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【東京世界柔道選手権2019特集】濵田の組み合わせ悪くなし、寝勝負に徹せられるかが連覇のカギ・女子78kg級直前展望

→東京世界柔道選手権2019組み合わせ(公式サイトippon.org内)

濵田尚里 HAMADA Shori
連覇を狙う濵田尚里

エントリーは40名。「概況×有力選手」で示した予想からの、シード選手配置の変更はなし。階級の概況や恒例の「実力推測マップ」はこの「概況×有力選手」、選手の特徴や得意技などの紹介は「有力選手(選手名鑑)」を参照されたい

優勝候補の3名はきれいにブロックが分かれ、マイラ・アギアール(ブラジル)がプールA、マドレーヌ・マロンガ(フランス)がプールB、濵田尚里(自衛隊体育学校)がプールDにそれぞれ配された。これら優勝候補の対戦シミュレーションは「概況×有力選手」で行っているため、そちらをご覧いただきたい。

日本代表の濵田は3回戦でアレクサンドラ・バビンツェワ(ロシア)、準々決勝でマルヒンデ・フェルケルク(オランダ)と、昨年大会で3位を獲得した選手と連戦することとなる。いずれも実力の絶対値では格下ながら、立技に限定すれば一発を持つ相手。どちらも前技系のため相手の後技を下がりながら受けてしまう濵田の弱点に直接嵌る相手ではないが、確実性を重視するならば、やはり寝技で勝負したいところ。濵田があくまでも勝負にこだわり、寝技を徹底するのならば問題なく勝ち上がれるだろう。準決勝の相手を決めるプールCは混戦のため、フッシェ・ステインハウス(オランダ)、アナ=マリア・ヴァグナー(ドイツ)、ベルナデッテ・グラフ(オーストリア)、クララ・アポテカー(スロベニア)の4名全員と等しく戦う可能性があるが、ここも準々決勝までと全く同様に、寝技ならば負けることはないはずだ。

しつこいくらいに述べているが、濵田は寝技ならば無敵。今大会で濵田が勝負に徹することができるかどうかは同時に来年の東京五輪で1人代表を任せられるかを判断する指標でもある。濵田は確かに立技もできる。しかし、それはあくまでも78kg級の平均レベル。日本代表、現役世界王者としてのプライドと意地、矜持を持って戦ってもらいたい。そうすれば自ずと結果はついてくるはずだ。

有力選手の配置、各プールのひとこと展望は下記。

【プールA】
第1シード:マイラ・アギアール(ブラジル)
第8シード:ルイーズ・マルツァーン(ドイツ)
有力選手:ヤヒマ・ラミレス(ポルトガル)、ザリナ・ライフォワ(カザフスタン)、ロリアナ・クカ(コソボ)

マイラ・アギアール(ブラジル)の勝ち上がりを予想。ただし、ベスト8で対戦するルイーズ・マルツァーン(ドイツ)は最近調子を上げてきており、簡単には勝てない相手。通算成績ではアギアールが7勝1敗と勝ち越しているが、この1敗は直近の対戦、今年5月のグランドスラム・バクーで喫したものである。あくまでも勝ち上がるのはアギアールと予想するが、その調子次第ではマルツァーンが勝ち上がってくる可能性も十分に考えられるだろう。

【プールB】
第4シード:マドレーヌ・マロンガ(フランス)
第5シード:ナタリー・パウエル(イギリス)
有力選手:アントニーナ・シュメレワ(ロシア)、カリエマ・アントマルチ(キューバ)、チェン・フェイ(中国)

マドレーヌ・マロンガ(フランス)が勝ち上がり候補。ベスト8まではこれと言った相手は置かれておらず、準々決勝の相手もおそらくは柔道が素直なナタリー・パウエル(イギリス)になると思われる。よほど大きなミスをしない限り、この選手の勝利は揺るがないだろう。ただし、これまで「そのよほど大きなミス」を何度も犯しているのがこのマロンガ。パウエルは横車や裏投などの返し技があり、マロンガは昨年のワールドマスターズでまさにこの選手に裏投で放られて「一本」で破れている。突進力と馬力が持ち味の選手ではあるが、いかにそれをコントロールして緩急をつけられるかが勝敗を分けるポイントになるだろう。

【プールC】
第2シード:フッシェ・ステインハウス(オランダ)
第7シード:アナ=マリア・ヴァグナー(ドイツ)
有力選手:マー・ジェンジャオ(中国)、ベルナデッテ・グラフ(オーストリア)、アナ=マリア・ヴァグナー(ドイツ)、クララ・アポテカー(スロベニア)

強豪密集の最激戦区。上側の山では2回戦でフッシェ・ステインハウス(オランダ)とマー・ジェンジャオ(中国)が戦い、その勝者とベルナデッテ・グラフ(オーストリア)がベスト8を賭けて争う。実績ではステインハウスが抜けているが、ここはあえてグラフが勝ち上がると予想したい。グラフはもと70kg級だが、そのパワーは階級でもトップクラス。加えて腰の低さを生かした裏投を持っており、腰技系のステインハウスは戦いやすい相手だと思われる。なお、両者は今回が初顔合わせ。

一方、下側の山。こちらからはクララ・アポテカー(スロベニア)の勝利を予想する。この選手は187センチの長身選手だが、以前は地力が足りずにその体格を持て余している印象が強かった。しかし、昨年来大きく地力が上がり、今年はついにヨーロッパ選手権を制覇。現在非常に乗っている。2回戦で対戦するアナ=マリア・ヴァグナー(ドイツ)は同世代のライバルでこれまで1勝4敗と負け越している相手だが、今の実力と勢いならば負けないはずだ。

ベスト4の組み合わせはグラフ対アポテカー。グラフはリーチの差があまりに大きいアポテカーを非常に苦手にしており、過去の対戦成績はアポテカーの3勝0敗。よってアポテカーの勝利と予想する。ただし、これまでの序列通りにヴァグナーが勝ち上がってきた場合には、反対にグラフが勝利するはずだ。両者の過去の対戦成績は、グラフの2勝0敗。

【プールD】
第3シード:濵田尚里(自衛隊体育学校)
第6シード:マルヒンデ・フェルケルク(オランダ)
有力選手:ベアタ・パクト(ポーランド)、アレクサンドラ・バビンツェワ(ロシア)、パトリシア・サンパイオ(ポルトガル)

濵田尚里(自衛隊体育学校)の勝ち上がりを予想。詳細は本文を参照されたい。

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