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「一回戦」/eJudo版・令和2年全日本柔道選手権予想座談会「『令和最初の全日本』を語りつくす」(中)

(上)「私の全日本選手権ベスト『一本』から続く>

古田 
…さて、毎度大好評の“前哨戦”が終わったところで、いよいよ令和2年全日本柔道選手権予想座談会の本編に入っていきたいと思います。まずは「今年の全日本柔道選手権に掛ける期待」ということで一言ずつお話をいただきたいと思います。

令和2年全日本柔道選手権に掛ける期待

朝飛大 朝飛道場館長、慶應義塾大学師範。日本を代表する指導者であり、少年柔道指導の第一人者。自身も昭和60年大会に出場、世界選手権100kg級の覇者羽賀龍之介をはじめ多くの教え子を全日本選手権の場に送り込んでいる。

古田 ではまず、朝飛先生からお願いいたします。

朝飛 はい。まずこれだけの推薦選手が出ることは、普段の大会であれば、まずないですよね。

古田 はい、各階級の五輪代表と補欠選手に出場の権利が与えられ、異例の50人トーナメントが組まれました。

朝飛 この推薦選手たちの活躍はもちろん面白い。今大会の目玉です。ですが、ここで予選を勝ち抜いて全日本選手権に出てくる人たちの本当の力を見せて欲しいなと思います。体重別の強者である推薦選手たちの国際ルールに則った早い動きの強さと、しっかり組んで勝負する全日本本来の面白さを感じる重量級選手の強さ、この激突が大きなみどころだと思います。

古田 なるほど。過去このお三方とお話させて頂く中で、普段世界選手権やオリンピックに出てメディアに取り上げられることの多い軽量級の選手が、私たちの中でこそ知られているけど一般社会的には知名度が高いとは言えない重量級選手に弾き返される、そういうところで全日本のレベルの高さが示される展開も面白いんだ、そういう戦いの系譜が全日本にはあるんだという話題が度々出ています。今のお話はそういう文脈からですね。

朝飛 はい。代表選手組と、そうではないこれぞ全日本選手権という選手が、力の拮抗する試合をしてくれると思います。本当に楽しみです。

古田 朝飛先生が仰ったように、国際の戦い方を熟知したトップ選手と、無差別での勝ち方を熟知した全日本選手権型の選手という、「価値観」の対決でもあるわけですね。楽しみです。ありがとうございます。続いて林さんお願いします。

林 今大会は、体重差の大きい試合が多くなるのではないかと思います。推薦選手が多いこともありますが、その他の出場選手にも最重量級以外の選手が多くて、昨年と比べ、平均身長、平均体重が落ちているんですね。そうするとスピーディーな試合が多くなると思うんです。一方で身長190センチ以上の選手が7人もいる。

古田  はい。黒岩貴信選手、七戸龍選手と尾原琢仁選手に近藤弘孝選手と193センチの選手が4人、そして下和田翔平選手が192センチ、小川雄勢選手と山本考一選手が190センチですね。

林毅 もと「近代柔道」誌編集責任者。30年以上にわたって大会を直接取材し、全日本選手権プログラムの編集に20年以上携わっている。書籍「激闘の轍・全日本柔道選手権大会60年の歩み」では企画・編集を務めた。

林  体重も松村颯祐選手が150キロ、王子谷剛志選手が145キロと大きい選手はきちんといるわけです。ということは軽い選手と大きな選手の試合が随所で出てくるということになるでしょう。それがまず楽しみのひとつですね。全日本選手権ならでは、無差別の醍醐味が感じられる大会になるのではと思います。それと、ベテランの活躍。特に加藤博剛選手に期待したいですね。例年は4月開催ですが、今年は開催が12月ということで選手によっては一気に年齢が2つ増えているわけです。加藤選手はまさにそれで、なんと今回は35歳。それでもインタビューをしてみて、この人をもっと見たいな、やってくれるんじゃないかなという気持ちが強くなりました。警察組織はコロナ禍で稽古自体がままならない部分があるんですが、そのなかでも自分のなりの修行をしっかり積んで来ている。話を聞くと、結構行けそうだなという雰囲気を持っているんですね。練習してすぐに肉離れを起こしちゃいましたよ、でも治りましたと笑っていたり、去年の影浦選手との試合で一本勝ちしましたけど、実はあの後に2つ3つ技を考えていてその前に決まってしまった、とか。今年はその先に考えていたことが出せればという話もしていました。

西森 今年影浦選手と戦うとしたら、組み合わせ的には決勝戦ですよ(笑)

林 彼はそのつもりでいますよ(笑)。

朝飛 加藤選手は歳を2つ重ねても、そのことによってさらにまた強くなっている感じがしますね(笑)。そういう選手が一人でも出ているとワクワクしますね。

林 色々な選手にインタビューすると、今年はコロナ禍で思うように稽古が積めていない選手がたくさんいます。100パーセントの練習が出来た人など誰もいないと思いますけど、その中でもみな自分なりに、いま出来る最善の修行を積んでこの全日本という晴れ舞台に臨むわけです。その姿をしっかり見届けたいと思います。

古田 まことに同感です。練習が出来ないということでいうと、加藤選手もそうですが、特に警察官の選手は今年特に大変だったようですね。

朝飛 私の教え子にも何人か警察官がいますが、話を聞くと、ほとんどが練習できていないようです。絶対にクラスターを起こしてはならないということで、全日本選手権に出るレベルの選手でも、特定のパートナーと2人だけで打ち込みをやったり、練習したり、そういう状況が続いていると聞きます。

林  加藤選手も2人だけで練習を積んでいると話していました。

古田 警察組織全体がコロナに際して非常に厳しく接しているとは聞いています。日本の少年柔道を支えて来た警察署の柔道教室もほとんど閉まっているという話ですし、警察官が指導者を務めて下さっていたチームの中には解散してまったところもあると聞きます。いろいろな人が厳しい環境にあるとは思いますが、その中で警察官選手は今回特に厳しい状況が予想されるということですね。

林 とはいえ、昔の警察官選手は、たとえば日蔭暢年さんのような実績と実力ある方であっても、今みたいに機動隊や「特練」という枠できちんと練習できる人ばかりではなかった。交番勤務をして夜練習をするというような人たちもいました。今回は警察官がたくさん出場していますが、十分な練習が出来ていないかもしれない。でもその少ない練習の中で、自分なりにしっかり準備をしてきている。そういう姿を応援したいですね。

古田 警察官に限らず、歴代の全日本選手権出場者の中には、恵まれない環境の中でも、自分なりの修行を考え抜いてこの舞台に辿り着いた選手がたくさんいます。さらに旧い時代になると、それぞれの地方でいま以上に環境も柔道風土もまったく違い、修行の仕方もまさに人それぞれ、己の信念に従って作り上げた、お手本のないものが多かったであろうと想像します。戦前の全日本選士権などは、そういう異なる文化のぶつかり合いという側面すらあったのではないかと。そういった、「己なりの修行」の発露の場としても令和2年大会の持つ意味は大きいかもしれませんね。ありがとうございました。…では続いて、西森さんお願いします。

西森 私は今大会が、この10年課題として挙がるようになっていた、全日本選手権の位置づけを問い直す試金石の意味を持つ大会になるような気がします。かつては日本中の柔道家誰もが最高峰と憧れる大会であり、なおかつその年の王者が必ず五輪の代表に選ばれていたわけですが、ロンドン、リオと2大会連続でそうならないケースが生まれ、今回の東京大会ではついに選考の対象からも外れることになりました。その一方で、この体重無差別、かつ独特のルールの大会の価値をもっと高めるべきだという声もあります。ここまでの10年は、全日本選手権の意味と位置づけが大きく揺らいだ10年と言えるかと思います。これを考え直す上でひとつ大きい要素は、まず大会の時期ですよね。全日本選抜体重別選手権と時期が近いこともあり、従来の4月29日という日程では有力選手がなかなか出にくいという事情がありました。であれば、毎年8月に世界選手権があるとして、秋以降に全日本選手権を開催して、その年の世界選手権の代表は推薦選手として出場が可能というようなあり方を考えてもいいのではないかと、全日本強化の関係者からも個人的な意見として聞いたこともあります。だけど現実的な問題としてなかなかそこまで思い切ったことを実現するのは難しい。そんな中で、このコロナ禍という大変な事態によって思いがけず時期が変わり、五輪の代表と補欠選手に出場権を与えることが出来た。まさにこういうことをやってみたらどうだと夢想していたことが実現する大会になったわけです。

古田 これは重要な指摘だと思います。時期を変えてみたところが、組み合わせを見るだけで胸躍る、こんなに面白い大会が実現してしまったわけですからね。

西森大 NHK松山拠点放送局・報道番組プロデューサー。業界では希代の柔道マニアとして名高い。NHKスペシャル「日本柔道を救った男~石井慧 金メダルへの執念」、「アスリートの魂 どんなときも真っ向勝負 柔道 大野将平」などを制作。2016年からは全日本柔道連盟広報委員も務める。

西森 はい。そしてこれは朝飛先生が仰ったように、色々な価値観のぶつかり合いですよね。ハイスピードな軽量級の選手と重厚な重量級の選手の戦いということでもありますし、中央で整った環境のなかで世界を目指してきた選手たちと地方の選手たちの意地がぶつかり合う場という側面もさらに強まった。今年の大会が盛り上がることは、来年以降の全日本選手権を見直す大きな材料になると思っています。

古田 ありがとうございます。実は何年か前から西森さんや林さんと全日本をこうしたい、こうなったら面白いと話し合った、まさにその内容に叶う大会でもあるんですよね。まず体重別の世界代表選考からは切り離すべきだ、これがまず実現して、さらにたとえば12月23日という良い日があるんだから(※4月29日は昭和天皇の誕生日、12月23日は上皇さまの誕生日)代表争いに影響の薄い冬に開催するのはどうか、そうすれば世界大会の代表選手を出せるじゃないか、と。それが、他動的な原因ながら今回実現してしまったわけです。やってみたところが、五輪代表や補欠選手もどんどん手を挙げて参加してくれているわけですよね。

西森 強化の関係者も、こういう、可能性が広がる措置であることは重々承知だったと思います。でもなかなか実際には出来なかった。

古田 余計に、今年は良い大会になって欲しいですね。…そんな中で、来年のスケジュールが発表されてみたら、「4月29日に千葉ポートアリーナで開催」なんですよ。時期が迫っているので仕方がない面はあるのですが、この大会の陣容を見て感ずるところはないのかと、少々残念に思いました。

林 日本武道館は使えないのですか?

司会 古田英毅
eJudo編集長。柔道六段。

古田 少々脱線します。…組織委員会が借り上げているということなのですが、ここについては私、少々憤っています。五輪本番で使うのは柔道と空手の2競技だけ。それなのになぜ4月から、それもこれぞ本来の本来である全日本柔道選手権を「うちが借りているから貸せない」ということになるのか。組織委員会はそんなに偉いのか。当日そこで組織委員会は何をやっているのか。それは本当に全日本柔道選手権よりも大事なことなのか。我々柔道ファンの視点からすれば図々しいと感じてしまいます。そもそももう終わってあなたがたはいないはずの時期なのに、まだ何か月も前から1日たりとも空けられないような準備が本当にあるんですかと言いたい。柔道人は日本武道館でやってくれと署名運動くらいしてもいいんじゃないでしょうか。柔道側も、そこはやらせてくれと強く出るべきですし、時期の問題もこの大会を見てから再度論じ直すべきです。前例主義だけでは全日本選手権は救えません。

西森 古田さんが先ほど仰られたように時期も迫っていますから、来年はともかく、先々の大会のためにどうなるかというところではないですかね。投じられた一石は必ず無駄にならず次に繋がると思います。以前にもお話ししましたが、個人的には全日本選手権は講道館柔道のショーウィンドウであってほしいと思います。ルールも、国際ルールにとらわれず講道館柔道の技術である掬投や踵返など、手で足を取る技術も使えるようにしてほしい。それが全日本選手権の価値を高めることにつながると思います。

古田 「講道館柔道はこういうものなんだ」「こういうところが面白いんだ」と世界に訴える場自体が、いまないわけですからね。ルールは競技を規定する、どころか競技そのものです。大会の趣旨に叶う、見せたいものが実現出来るルールを考えるのは、言ってみれば当然のこと。唯一無二の大会には、唯一無二の特別ルールがあって然るべきです。ルールのありかたを考えることで、我々が全日本選手権で見せたいものはなんなのかも、逆にハッキリしてくると思います。良いものは良い、正しいものは正しいと認めるようになって来た柔道界の流れもありますから、期待したいと思います。まずはそのためにもこの大会が無事開催されて、なるほど、このセンなら全日本選手権の再復興なるな、新たな価値が作り上げられそうだな、と感じられる大会になってほしいですね。…ありがとうございました。御三方とも今年の全日本の見どころを、それぞれの視点から非常に魅力的にお話しいただけたと思います。次の話題ですが、一人ずつ今年の注目選手を挙げていただきたいと思います。では朝飛先生からお願いします。

今大会の注目選手

高校3年生で東北予選を勝ち抜いた鈴木直登。

朝飛 まず高校生(田村高校3年時)で予選を勝ち抜いた鈴木直登選手ですね。彼はインターハイでは2位になった金澤聡瑠(木更津総合高)選手、高校選手権では優勝した高橋翼(作陽高)選手に敗れているんですが、競り合ってこれは上に乗っかったかなというような場面もあったんですよね。良い選手だなと思っていたんですが、よくぞ東北の予選を勝ち抜いたなと思います。高校生で東北を勝ち抜いて出てくるというのは強さだけではなく精神的な逞しさも必要ですから、これはかなりのものです。すごく楽しみにしています。

古田 東北地区は選手の序列意識もかなり厳しいと思いますし、一回中央で修業して戻って来たベテラン選手たちもいる中で、地元の高校生が勝ち上がるというのは凄いことだと思います。

60kg級の世界選手権銅メダリスト永山竜樹

朝飛 そして、やはり推薦選手。特に海老沼匡選手と永山竜樹選手、2人の軽量選手の戦いぶりに注目しています。これだけの軽量で挑戦するということはよほどの覚悟があるはず。2人の軽量級ならではの「速さ」ももちろん楽しみではありますが、彼らはそれ以上に重量級と戦っても体幹負けしない、力負けしない、なにか「柔道の力」を持っているような気がします。永山選手は重量級とかなり稽古をやっていると聞きますし、海老沼選手は高校選手権の団体戦で彼が抜きに抜いて、結果世田谷学園が優勝したという記憶があります。重量級とやって、しかもきちんと組んで技を出せるであろうこの軽量級2人の戦い。単に60kg級と73kg級の選手が挑戦するということの凄さを超えた、その戦いの中身がすごく楽しみです。

73kg級から海老沼匡がエントリー。

古田 2人とも軽量級でありながら、典型的な「軽量級選手による、対重量級選手の戦い方」の枠に収まらない試合を見せてくれる可能性があるということですね。これは楽しみです。ファンの方々は自分がこの体格ならこう戦う、自分であればこう試合を組み立てる、という予想を持って見ると、さらに楽しめるような気がします。きっとそれ以上のものを見せてくれるはずです。ありがとうございました。…では林さんお願いします。

林 自分がおじさんだからというのもあるのですが、「おじさん」選手の頑張りに期待したいですね。やっぱりベテランの頑張りというのが全日本の面白さの一つだと思います。去年も加藤選手が準優勝、いままでも優勝したり3位になったりしていますが、年を追うごとに強くなっているというか、勝ち方のバリエーションが増えている。基本は巴投なんですが、昨年の払釣込足をはじめ、ほかの技にも磨きがかかってきている。本人はすごく楽しみながら試合をしていて、その結果がああいう形で出てきていると思うんですよね。熊代佑輔選手も年を追うごとにむしろ思い切りが良くなり、「こんな技を掛けるの?」という面白い技の手持ちが増えている。去年の東京予選では、原沢久喜選手を相手にまさかという遠い間合いから思い切り大外刈にいったり、意表を突くような技を出してくる。経験を積んで、そういう面白い技術を身に着けて、それを全日本の場で存分に出してくれる。見ていて興味深いし、楽しませてくれますよね。

35歳になった加藤博剛。昨年度大会は決勝まで進んで会場を沸かせた。

朝飛 加藤選手はもちろん、熊代選手、垣田恭兵選手、七戸龍選手といった上位候補に挙がる、それも面白い選手がいずれも32歳。すごいですよね。その齢になって、ますます良い技を見せてくれる。河坂有希選手も32歳で、五十嵐遼介選手はなんと32歳で初出場ですよ。

林 朝飛先生がさきほど挙げられた鈴木選手は19歳ですよね。そんな若い選手たちとともに参加するベテランたちの味のある試合、技、今まで練りに練ったものをみせてほしいですね。

古田 それも全日本の醍醐味ですね。円熟の技。では最後に西森さんお願いします。

テディ・リネールを倒し、講道館杯に優勝してと今年大活躍の影浦心。

西森 純競技的な興味でいくと、影浦心選手に注目したい。テディ・リネール選手の連勝を止めたこと、今年これくらい世界中で話題になった柔道界のニュースはないですよね。先日の講道館杯も非常に良い柔道を見せて勝ち上がりました。一方、彼の場合は、これほど強いのにいまひとつその強さが信頼されていないところがあると思います。これはやはり全日本選手権でまだ勝てていない、しかも自分より小柄な相手、加藤選手や西山大希選手に敗れていることが評価に影響を与えていると思います。そういった意味で、影浦選手にとっては今年はなんとしても勝ちたい大会ではないかと思います。彼の勢いが本物なのかどうかを測る意味でも、非常に楽しみにしています。

古田 絶対の優勝候補というプレッシャーをはねのけて、当たり前のように勝ってみせた講道館杯の戦いぶりには、「一皮剥けたな」と思わせるものがありましたからね。

「無差別向き」と識者が太鼓判を押す佐々木健志。

西森 あとは中量級で楽しみなのが佐々木健志選手ですね。中量級のカテゴリに入れてよいのかわからないくらいの体の力があります。

古田 体脂肪率10パーセントでも体重87キロという噂があります。あの凄い筋肉を見ると、下手をすると本業の81kg級には戻れないのではないかとすら思ってしまいます(笑)。

西森 投げる力、寝技の取り味、思い切りの良さ。基本的にこの選手は無差別で試合させた方が絶対に面白いだろうというタイプです。肘の手術をしたそうで少々心配ですが、回復しているのであればかなり面白い存在になってくれるのではと、組み合わせも含めて楽しみにしています。

古田 初出場、かつまだ試合をしていないわけですが、この段階で既に、この先何年も全日本の好役者になってくれそうな匂いがする選手です。

林 勝つも負けるも豪快。

西森 コロナの自粛期間中で練習できない中で、彼がインスタグラムにアップしているのが自動車を引っ張ったりするトレーニングだったりするんですよね。期待感があります。

古田 まさに「己が信じる鍛え方」、今年の全日本の文脈に適います。…御三方の話をお聞きしますと、優勝争いとうトピック以上に、試合ぶり自体を楽しめる、選手自体にフォーカスすべき大会であるという印象。物凄く濃い全日本だということがこの時点でもわかります。

林 こうやって話をお聞きしていくと、今回のポイントは影浦選手ですね。先日話をお聞きしたんですが、これまで取りこぼしが多いというのは自分でもわかっていて、そうならないための戦い方というのを模索してきて、それがやっとできるようになったのが講道館杯の優勝なんだ、と発言していました。

古田 おっしゃるとおり、影浦選手の今の席次だったら当然優勝するなと皆が思っているなかで実際に勝つというのは大変なこと。一つ扉を開けましたよね。

西森 羽賀龍之介選手との対戦が楽しみですよね。羽賀選手はそういう選手をがちっと潰してきそうですから

古田 しかし羽賀選手もその前がすごいですからね。…今年は1回戦、2回戦がとんでもなく面白い。おそらくこの座談会も、この序盤戦に長大な時間が費やされるものと覚悟しています。

西森 本編の予想に入る前に、この時点でもう1時間経っていますからね(笑)。

一同 

古田 いやいや。このメンバーにしては思ったより早いなと思っているくらいです。では、いよいよ1回戦から、具体的な予想に入っていきたいと思います。

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