【東京世界柔道選手権2019特集】【eJudo’s EYE】強すぎる大野将平、出口クリスタ悲願の優勝と出来上がりつつある57kg級新勢力図・第3日評
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文責:古田英毅
撮影:乾晋也、辺見真也
強すぎる大野将平
「大野将平が強すぎる」。もう、これ以外にこの階級は書くべきことがないくらい。そのくらいの圧勝だ。eJudo’s EYE不成立。勝ち抜くにあたりどこか「異常さ」が必要な現代の競技柔道にあって、強さそれ自体の異常さを以て頂点に辿り着いたのは今大会の全14階級通じてこの大野将平と52kg級の阿部詩のみ。第2日評で丸山の佇まいを「まるでファスナーを開けて丸山の皮の下から大野が現れたよう」と書かせて頂いたのだが、当たり前だが大野は大野。まったくモノが違った。
レポート記事でその強さ存分に描写させて頂いたので、序盤戦部分はこれを引用させて頂く。今読んでも、当日の臨場感十分。
<大野の強さは段が違った。並みいる強豪をなで斬り、というよりも大人が中学生に稽古をつけるかのような、単に全試合一本勝ちという記録だけでは到底表現しかねる異次元の強さで全6試合を終わらせた。初戦(2回戦)の強豪ミクロス・ウングヴァリ(ハンガリー)戦は両足を畳につけて仁王立ち、どこでも持てば一緒とばかりに釣り手で脇下あたりを握ると、一瞬だけ足を畳から離したその瞬間に投げを決めて内股「一本」、4回戦ロンドン五輪王者66kg級王者のラシャ・シャヴダトゥアシヴィリ(ジョージア)戦も背筋を伸ばして仁王立ち、周囲をひらひら動く昆虫を平手でたたき落とすかのように突如動きを起こすなり大外刈「一本」。準々決勝で世界ジュニア王者ビラリ・ジログル(トルコ)がまったく組み合わずに掛け逃げと組み手の切り離しを続けると、「それではダメだよ」とばかりに絞め上げ、強引に腕を引っ張り出して腕挫十字固「一本」。あたかも先輩相手に醜い稽古を演じた後輩に「わからせてやる」がごとく。ジログルが肘を抑えて悶絶する様には、大野相手に下手な試合をしたら単に負けるだけでは済ませてもらえない、というような迫力が漂った。>
続きは同記事と後半に掲載の「全試合戦評」をお読み頂くとして。
ここでは大野が単に自己の強さを追求するのみならず、周囲の対策や技術トレンドをしっかり測った上で絶対に負けない技術体系を練り上げているということを取り上げるべく、第2日評で書いた「後の先の先鋭化」というトレンドに沿って2つの場面をピックアップする。準決勝のデニス・イアルツェフ(ロシア)戦と決勝のルスタン・オルジョフ戦は、極端に体が長く投げにくい両選手を攻めに攻めまくったわけだが、イアルツェフ戦の2分53秒に仕掛けた右内股では敢えて掛け切らずに自ら膝を着いていったん技を止め、相手が膝から落ちてから回旋と押し込みを再開して「技有」を奪っている(事後取り消し)。明らかに相手の「際」を狙った隅落を警戒してのアクション。そのまま押し込んだら釣り手側に崩されて余計な「技有」を失い、「押しに押しているのに、ゆえに返し技一発に沈んだ」というジャイアントキリングの典型的なパターンに嵌りかねない場面だった。これを単に中断するのではなく「止める」行為をテクニカルな踏み台として「取る」ステージまで持って行ったことも凄みが漂う。
また、決勝では間合いの遠いところから脚を突っ込んで内股一撃、相手の体が外側に逃げると、軸足で追いかけて押し込むのではなく、大きく開脚する形で横に追いかけて引っ掛かりをキープして投げ切った。これはこれまでも(丸山城志郎も同じ技術を使う)見せているが、相手が自ら飛ぶことでポイントを回避する事態や股中で捌いての内股透、隅落をさせぬままに投げ切るための「詰める」技術。
単に「後の先の先鋭化」という次の競技トレンドに目が向いているという一事を語りたいわけではなく、これも第2日評で語った「入り口と出口、分岐をしっかり踏まえた技術体系の練り上げ」という点で大野が一段先を行っている、その投下された思考の圧倒的な「量」と濃やかさの1つの表れと考えたいということだ。リオ五輪でも、相手の体勢や試合のバックグランド、組み手や重心に応じて次々違う技が繰り出される、即座に最適解を弾き出すまで体に技術体系が入り込んでいる、と唸らされたものだが、純実力でトップの大野がこれほどまでに濃やかに、ミスのないよう、必ず勝てるようにシナリオを練り上げているのだからそれは、勝つ。古風なサムライという切り口で語られることも多い大野だが、知力と実行力を以て「次の世界」を常に先取りしている。格が違うとしか言いようがない。圧巻の1日だった。
「リオ五輪期」に回帰しつつある73kg級
実はこの73kg級、荒れていた。表彰台に残ったメンバーだけを見れば大野にルスタン・オルジョフ(アゼルバイジャン)、ヒダヤット・ヘイダロフ(アゼルバイジャン)にデニス・イアルツェフ(ロシア)で驚きはまったくないのだが、常のツアーの勢力図からするとこの結果は結構なインパクト。ツアーで勝ちまくっている、あるいは存在感を示していた曲者タイプや一芸タイプが上位から一掃されてしまったのだ。アジア選手権でアン・チャンリン(韓国)に一本勝ちして優勝したばかりのツェンドオチル・ツォグトバータル(モンゴル)が1回戦で一本負け、直前のグランプリ・ブダペストで海老沼匡を破って優勝するなどメキメキ売り出し中の「当てて捨てる」(支釣込足・膝車・浮技・横掛)業師アキリ・ヤコヴァ(コソボ)が2戦目で敗退、今期の欧州王者でワールドランキング5位の後の先ファイター、トミー・マシアス(スウェーデン)が初戦敗退、マシアスと並ぶ曲者で昨年のワールドマスターズ準優勝者アルチュール・マルジェリドン(カナダ)が2戦目で敗退。ついでに言えばリオ五輪66kg級金メダリストのファビオ・バジーレ(イタリア)が予選ラウンド敗退。大野のブロックに配された不運があったのでさすがに対象外とすべきかもしれないが、第2シードのラシャ・シャフダトゥアシビリ(ジョージア)も予選ラウンド敗退。順当に収まったのは波の上に浮かぶ表彰台だけで、水面下は嵐に揉まれた大会であったのだ。
現象面で何か共通項を見つけるのは難しいのだが、1つは、新興勢力が登りきれず、結局のところ73kg級世界は地力あるリオ五輪組の回帰に呑み込まれつつあるということ。実はこれは73kg級に留まらない、他の階級でもみられる今大会相似の傾向。稀に見る混戦期を過ぎた81kg級も柱になる選手は定まって来たし、90kg級も面子は変われど「柔道が強い選手を勝負師タイプが凌駕する」というリオ五輪直前期に様相が似て来た。大きく言って、五輪前年という特殊状況が各階級の攪拌を収めつつあると捉えるべきだろう。生き残っているのは地力のある選手ばかり。73kg級の東京五輪は結局大野に今回不出場のアン・チャンリン、アゼルバイジャン勢(オルジョフかヘイダロフ)にプラス1(これは変動する。今回はイアルツェフが入った)という順当なところで表彰台が争われることになりそうだ。
トップ層の力は抜けているがそもそも彼らはさほどツアーに姿を現さず、比較的姿を見かけやすいオルジョフはコンディション次第でパフォーマンスがかなり変わる。ゆえにトップ層が揃ってしかもハイコンディションで出る世界大会では、それ以外の全体の序列が一段下がる。
とひとまず大きく切っておいて良いかと思われる。
もう1つはタジキスタン勢2人の躍進。ともに5位入賞のベフルジ・ホジャゾダとソモン・マフマドベコフ、この2人でツェンドオチル・ツォグトバータルとマシアス、ヤコヴァ、サイインジリガラ(中国)、トハル・ブトブル(イスラエル)を沈めるという大戦果を挙げている。前半戦のインパクトで言えば2人いずれも表彰台クラスだった。両者ともこれという必殺技はないが、地力があって組み手が出来、後の先も巧みと現代柔道の強者の条件を誠実に埋めて作って来た印象。この2人がともに、メダルと「ただの入賞者」を分ける分水嶺である5位に入賞したのは象徴的で「地力が物凄くあって、しっかりした投げがあり、技術を一通り抑えている」という本来的な強者の条件を満たした選手を乗り越えられない選手はそもそも表彰台を争えない、と解釈すべきなのかもしれない。
この項の最後の話題として、地政学的な話を。軽量3階級は日本と中央アジア勢が席捲している。60kg級はこの「日本+中央アジア」が入賞者8名のうち7名を占め(プラス台湾1名なので全員がアジア勢)、メダリスト4名というところまでで言えば60kg級が4名フル、66kg級が2名(プラス韓国1名)、73kg級が3名。12名のメダリスト中実に9名をこの「日本+中央アジア」、10名をアジア地域で占めたわけである。一方、中量級以上で存在感を示す欧州の伝統国は軽量級ではほとんどまったく存在感がない。なんとなく皆感じていたであろう軽量級におけるアジア優位がこれまで以上にハッキリ現れた大会であった。
出口クリスタ戴冠、王者にふさわしい出来
まず優勝した出口クリスタ(カナダ)を心から祝福したい。ここまでの道のり、在外選手としてカナダチームに合流して戦う労苦を外野が軽々に口にすべきではないと思うのでそこは置くが、おめでとうとだけは言わせてもらいたい。全力で。普段書くスタンスと極端に違うのでここでエクスクラメーションをつけるかどうか本当に悩んだのだが、考えた末に書かせて頂く。お許しあれ。「出口選手、おめでとうございます!」
序盤の組み合わせには恵まれたが、予選ラウンドの時点で戴冠を予感させる素晴らしい出来、物凄い集中力だった。決勝までの4試合の試合時間263秒、平均試合時間僅か1分5秒。全試合が見ものだが、ピックアップしたい印象的なシーンは2つ。準々決勝、おそらく次代の主役となる超新星サハ=レオニー・シシク(フランス)に隅落「技有」を奪われながら1分35秒の右足車「一本」で斬り落とした場面と、決勝で芳田から決勝点の裏投「技有」を奪った場面。ミッキーマウス型の髪型がトレードマーク(団体戦では変えていた)のシシクは、モノの良さなら前任のパヴィアやルスヴォより遥かに上、伸びしろは57kg級世界随一と目される大物だが、このシシクを相手にビハインドを負いながら、ケンカ四つの相手が引き手で襟を求めた一瞬に右へのモーメントを作って斬り落としてしまった。反応の良さが売りのシシクが全くついていけない今大会ベスト一本級、スピードと力、投げの筋目正しさ、そして数十秒前に返された(払腰を切り返された)ことに怖じぬ思い切りと出口の良さが凝集された一撃であった。大学時代の停滞前、揚がる勢いであるいはリオ五輪にも絡むのではと思わせた高校時代に振りまいていた魅力、出口の柔道の本来性を思い出させるような技であり、大学卒業後にいきなり上がった「カナダのデグチ」はこれ、という技だった。こういっては何だが「今日は出口が勝つな」とこの段階で率直に思わされたものだ。
芳田戦の裏投については当日のレポート記事でも触れたが、大枠不利な状況で訪れた「相手の立ち際」に絶対に逃げられない解を一瞬で選択。出足払から袖釣込腰、そして相手の立ち際に引き手を胴に巻き付けたまま遠い側へ進出しての裏投と3つ繋いだ技で前年度王者から「技有」を奪って勝利を決めた。こちらは最適解を一瞬で見出す投げ勘、ただ1度だけ訪れたチャンスを逃さぬ集中力と、この日の「巻き上がりぶり」を示すもの。
勝っても勝っても同時派遣で競らされ続けたジェシカ・クリムカイトとの五輪代表争いもさすがに終戦だろう。東京五輪での活躍、非常に楽しみである。
芳田司を救った「王者のクオリティ」
決勝で敗れた芳田だが、率直に言って、例えば力負けとか届かぬ絶望感とか柔道自体あるいは作戦の決定的な構造欠陥とか、そういうものを感じさせるような負けではなかった。オールラウンダーへの傾斜を日々強めて柔道の完成度を増している芳田だが、その傾向ゆえにというべきか、筆者の観察は「コンディショニング次第の人」。芳田の出来不出来は、ピーキングに大きく左右され、例えばこれが上手くいった昨年のバクー世界選手権ではちょっと考えられない域の強さを見せていたし、低調の際は国内でも思わぬもたつきを見せることもある。
では今回はといえば。序盤戦から強敵相手に一本勝ちを連発して結果を残してはいるが、絶頂時に比べれば、少なくとも筆者には決して調子が良いとは思われなかった。特に立ち勝負の動きの端々に好調時の切れがない。果たして準々決勝では伏兵ユリア・コヴァルツィク(ポーランド)に手を焼き、残り8秒まで「技有」をリードされるという大苦戦を演じることとなった。
ただ、ここで芳田らしさが彼女を救った。第2日評から繰り返し述べているこの世界選手権を通じた大きなトピックなのだが、今大会戴冠した選手はほぼ全員が過たず、厳しく自分の柔道を相対化して見つめ、「入り口」「過程」「出口」をしっかり定めた自分なりの技術体系をたゆまず練り上げているものばかり。日本の女子はいったいに出口戦略が甘い傾向があるのだが、芳田はその中にあって数少ない、出口までを見据えて緻密に戦術体系を組み上げている頭脳派。つまり王者のクオリティをしっかり満たしている選手だ。続く準決勝の大一番、リオ五輪女王ラファエラ・シウバ(ブラジル)戦は、相手を置きざりにするような爆発的なコンディションや必殺技こそなかったが、寝技を軸にしたこの「シナリオ体系」自体でシウバを圧倒。着々的確な碁盤の目に石を置き続ける芳田の前に、シウバは試合が進めば進むほど展開を渡すこととなり、最後は、今年メンタル的な安定をテコに再躍進したはずのシウバが、明らかに集中力を失う。ここを右一本背負投「一本」で取り切った。
シウバはご存知の通りメンタルにムラがある選手だが、今年は別人のような安定感を披露。もともとの策士ぶり(3位決定戦では若いシシクを誘い込んでまたもや後の先の派手な一発で叩き落としていた)に加え、ヒットマンスタイルの内股まで盛っていよいよ完成しつつあった段階。正面から力勝負が出来る相手ではなくなりつつある。もし芳田が技一発に頼り、そこに至るまでのルートを演繹的に、「いくつかあればいい」と緩く組み上げるような常の強豪であればたとえハイコンディションでも吹っ飛ばされていただろう。決して良コンディションではなかった芳田が現代の王者の必須要因である「体系を組み上げる」ことに向き合い続けている、いわば王者のクオリティを満たしているがゆえに勝利した一番だと考える。
今のところ、芳田が進む方向に間違いがあるとは思えない。オールラウンダーとして技と戦略を磨き続け、最後に必要な「破れ」はピーキングで満たす。この方向で良いのではないか。五輪は大いに期待したい。
五輪を戦うメンツが見えて来た
とにかく分厚く役者が多彩。どんなオフシーズンの、どんな僻地のツアーでも「面白いトーナメント」が成立してしまう57kg級だが、2020年東京五輪で金メダルを争うメンバーがどうやら見えて来た。
今回ついに頂点を取って絶好調の出口、前年度王者芳田、前述の通りついに安定感を得て人が変わったような「大人の柔道」を披露しているシウバの3名は言うまでもない。この「リオ-東京期」を引っ張った3名のほかに、今大会躍進した3名の名を挙げておきたい。
まずなんと言っても5位入賞の21歳、前述サハ=レオニー・シシク(フランス)。ドサッとした見た目とは裏腹にすさまじい身体能力の高さと投げ勘、そして見た目通りのパワーを誇る。足技も巧み(ヤコヴァ戦であったか、あの体型からの燕返には参った)で教育の筋目の良さを感じさせる。前任のオトーヌ・パヴィアや今大会同時出場のエレーヌ・ルスヴォとはそもそもモノが違う。体型も相まって、例えばジブリス・エマヌ(階級が全く違うが)を想起してしまうような大器だ。良いとは聞いていたがこれほどか、と序盤戦から目をくぎ付けにされたものだが、この選手、明らかに今大会の中でも伸びている。男女混合団体戦決勝で芳田司をあっと言う間の「一本」で沈めたシーンは、ファンの記憶にも鮮明だろう。実況席で田知本遥さんや西田優香さんらと「この選手は恐ろしい、伸びる」と紹介している間にもう起こってしまった秒殺劇であった。
このシシク、キャリアのもっとも伸びる時期が東京五輪に被る可能性がある。五輪直前に伸びる選手は「行く」という法則に則ればまさに要注意中の要注意人物。シシク次第では、57kg級は階級の勢力大改変期が五輪に被る可能性がある、それだけの危険な存在である。
他2人は、シシクほどのインパクトはないが今大会を彩った、新たなメダル候補の好選手としての紹介。ダリア・メジェツカイア(ロシア)は今季のヨーロッパ王者。57kg級は実に様々な体型の選手が揃う階級であるが、この選手も低重心。短躯と短い手足を生かして素早く、威力ある担ぎ技に飛び込むという特徴ある柔道で今大会では2回戦でジェシカ・クリムカイトを僅か46秒の袖釣込腰「一本」で狩り、続いてミリアム・ローパー(パナマ)を18秒の内股「一本」で退けた。その後ラファエラ・シウバの内股透に嵌められて負け、敗者復活戦でも後述コヴァルツィクとの曲者対決に敗れて最終結果は7位だったが、以後、大物食い要素を孕む上位常連としてランキング上位に座ることまでは確実と思われる。
そしてそのユリア・コヴァルツィク(ポーランド)。前年度王者芳田司から「韓国背負い」で「技有」を奪ってあと一歩まで追い詰め、無印から堂々銅メダル獲得にこぎつけた。この人は技術的に面白く、基本的にはケンカ四つの技である「韓国背負い」を、相手の組み手に関わらず、左引き手で右襟をもった左回転一辺倒で投げつけてしまう。「引き手韓国」とでもいうべきか、この、一か所持ちさえすれば体の使い方と決め方で投げ切ってしまうという方法、柔らかく耐える選手が多い女子柔道においては実は画期的かもしれない。体が極めて強く、飛ばず、持ちたいところはただ一点だけだが持たせてしまうと世界王者でも投げられてしまう。この選手もまだ21歳、どんな方向の進化を志向するかは未知数だが、少なくともこういうタイプが観戦上の花形であることは論を待たない。ぜひ次の試合はコヴァルツィク、そして彼女の右襟確保の有無に注目してもらいたい。次に積む戦略次第ではこの選手も再びメダルに絡む役者になり得ると考える。
最後に、リオ五輪2位で2017年の世界王者ドルジスレン・スミヤ(モンゴル)は今大会欠場。選手間の噂では結婚、出産のためとの情報もあるが、これは確報あり次第プレビュー記事などで反映させて頂く。