ジョルジ・フォンセカ(ポルトガル)

ジョルジ・フォンセカ(ポルトガル) FONSECA Jorge

FONSECA Jorge
29歳 1992/10/30
WR:1位 組み手:右組み

得意技:右背負投、右袖釣込腰、右大外刈、右大外落、裏投
使用技:右一本背負投、右大外刈(一本大外)、左一本背負投、左大外刈(一本大外)、右小内刈、右大内刈、右小外掛、左出足払、左払釣込足

世界選手権2連覇者(2019年、2021年)。東京五輪でも銅メダルを獲得している。階級屈指の業師であり、右背負投や右袖釣込腰などの力強い担ぎ技と切れ味鋭い足技が武器。阿部一二三と同じ「居合い」スタイルの使い手でもあり、引き手一本を持つ、あるいは両袖の形から一気に間合いを詰めながら強烈な一撃を放つ。阿部は脚でフォローを加えることによってこのスタイルの弱点である決めの甘さをカバーしているが、フォンセカの場合は力の方向を変化させることがキモ。片襟の右大外落で裏に向かって技を仕掛け、相手が耐えたところで右方向の背負投に変化するなど、相手の耐えられない方向に力の向きを変え、さらに同時に「掛かり」を一段上げることで、力強い投げを成立させている。

業師らしく集中力の持続に課題があり、以前は豪快な勝ちぶりの一方、トーナメントの中途で敗れることが多かった。しかし、昨年6月のハンガリー世界選手権では、まさに「ゾーン」に入っているとしか表現できない異様な集中力の高さを見せ、これを維持したままオール一本勝ちで優勝を飾った。あの陽気なフォンセカが「1試合勝ったくらいじゃ喜べないよ」とばかりに入場から退場まで表情を変えずに戦い続け、試合内容も状況ごとの選択が的確で極めてロジカル。異常な強さだった。

そのあまりの完成度の高さから「果たしてこれほどの心身のハイコンディションに再現性があるのか」と東京五輪での戦いぶりが注目されたが、同大会でも変わらぬ集中力の高さを披露。中途で手が痙攣する不運に見舞われたこともあり優勝はならなかったが、世界大会3大会連続となるメダルを獲得した。以降は出場したほとんどの大会で優れたパフォーマンスを見せている。

陽気さが売りでもあり、“愛され属性”は柔道界随一。2019年世界選手権では準決勝の残り時間6秒に「技有」で勝ち越した後、戦いを放棄して大喜びしてしまい慌てて手を合わせて主審に謝罪。最終日の団体戦では負傷した同僚の78kg超級ホシェリ・ヌネスを「お姫様だっこ」して退場して喝采を浴びるなど、この文脈のエピs-ドには事欠かない。最近は畳の上では落ち着いた振る舞いを見せるようになったが、抑え付けている分、試合終了後のハイテンションぶりにはむしろ磨きが掛かっている。東京五輪では3位決定戦に勝利してバックヤードに下がるなりインスタライブを開始、係員と無理やり肩を組んで歌い出し、表彰式をやるから早く会場に戻れと急かされるまでやりたい放題の大騒ぎ。凄まじいはしゃぎっぷりだった。ちなみに、こういった振る舞いの一方で「礼」は実に丁寧。

最貧国の一つであるサントメ・プリンシペ出身。リオデジャネイロ五輪前には癌が発覚するも、それを乗り越えて世界王者となった苦労人でもある。

おもな戦績

2021年 ハンガリー界選手権 優勝
2019年 東京世界選手権 優勝
2018年 バクー世界選手権 7位

最近の成績

2022年8月 ヨーロッパカップ・コインブラ 優勝
2022年7月 グランプリ・ザグレブ 2回戦敗退
2022年6月 グランドスラム・ウランバートル 2位

更新日:2022年10月10日(タシケント世界柔道選手権特集)
監修:eJudo編集部

東京2020オリンピックでの記事

FONSECA Jorge
28歳 1992/10/30
WR:2位 組み手:右組み
得意技:右背負投、右袖釣込腰、右大外刈、裏投
使用技:右一本背負投、右大外刈、右大外刈(一本大外)、右小内刈、右小外掛、左出足払、左払釣込足

世界選手権2連覇者(2019年、2021年)。階級屈指の業師で、力強い担ぎ技と切れ味鋭い足技が武器。6月のブダペスト世界選手権の戦い方を見る限り、もっかの仕上りは阿部一二三と似た「居合抜き」スタイル。引き手一本を持つ、あるいは両袖の形から一気に飛び込んで強烈な一撃を放つ。かつては序盤戦で素晴らしい技を披露する一方、集中力に難があるのかトーナメント中途で敗れることが多い選手だったのだが、今年6月のブダペスト世界選手権では初戦から異様な集中力を維持したまま、全試合一本勝ちで優勝を飾った。陽気さが売りのフォンセカが、1試合勝ったくらいじゃ喜べないよとばかりに準決勝までは極めて冷静な引き上げ(優勝を決めたあとはもちろんダンスを披露していたが)。もしこの心身両面のハイコンディションに再現性があるようであれば、東京五輪でも頭一つ抜けた優勝候補だ。前述の通り、勝利するとダンスを披露するなど陽気なキャラクターであり、ファンから愛されている。2019年世界選手権では準決勝の残り時間6秒で「技有」で勝ち越した後戦いを放棄して大喜びしてしまい慌てて手を合わせて主審に謝罪。最終日の団体戦では負傷した同僚の78kg超級ホシェリ・ヌネスを「お姫様だっこ」して退場して喝采を浴びるなど、“愛され属性”では大会随一であった。ちなみに、こういった振る舞いの一方で「礼」は実に丁寧である。

“あるく近柔”からのひとこと

「オーストリアのクラブチーム”ギャラクシー・タイガース”の助っ人として出場予定だったブンデスリーガ決勝当日、彼は集合時間になっても姿を現さず。仲間たちが確認したところまだホテルで寝ていたそうです。」

※本名 甲斐田謙 太宰府少年武道会→基山中→西日本短大附高→東海大。現在ハンガリー・ツェグレード在住、同国のクラブで柔道指導に携わる。
https://twitter.com/Arukin0405

おもな戦績

2021年 ブダペスト世界選手権 優勝
2019年 東京世界選手権 優勝
2018年 バクー世界選手権 7位

最近の成績

2021年6月 ブダペスト世界選手権 優勝
2021年4月 欧州選手権 7位
2021年3月 グランドスラム・トビリシ 3回戦敗退

更新日:2021年7月18日(東京オリンピック特集)
監修:eJudo編集部

東京世界柔道選手権2019での記事

FONSECA Jorge
26歳 1992/10/30
WR:8位
組み手:右組み
得意技:右背負投、右袖釣込腰、右大外刈、裏投
使用技:右一本背負投、右大外刈、右小外掛、出足払、右小内刈

階級屈指の業師。切れ味と力強さを兼ね備えたその技は強烈、相手との力関係を無視して「一本」を量産している。得意技は一気に相手の懐深く潜り込み、担ぎ上げる右背負投。両袖の右袖釣込腰や、同じく両袖から仕掛ける右大外刈も相当な威力がある。足技も利き、こちらも相当な切れ味。業師タイプにありがちな受けの脆さがあり、優勝候補を倒したかと思うと無名選手にあっさりと敗れることも多い。表彰台獲得の有無という観点ではあまり結果を残していないが、本階級を語るときに外すことのできない名バイプレイヤーだ。

おもな戦績

2018年 ワールドマスターズ広州 5位
2018年 バクー世界選手権 7位
2018年 ワールドマスターズ・サンクトペテルブルク 5位

最近の成績

2019年7月 グランプリ・ザグレブ 3位
2019年7月 グランプリ・ブダペスト 5位
2019年6月 ヨーロッパ選手権 2回戦敗退

更新日:8月27日(東京世界柔道選手権2019特集)

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