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【東京世界柔道選手権2019特集】田代未来が王者2人と連戦、注目は3強直接対決の決勝ラウンド・女子63kg級直前展望

→東京世界柔道選手権2019組み合わせ(公式サイトippon.org内)

田代未来
昨年の銀メダリスト田代未来

エントリーは46名。「概況×有力選手」で示した予想からの、シード選手配置の変更はなし。選手の得意技や特徴、実績については「有力選手(選手名鑑)」を参照頂きたい。

階級の3強はシード予想のとおり、クラリス・アグベニュー(フランス)がプールA、ティナ・トルステニャク(スロベニア)がプールC、田代未来(コマツ)がプールDに配された。それぞれの対戦の相性的な予想は「概況×有力選手」をご確認いただきたいが、プロセスはともかくとして決勝にはアグべニューと田代が勝ち上がる可能性が極めて高い。両者の戦績はアグベニューの8勝1敗。しかし、田代が唯一勝利した2017年12月のワールドマスターズ・サンクトペテルブルク以来、戦う度にその差は詰まってきている。果たして東京五輪を来年に控えて王者交代は起こるのか。今大会の結果で東京五輪までの力関係が規定されることになり、復権を狙うもと王者トルステニャクも含め、3強の勝ち上がりから目が離せない。

なお、以降の争いは全員にチャンスがあると言っても過言ではない大混戦となっている。実力的には第4シードのマルティナ・トライドス(ドイツ)がやや抜けているように思われるが、この選手はこれまでに世界選手権でなぜか力を発揮しきれず、これまで5位2回、7位2回とメダルをまだ持っていない。トライドスが自身初のメダル獲得を果たすのか、それとも他の選手がそれを阻むのか。前述の3強によって表彰台は3枠までが埋まると思われ、残る枠は1つ。激しい3位争いにも注目したい。

有力選手の配置、各プールのひとこと展望は下記。

クラリス・アグベニュー
2連覇中のクラリス・アグベニュー

【プールA】

第1シード:クラリス・アグベニュー(フランス)
第8シード:マイリン・デルトロ=カルバハル(キューバ)
有力選手:アリス・シュレシンンジャー(イギリス)、ギリ・シャリル(イスラエル)、バルドルジ・ムングンチメグ(モンゴル)

クラリス・アグベニュー(フランス)の勝ち上がりが確実。初戦(2回戦)の相手には実力者のアリス・シュレシンンジャー(イギリス)が配されたが、まず敗れることはないはずだ。一方、下側の山は絶対的な勝ち上がり候補不在の混戦となっている。実力的にマイリン・デルトロ=カルバハル(キューバ)の勝ち上がりを予想するが、ギリ・シャリル(イスラエル)、バルドルジ・ムングンチメグ(モンゴル)にも十分ベスト8進出のチャンスがある。

【プールB】
第4シード:ユール・フランセン(オランダ)
第5シード:マルティナ・トライドス(ドイツ)
有力選手:ケトレイン・クアドロス(ブラジル)、カトリン・ウンターヴルツァハー(オーストリア)、タン・ジン(中国)、カロリナ・タラフ=ガスト(ポーランド)、ダリア・ダヴィドワ(ロシア)、エドウィッジ・グウェン(イタリア)

3強が唯一配されていない激戦区。置かれている選手の顔ぶれも昨年3位のユール・フランセン(オランダ)とマルティナ・トライドス(ドイツ)を筆頭に上位陣が揃っている。ベスト8への勝ち上がり候補は前述の2名だが、フランセンは初戦(2回戦)でケトレイン・クアドロス(ブラジル)、3回戦でカトリン・ウンターヴルツァハー(オーストリア)とタン・ジン(中国)、カロリナ・タラフ=ガスト(ポーランド)の勝者と戦わねばならず、端的に言って過酷。全員がワールドツアー上位常連の実力者であり、誰が勝ち上がってもおかしくない。一方下側の山も混戦で、2回戦でダリア・ダヴィドワとエドウィッジ・グウェン(イタリア)がトライドスへの挑戦権を賭けて争う。こちらはトライドスの勝ち上がりが濃厚だが、ダヴィドワは今年2月のグランドスラム・デュッセルドルフで2位、3月のグランドスラム・エカテリンブルクで優勝と極めて好調。簡単には勝たせてもらえないだろう。

【プールC】
第2シード:ティナ・トルステニャク(スロベニア)
第7シード:キャサリン・ブーシェミン=ピナード(カナダ)
有力選手:ルーシー・レンシャル(イギリス)、キャサリン・ブーシェミン=ピナード(カナダ)、アレクシア・カスティルホス(ブラジル)、ボルド・ガンハイチ(モンゴル)、ハンナ・マーティン(アメリカ)、インバル・シェメシュ(イスラエル)、マリア・セントラッキオ(イタリア)

ティナ・トルステニャク(スロベニア)の勝ち上がりが確実。このブロックに置かれている有力選手にトルステニャクの地力の高さと馬力に伍しうる存在はおらず、それほど揉めることなく勝ち上がるはずだ。下側の山からはシード選手のキャサリン・ブーシェミン=ピナード(カナダ)の勝ち上がりを予想するが、この選手もスタミナでガツガツ前に出るタイプであり、上位互換モデルのトルステニャクの相手にはならないだろう。

【プールD】
第3シード:田代未来(コマツ)
第6シード:サンネ・フェルメール(オランダ)
有力選手:ヤン・ジュインシア(中国)、ハン・ヒジュ(韓国)、ラーケ・オルセン(デンマーク)、カタリナ・ヘッカー(オーストラリア)、アガラ・オズドバ=ブラフ(ポーランド)、マグダレナ・クルサコワ(オーストリア)、キヨミ・ワタナベ(フィリピン)

勝ち上がり候補は田代未来(コマツ)。ただしアグベニューと同様に初戦(2回戦)から面倒な相手を引いており、いきなり階級屈指の粘戦パワーファイター、ヤン・ジュインシア(中国)の挑戦を受けねばならない。敗れることはまずないだろうが、粘られて消耗させられる可能性はあり、ここをいかに早く切り抜けられるかが以降の戦いに影響するはずだ。一方、下側の山ではベスト8での田代への挑戦権を賭けてサンネ・フェルメール(オランダ)、カタリナ・ヘッカー(オーストラリア)、アガラ・オズドバ=ブラフ(ポーランド)、マグダレナ・クルサコワ(オーストリア)、渡邊聖未(フィリピン)と、これだけの強豪が潰し合いを行うことになる。各選手の力は競っており、誰が勝ってもおかしくない大混戦だ。

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