ウズベキスタン)、エストレーヤ・ロペス=シェリフ(スペイン)、ジェフェン・プリモ(イスラエル)、チェルシー・ジャイルス(イギリス)、ビシュレルト・ホルロードイ(モンゴル)、タシアナ・セザル(ギニアビサウ)

阿部詩(日本体育大1年)の勝ち上がりが確実。勝敗という意味での見どころには乏しいが、このブロックにはブラジルの新1番手となった20歳のラリッサ・ピメンタ(ブラジル)と昨年来躍進著しい19歳のジェフェン・プリモ(イスラエル)が配されている。組み合わせでは阿部の初戦(2回戦)の相手がピメンタであり、ここが一応の最初の山場。下側の山ではシード選手のエヴェリン・チョップ(スイス)とプリモが3回戦を争い、その勝者が準々決勝で阿部に挑むこととなる。どちらが上がってきても阿部の敵ではなく、余裕を持って次戦の大一番に備えることができるだろう。

【プールD】
第3シード:志々目愛(了徳寺大職)
第6シード:マイリンダ・ケルメンディ(コソボ)
有力選手:アレシア・クズネツォワ(ロシア)、パク・ダソル(韓国)、レカ・プップ(ハンガリー)、アンドレア・キトゥ(ルーマニア)、アガタ・ペレンク(ポーランド)

志々目愛(了徳寺大職)とマイリンダ・ケルメンディ(コソボ)が配された死のブロック。志々目の3回戦の相手を決める上側下部にはアレシア・クズネツォワ(ロシア)、パク・ダソル(韓国)、レカ・プップ(ハンガリー)、アンドレア・キトゥ(ルーマニア)の有力選手4名が詰め込まれており、1回戦からなかなかにハイレベルなカードが組まれている。誰が勝ち上がってきても志々目の相手にはならないと思われるが、キトゥは柔道の質が荒っぽいパワーファイターであり、この選手が上がってきた場合には怪我を悪化させないように注意が必要。

下側の山はケルメンディ以外にはアガタ・ペレンク(ポーランド)がいるくらいであり、順当にケルメンディが3回戦でこの選手を破りベスト8に勝ち上がるだろう。

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