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【東京世界柔道選手権2019特集】「一強」ビロディドに挑む強豪たち、対抗一番手は渡名喜風南・女子48kg級概況×有力選手

階級概況

東京世界柔道選手権2019、女子48kg級実力推測マップ
女子48kg級実力推測マップ。
ダリア・ビロディド
現役世界王者のダリア・ビロディド。 写真提供:Judoinside

現役世界王者のダリア・ビロディド(ウクライナ)が実力で一段抜けている。トップグループの選手たちが束になってこの「一強」に挑むというのがこの階級大枠の構図だ。ビロディドは昨年大ブレイク、弱冠17歳で世界選手権金メダリストの座を得たばかりか、年間出場試合全勝と圧倒的な強さを誇った。今年3月のグランプリ・トビリシでは遥か格下のメラニー・クレモン(フランス)に大外巻込と隅落の合技「一本」でまさかの一敗を喫しているが、この日は準決勝でもエヴァ・チェルノヴィツキ(ハンガリー)に袖釣込腰で「技有」(「一本」級であった)を奪われるなど明らかにコンディション不良。6月のヨーロッパ選手権では2人をともに「一本」で下してあっさり優勝を飾っており、しっかりピーキングを行った際の強さはやはり別格。よほどのアクシデントが起こらない限り、高い確率で優勝はビロディド。大本命である。

渡名喜風南 TONAKI Funa
日本代表は渡名喜風南

追撃1番手は、2017年ブダペスト世界選手権王者の渡名喜風南(パーク24)。渡名喜は昨年のバクー世界選手権決勝でビロディドに苦杯を喫して以来1度も黒星がなく、トップグループの中にあってもその力は頭ひとつ抜けている。相性を抜きにした序列だけで言えば、最強の挑戦者は渡名喜と断じて間違いない。前回はビロディドのパワーとリーチの長さを攻略できずに遠間からの左大内刈「一本」で敗れているが、あれから1年を経て相応の策を用意しているはず。あの決勝は用意した作戦がいかなるものであったのか測りがたいほどの一方的な内容であったが、今度はどのような戦いを見せてくれるか。極端に大きいビロディド、最軽量級にあってもひときわ小さい渡名喜。互いが懐に呑んで来る作戦を想像するだけで心躍る対戦だ。

渡名喜を2番手として一段高い位置と捉え、続くムンフバット・ウランツェツェグ(モンゴル)、ガルバドラフ・オトゴンツェツェグ(カザフスタン)、パウラ・パレト(アルゼンチン)らが属するクラスタを図内で「トップグループ」と規定した。このレベルの選手は渡名喜同様いずれもビロディドを強く意識して大会に備えており、それぞれが己の特性を生かしたカスタム戦術を披露してくれるはず。これは第1日の大きなみどころ。ビロディドの強さだけでなく、名だたる強者たちがビロディドの身長の高さや体の強さをどう噛み砕き、いかに対策してくるか。対戦あるたび、この「策」が楽しめる1日でもある。その最大のハイライトが渡名喜との再戦だ。

表彰台争いについて。上記「トップグループ」にクレモンやジュリア・フィゲロア(スペイン)ら第2グループの上位陣を加えたところまでがベスト8圏内。ただしこの2つのグループ間には明らかに一段力の差があり、ベスト8はトップグループで占められると考えておくのが事前予測としては妥当。

有力選手

下記リンク「選手名鑑・女子48kg級(東京世界選手権2019特集)」を参照されたい。現時点では有力9名の選手の柔道の傾向、組み手、得意技、実績などを紹介している。(追加の場合あり)

シード予想

東京世界柔道選手権2019、女子48kg級シード予想
女子48kg級シード予想。ビロディドと渡名喜の両王者は山が分かれ、再戦の実現は決勝となる。

渡名喜風南(パーク24)とダリア・ビロディド(ウクライナ)はそれぞれ第1、第2シードとして山が分かれ、対戦が実現するのは決勝。シード選手のみで考えた場合にはビロディドの方が厳しい組み合わせで、準々決勝でイリーナ・ドルゴワ(ロシア)、準決勝ではムンフバット・ウランツェツェグ(モンゴル)とガルバドラフ・オトゴンツェツェグ(カザフスタン)の勝者と対戦予定となっている。一方の渡名喜は準決勝でパウラ・パレト(アルゼンチン)とディストリア・クラスニキ(コソボ)の勝者と対戦せねばならないものの、準決勝というステージの高さを考えるならばこれは相手として妥当。準々決勝で対戦予定のミリカ・ニコリッチ(セルビア)とは率直に言ってかなり力の差があり、余力を残して決勝ラウンドに進むことができるはずだ。

カン・ユジョン KANG Yujeong
ノーシードのカン・ユジョンの配置が気がかり

ただし、これはあくまでシード選手について考えた場合。カン・ユジョン(韓国)とエヴァ・チェルノヴィツキ(ハンガリー)の強者2名がシードから漏れており、その配置次第でトーナメントの様相は大きく変わることとなる。渡名喜とビロディドの勝ち上がり自体は揺るがないと思われるが、仮にこの2名と序盤戦でマッチアップとなれば早い段階での消耗が必至。可能ならば別のプールに配されてほしいところだ。

【プールA】
第1シード:渡名喜風南(パーク24)
第8シード:ミリカ・ニコリッチ(セルビア)

【プールB】
第4シード:パウラ・パレト(アルゼンチン)
第5シード:ディストリア・クラスニキ(コソボ)

【プールC】
第2シード:ダリア・ビロディド(ウクライナ)
第7シード:イリーナ・ドルゴワ(ロシア)

【プールD】
第3シード:ムンフバット・ウランツェツェグ(モンゴル)
第6シード:ガルバドラフ・オトゴンツェツェグ(カザフスタン)

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