ウルフアロン(パーク24)
WOLF Aaron
階級：100kg級 WR：13位
28歳 1996/2/25
組み手：左組み
得意技：左内股、左⼤内刈、左⼩外掛
使⽤技：肩⾞、横落、左⼤外刈、左小外刈、⽀釣込⾜(釣り⼿側)、膝車(釣り手側)、隅返、裏投、抱分、横分、横掛、寝技
寝技得意技術：「ボーアンドアローチョーク」
東京五輪金メダリスト。2017年にはブダペスト世界選手権、2019年には全日本選手権を制しており、男子柔道の三冠を達成したレジェンドだ。東京五輪後は1年以上競技を離れ、復帰後はなかなか勝てない時期が続いた。しかし、昨年半ばから徐々に調子を戻し、今年2月のグランドスラム・パリでは久々となるワールドツアーのタイトルを獲得。5月のグランドスラム・カザフスタンも制し、上り調子でパリ五輪を迎える。
柔道スタイルは内股、大内刈系。変則の組み手もこなすものの、袖と奥襟の二本を持った形を進退の軸としている。特徴は、優れたパワーとスタミナ、そして己の特徴を良く理解した戦略、戦術、技術の練り込み。奥襟を得て相手を懐に抱き込む形をベースに、種々様々な手札を動員して試合を組み立てる。
階級きっての頭脳派であり、分析、作戦立案、戦術選択など、「頭に汗をかく」分野はいずれも極めて水準が高い。後述する独自の技術体系や現場での戦いぶり、メディア対応など、あらゆる面で高い知性を感じさせる選手だ。相手や状況、さらには試合の文脈や自身のコンディションまで考慮して柔道をカスタマイズし、最も勝ちに近い戦型、技術で勝負する。
実際の例を挙げると、右半月板の負傷からの復帰明けで安定感に不安のあった2021年の東京五輪では、片脚技を封印して両足を地に着けるスタイルで戦って金メダルを獲得。今年2月のグランドスラム・パリでは、釣り手の四指を相手の後襟に差し入れてぶら下がる通称「吊り革グリップ」を徹底し、相手に圧が利く状態で戦うことで優勝している。
得意技は左内股、左大内刈、左小外掛。これらの技にはいずれもウルフ独自の工夫が施されている。左内股は一歩目を深く踏み込むことで相手を前傾させ、継ぎ足と同時に跳ね上げる独特の技法。左大内刈もノーマルな刈り開く形をベースに、大内返を狙う相手にはあえて刈り足を着く形、クロスグリップには引き手で前帯を持ってケンケンで追う形など、状況に応じて複数の技法を使い分ける。左小外掛は「吊り革グリップ」で仕掛けることが多く、これは現在標準技術化されており、多くのフォロワーを生んでいる。また、高等技術の横分の術者でもあり、度々この技で豪快な「一本」を見せている。
寝技にはそれほど積極的ではないが、基礎はしっかりと押さえられており、練度は高い。使用頻度は高くないものの、伏せ際の「ボーアンドアローチョーク」も備えている。
現時点の立ち位置は「メダル候補」。スタミナ面の不安などもあり、まだまだ完調とは言い難いが、少なくとも勝負ができるコンディションまでは戻したという印象だ。ここから優勝するためにいかなる手札、戦略を持ち込むのか。当日のウルフの柔道に注目したい。
頭の良さはエンタメ方面でも遺憾なく発揮されており、東京五輪後にはテレビに出まくってお茶の間の人気者となった。トーク力、企画力ともに極めて高い。現在は柔道に専念するために出演を控えているが、一般の知名度は抜群。自身のYouTubeチャンネルも好評であり、フォロワー数は4.86万人(2024年7月現在)。
おもな戦績
2021年 東京五輪 優勝
2017年 ブダペスト世界選手権 優勝
2019年 全日本選手権 優勝
最近の成績
2024年5月 グランドスラム・カザフスタン 優勝
2024年3月 グランドスラム・アンタルヤ 3位
2024年2月 グランドスラム・パリ 優勝
Judobase：https://judobase.ijf.org/#/competitor/profile/17383
Judoinside：https://www.judoinside.com/judoka/92408/Aaron_Wolf/judo-career
更新日：2024年7月4日(パリオリンピック2024特集)
監修：eJudo編集部
東京2020オリンピックでの記事
WOLF Aaron
25歳 1996/2/25
WR：5位 組み手：左組み
得意技：左内股、左大内刈、左小外掛
使用技：肩車、横落、左大外刈、左支釣込足、隅返、裏投
2017年ブダペスト世界選手権金メダリスト。2019年には体重無差別の全日本柔道選手権でも優勝を果たした。優れたパワーとスタミナ、そして己の特徴を良く理解した戦略・戦術・技術の練り込みが大きな特徴。奥襟を持って相手を懐に抱き込む形が進退のベース。得意技の左内股は一歩目を深く踏み込むことで相手を前傾させ、継ぎ足と同時に跳ね上げる独特の技法。この「ウルフ内股」のみならず、引き手で前帯を持ってケンケンで追い込む左大内刈など独自のアレンジを技を数多く持っている。階級きっての頭脳派であり、分析、作戦立案、戦術選択など「頭に汗をかく」分野はいずれも極めて水準が高い。独特の技術体系からも現場での戦いぶりからも、高い知性を感じさせる選手だ。2019年に右半月板を負傷。復帰後はまだ新しい体のバランスに慣れていない印象、かつての畳に張り付くような安定感は戻っていない。今大会の位置づけは「有力な優勝候補の一」。
おもな戦績
2017年 ブダペスト世界選手権 優勝
2019年 東京世界選手権 3位
2019年 全日本選手権 優勝
最近の成績
2021年4月 アジア・オセアニア選手権 優勝
2021年4月 グランドスラム・アンタルヤ 2位
2019年12月 ワールドマスターズ青島 2位
更新日：2021年7月18日(東京オリンピック特集)
監修：eJudo編集部
東京世界柔道選手権2019での記事
WOLF Aaron
23歳 1996/2/25
WR：7位
組み手：左組み
得意技：左内股、左大内刈、左小外掛
使用技：肩車、横落、左大外刈、隅返、裏投、左支釣込足
2017年ブダペスト世界選手権金メダリスト。負傷明けで出場した昨年大会は5位と不本意な結果に終わった。今年は4月の全日本選手権で念願の初優勝を飾り、その勢いに乗って2年ぶりの世界王者獲得を目指す。得意技は、作用足を深く差し入れてから継ぎ足で一気に跳ね上げる左内股。左大内刈や前技フェイントの左小外掛、組み際の肩車も得意としている。非常に高い分析能力を持ち、用いる技はどれも自らのスタイルに合わせてカスタマイズされた独特のものだ。投げの威力はもちろん階級随一だがパワーやスタミナにも優れ、作戦立案能力や試合中の戦術選択能力も高い、階級きっての試合巧者でもある。体力、技術力、精神力と通常語られる柔道選手評価の項に加えて、「知力」というパラメーターの存在を強く意識させる選手。
おもな戦績
2019年 全日本選手権 優勝
2018年 バクー世界選手権 5位
2017年 ブダペスト世界選手権 優勝
最近の成績
2019年7月 グランプリ・ブダペスト 優勝
2019年4月 全日本選手権 優勝
2019年4月 全日本選抜体重別選手権 2位
更新日：8月27日(東京世界柔道選手権2019特集)
