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【東京世界柔道選手権2019特集】芳田司は初戦でルスヴォと対戦、続く山場は準決勝・ 女子57kg級直前展望

→東京世界柔道選手権2019組み合わせ(公式サイトippon.org内)

芳田司 YOSHIDA Tsukasa
芳田司

エントリーは56名。「概況×有力選手」で示した予想からの、シード選手配置の変更はなし。有力選手の特徴や得意技などは「有力選手(選手名鑑)」を参照されたい。

芳田司(コマツ)と出口クリスタ(カナダ)はシード予想のとおり第1シードと第2シードに配され、対戦が実現するのは決勝となる。両者の過去の戦歴については「概況×有力選手」を参照いただきたいが、今回も競った内容となること確実。ライバル同士の熱戦に期待したい。

組み合わせでは芳田の方が厳しい配置となっており、第1シードながら初戦(2回戦)で2013年世界3位の強豪エレーヌ・ルスヴォ(フランス)と対戦せねばならない。この選手との対戦成績は2勝1敗だが、最近は2連勝。まず敗れることはないと思われるが、初戦からある程度の消耗を覚悟せねばならないだろう。ただし、ここさえ抜ければ以降はベスト4までに当たる強豪は3回戦でサンネ・フェルハーヘン(オランダ)、準々決勝でティムナ・ネルソン=レヴィー(イスラエル)と比較的戦いやすい相手が続くことになる。まずは初戦に集中だ。プールBからはラファエラ・シウバ(ブラジル)とジェシカ・クリムカイト(カナダ)の勝者が勝ち上がってくる可能性が高く、仮にシウバがこのステージまでくるとすれば、これは好調ということ。好調のシウバほど恐ろしい相手はおらず、芳田は今年5月のグランドスラム・バクー決勝でシウバに敗れている。出口との対戦に力を残すためにもここはできるだけ消耗なく勝ち抜けたいが、厳しい戦いとなることは間違いないだろう。ただし、クリムイトとシウバではクリムカイトの方が相性的に分がよいため、クリムカイトが勝ち上がってくてる可能性の方が高い。

一方の出口の側は、プール内に障害となるような選手はおらず、ベスト4進出はほぼ確実。プールDからは近ごろの調子から山梨学院大の後輩であるキム・チス(韓国)が勝ち上がってくると思われるが、ここも問題なく勝ち上がれるだろう。

有力選手の配置、各プールのひとこと展望は下記。

ラファエラ・シウバ SILVA Rafaela
ラファエラ・シウバ

【プールA】
第1シード:芳田司(コマツ)
第8シード:ティムナ・ネルソン=レヴィー(イスラエル)
有力選手:エレーヌ・ルスヴォ(フランス)、サンネ・フェルハーヘン(オランダ)、ユリア・コヴァルチュク(ポーランド)、キム・ジャンディ(韓国)

芳田司(コマツ)の勝ち上がりと予想。内容は本文を確認されし。

【プールB】
第4シード:ラファエラ・シウバ(ブラジル)
第5シード:ジェシカ・クリムカイト(カナダ)
有力選手:テルマ・モンテイロ(ポルトガル)、ダリア・メジェツカイア(ロシア)、ミリアム・ローパー(パナマ)、セヴァラ・ニシャンバエワ(カザフスタン)

ラファエラ・シウバ(ブラジル)とジェシカ・クリムカイト(カナダ)が勝ち上がり候補。シウにはテルマ・モンテイロ(ポルトガル)、クリムカイトとにはダリア・メジェツカイア(ロシア)と、それぞれ初戦(2回戦)の相手に表彰台レベルの強者が置かれているが、どちらも敗れる可能性は低い。

クリスタ・デグチ DEGUCHI Christa
クリスタ・デグチ

【プールC】
第2シード:クリスタ・デグチ(カナダ)
第7シード:テレザ・シュトル(ドイツ)
有力選手:アナスタシア・コンキナ(ロシア)、ルー・トンジュアン(中国)、ヨワナ・ロギッチ(セルビア)、ザブリナ・フィルツモザー(オーストリア)、サハ=レオニー・シシク(フランス)、アンナ・ボロフスカ(ポーランド)

出口クリスタ(カナダ)の勝ち上がりが確実。下側の山からはテレザ・シュトル(ドイツ)が勝ち上がってくると思われるが、この選手は素直な足技系パワーファイターであり、出口にとっては戦いやすい相手だと思われる。そもそもこの下側下部には近頃成長著しい若手のサハ=レオニー・シシク(フランス)が置かれており、こちらが勝ち上がってくる可能性も十分にありえるだろう。この選手もタイプとしてはシュトルと同系統であり、出口ならば問題なく勝利できるはず。なお、シシクは1回戦で39歳の大ベテラン、ザブリナ・フィルツモザー(オーストリア)との対戦が組まれており、これは序盤戦における注目カード。

【プールD】
第3シード:ノラ・ヤコヴァ(コソボ)
第6シード:ネコダ・スミス=デイヴィス(イギリス)
有力選手:レン・チェンリン(台湾)、キム・チス(韓国)、イヴェリナ・イリエワ(ブルガリア)、ヘドウィグ・カラカス(ハンガリー)

ノラ・ヤコヴァ(コソボ)にノラ・ヤコヴァ(コソボ)と階級上位のパワーファイター2名が置かれた山。通常であればこの両者のどちらかの勝ち上がりを予想すべきだが、ここではあえてキム・チス(韓国)がベスト4に進むと予想する。キムは今年大学に進学したばかりのジュニア選手だが、国際大会では既に結果を残しており、ヤコヴァにも過去2勝と勝ち越している。日本の団体戦文化のなかで育ったためか、大型のパワーファイターを得意としており、そのタイプが多く置かれたこのプールは勝ち上がりやすいはずだ。最大の山場は2回戦のスミス=デイヴィス戦。キムはこの選手には2018年2月のグランドスラム・パリで敗れている。この試合が接戦でむしろキムが優位に戦っていたこと、あれから1年半が経過していることやキムの最近の戦いぶりを考えるならば今回は勝利可能と思われるが、相手は昨年の世界選手権銀メダリスト。一筋縄では勝たせてもらえないだろう。ここを勝ち上がった選手がそのままベスト4に上がると思われ、これが芳田司(コマツ)対エレーヌ・ルスヴォ(フランス)に続く序盤戦最注目カードだ。韓国の2番手選手であるキムとしては、今回怪我で欠場のクォン・ユジョン(韓国)との差を縮めるためにも、なんとしても勝ちたいところ。

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