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【東京世界柔道選手権2019特集】マロンガが圧勝V、連覇まであと一歩の濵田尚里は決勝の悪手で自滅・女子78kg級速報レポート

マドレーヌ・マロンガ MALONGA, Madeleine at World judo championships 2019 tokyo
25歳にしてついに初優勝を飾ったマドレーヌ・マロンガ

日時:2019年8月30日
会場:日本武道館

→東京世界柔道選手権2019組み合わせ(公式サイトippon.org内)
→特集ページ「東京世界柔道選手権2019・完全ガイド」
→女子78kg級直前プレビュー
女子78kg級全試合結果

東京・日本武道館で行われている東京世界選手権2019は28日、競技日程第6日の男子100kg級と女子78kg級が行われ、女子78kg級はマドレーヌ・マロンガ(フランス)が優勝した。マロンガは全試合一本勝ちの圧勝、決勝は日本代表の濱田尚里(自衛隊体育学校)から大外刈「技有」、大外返「一本」と連取する圧勝だった。

MALONGA defeats AGUIAR at Semifinal
準決勝、マロンガがマイラ・アギアールから隅落「一本」

オドレイ・チュメオの後を受けてフランスの78kg級に新たな時代を開かんとするマロンガは25歳、これが4度目の世界選手権出場。第4シードで大会をスタートすると、まず2回戦はイ・ジョンギュン(韓国)を59秒内股「一本」。3回戦のヴァネッサ・チャラ(エクアドル)戦は両者に「指導2」が同時に与えられる面倒な試合となったが2分29秒小内刈「一本」であっさり解決。一気に対戦相手のステージが上がった準々決勝からは一段ギアを踏み込み、激戦ブロックを勝ち上がって来たナタリー・パウエル(イギリス)を僅か1分21秒の間に内股で2度投げつける合技「一本」で快勝。きょうのマロンガは強い、と会場ざわめく中で行われた大一番、こちらもここまで全試合一本勝ちの優勝候補マイラ・アギアール(ブラジル)を畳に迎えた準決勝も2分45秒の隅落「一本」で快勝。満場どよめかせる強さで決勝進出。

濵田尚里。HAMADA finishied by Ude-Garami and defeats APOTEKAR
準決勝、濵田尚里がクララ・アポテカーから腕緘「一本」

一方の濱田、初戦は緊張ゆえか足元が定まらず予想外に時間が掛かったもののリリアナ・カルデナス(メキシコ)の腰を無理やり捕まえての谷落「技有」から横四方固に抑え込んで一本勝ち。以後は落ち着きを取り戻し、続いてソフィー・ベルガー(ベルギー)を42秒大内刈「一本」、パトリシア・サンパイオ(ポルトガル)を1分13秒崩上四方固「一本」、準決勝はクララ・アポテカー(スロベニア)を49秒腕緘「一本」と無敵の強さ。組み合わせの良さにも助けられ、こちらも全試合一本勝ちでの決勝進出。

マデリーン・マロンガ
決勝、マロンガがまず大内刈で「技有」先行

しかし決勝は、組み手を制し、圧力を効かせるマロンガが圧倒。まず引き手で前襟を掴み、この長い腕を張って距離を取り、濵田に掴ませぬまま遠間から釣り手を奥襟に降らせ、一方的な組み手を作ると一転今度は距離を詰めて圧力を掛ける。濱田は組み手の手順に楔を打てぬまま圧力を受け続け、1分21秒にはマロンガの大内刈に押し潰れされて「技有」失陥。ここから素早く寝技を展開しあわや腕挫十字固を決めるかというところまで歩を進めるが、これは果たせず「待て」。

濵田尚里 Malonga punished Hamada for her reckless Osoto-gari attack.
マロンガが大外返「一本」で勝利

ビハインドは負ったものの残り時間は2分以上と十分、そして得意の寝技に持ち込めば十分勝てる相手。勝負はこれからと思われたが、ここで濵田は異次元の選択。完璧に組み負けた状態から無理やり腕一本を抱えての右大外刈に踏み込む。相四つというパワーを受けやすい関係でしかも体格と力が勝る相手に、それも完璧に組み勝たれた状況で、かつどんな相手であっても構造上必ず一瞬力比べになる大外刈を、その上時間がたっぷり残ってかつ寝技という具体的に勝機のある選択肢を打ち捨てて、目を瞑って仕掛ける。あまりにも「斜め上」の理由がまったく理解しかねる選択。相手の釣り手の横棒に自ら喉を突っ込む形になった濵田は当然崩れ、マロンガが釣り手を上げて大外返を放つと足先から頭まで反りかえる異様な姿で轟沈。大外返「一本」。これまでも度々規格外の選択を見せて来た濵田だが、その柔道の「理のなさ」は我々の想像を遥かに超えていた。まったくやる必要のない「自殺」としか表現しようのないこの一撃で、濵田の連覇は潰えた。

マロンガは前述の通り全試合一本勝ちで初優勝。ジュニア時代から将来を嘱望されながらなかなか伸び切れないまま25歳になっても世界選手権のメダルなし。しかし前任者チュメオとの2人代表という「のりしろ」期間を経てついにこの大会で一本立ち。力が力を制す仁義なき78kg級世界に新たな覇権を打ち立てた。フランスは前日のマリーイブ・ガイに続き連日の金メダル獲得、王国復活を大いに印象付けた。

3位にはアギアールと、ロリアナ・クカ(コソボ)が入賞。クカは準々決勝でアギアールに敗れたものの、2回戦でルイーズ・マルツァーン(ドイツ)を「指導3」、3位決定戦ではアポテカーを腕挫三角固「一本」で破るなどしぶとい戦いで母国に今大会3つ目のメダルをもたらした。

メダリスト以外で目立っていたのは前述アポテカーに、マー・ジェンジャオ(中国)。マーは2回戦で第1シードのフッシェ・ステインハウス(オランダ)を払巻込「技有」、3回戦では前戦で豪快な裏投「一本」を披露したベルナデッテ・グラフ(オーストリア)との壮絶な投げ合いを大内刈「一本」で制してベスト8入り。アポテカーとサンパイオに連敗してメダルは逃したがトーナメントを掻き回し、前半戦は主役級の働きだった。

入賞者と決勝ラウンド戦評、日本代表選手全試合の戦評は下記。

入賞者

78kg級メダリスト。左から2位の濱田尚里、優勝のマドレーヌ・マロンガ、3位のマイラ・アギアールとロリアナ・クカ。
78kg級メダリスト。左から2位の濱田尚里、優勝のマドレーヌ・マロンガ、3位のマイラ・アギアールとロリアナ・クカ。

【入賞者】
(エントリー40名)
1.MALONGA, Madeleine (FRA)
2.HAMADA, Shori (JPN)
3.AGUIAR, Mayra (BRA)
3.KUKA, Loriana (KOS)
5.APOTEKAR, Klara (SLO)
5.SAMPAIO, Patricia (POR)
7.MA, Zhenzhao (CHN)
7.POWELL, Natalie (GBR)

【成績上位者】
優 勝:マドレーヌ・マロンガ(フランス)
準優勝:濵田尚里(自衛隊体育学校)
第三位:ロリアナ・クカ(コソボ)、マイラ・アギアール(ブラジル)

決勝ラウンド戦評

【3位決定戦】
ロリアナ・クカ(コソボ)○腕挫三角固(3:21)△クララ・アポテカー(スロベニア)

3位決定戦、ロリアナ・クカがクララ・アポテカーから腕挫三角固「一本」
3位決定戦、ロリアナ・クカがクララ・アポテカーから腕挫三角固「一本」

クカが左、アポテカーが右組みのケンカ四つ。長身のアポテカーは釣り手を上から持って得意の巻き込み技を狙うが、クカは釣り手を下から突いて自らの間合いを作り、得意の敢えて釣り手で低い位置を持った左釣込腰や左小外刈を出しながら試合をコントロールする。2分8秒、展開に窮したアポテカーが我慢できずに不十分な技の作りから右払巻込を仕掛けると、これを待ち構えたクカが隅落で捲り返して「技有」を得る。直後の2分35秒には相手の奥襟を嫌って伏せたクカに偽装攻撃の「指導」が与えられるが、アポテカーも具体的な攻撃手段を欠き、あと一歩相手を追い込み切れない。3分間際、アポテカーはついにその長い腕で相手の後帯を掴み、乾坤一擲の右釣腰で勝負を仕掛ける。この技にクカの体が一瞬浮きかけるも、やはり作りが甘く自ら畳に伏せてしまう。クカ、このチャンスを逃さずに立ち上がろうとする相手に跨って潰し、背後から「縦三角」に相手をロックしながら腕挫三角固を仕掛ける。完全に上体を制されて腕を極められたアポテカー、これには堪らず、3分21秒「参った」。

【3位決定戦】
マイラ・アギアール(ブラジル)○内股(1:19)△パトリシア・サンパイオ(ポルトガル)

マイラ・アギアール。Mayra Aguiar defeats Patricia Sampaio by well prepared Uchi-mata.
3位決定戦、マイラ・アギアールがパトリシア・サンパイオから内股「一本」

アギアールが左、サンパイオが右組みのケンカ四つ。アギアールは前に出、芯の据わった動きで一気に二本持つなり二段の左小外刈で追いこむ。サンパイオが崩れ伏せ、アギアールが絞めを狙って「待て」。続く展開、アギアールは相手に釣り手の内側を持たせたまま、外から握った釣り手と引き手を狭く保ち、やや前傾することで締める圧力を保ちながら前進。またもや左小外刈で崩して場外まで弾き出し「待て」。
アギアール今度も敢えて相手に釣り手の内側を与え、その上で外から回した釣り手で完全にこれを締め潰す。続いて引き手で袖を掴むと、相手の左体側で頭を下げてほとんど「相四つ横変形」に構えて引き手を自分の腹付近まで絞り込む。相手の釣り手をロックし、引き手は相手の肩を下げさせたままこれもロックした状態。サンパイオは両腕を狭い空間に押し込まれて動けず、ひいては上体を動かせず、つまりは全身が剛体に近い状態。ここまで作ればあとは決めるだけ、アギアール左内股に飛び込むと、僅かに緩んだ空間の中でサンパイオ左に動いて逃げるが到底間合いが足りない。吹っ飛んで「一本」。まるで日本のウルフアロンを彷彿とさせる完璧な事前作り。アギアール貫録の銅メダル確保。

【決勝】
マドレーヌ・マロンガ(フランス)○大外返(2:24)△濵田尚里

マデリーン・マロンガ
決勝、マロンガがまず大内刈で「技有」先行

右相四つ。マロンガはそのコンディションの良さゆえか、それとも気合いゆえか普段より一段体が大きく見える印象。
マロンガまず左引き手で前襟を持ち、右大内刈を仕掛けることで釣り手を奥襟に入れる。濱田なんとか引き手は得るが釣り手は絞り込まれてまったく掴めない状態。「10-0」に近い一方的な体勢であるが、主審は試合を止めてマロンガに袖口を絞り込んだ咎による「指導」を宣告する。
しかしマロンガに動揺の色はなく、まず引き手で袖の内側を握り、釣り手で奥襟を叩く。ここからいったん横変形に位置を変えて頭を下げ、顔を横に向けることで濵田にまともな釣り手の持ちどころを与えず、次いでこれを絞り切るという完璧な手順。濱田はなかなか釣り手が定まらない。頭を下げるばかりの濱田をマロンガが前にはたき込んで潰し、「待て」。これを受けた1分2秒、濵田に偽装攻撃の咎による「指導」。

マロンガまたもや引き手で前襟を掴んでいったん張り、次いで大内刈を仕掛けることで奥襟を叩き、防がせる間に引き手の位置を調節するという前段と同じやり口。引き手で袖を一方的に持ったまま織り込むと、濵田は引き手の掌で相手の体を触って防御、釣り手はどこも持っていないという宙ぶらりんの状態となる。このあまりにも一方的な形からマロンガ右大外刈、刈り足が抜けて大内刈の形となったがそのまま右後隅に突進してグシャリと潰し「技有」。

しかし転ばされた濵田チャンス到来とばかりにすかさず寝技に引き込んで相手を一瞬置き去り、すぐさま寝姿勢から両足の巴投、グルリとマロンガを一回転させると腹這いに伏せた相手の左腕を引っ張り出して腕挫十字固を狙う。これで取り切ればまさに「肉を切らせて骨を断つ」。会場沸き返るが、マロンガ徐々に位置をずらして隙間を作り、最後は引き抜いて立ち上がり「待て」。この時点で試合時間は1分48秒、残り時間は2分12秒

濵田尚里 マドレーヌ・マロンガ
濵田が組み負けた状況から大外刈
マドレーヌ・マロンガ、濵田尚里
マロンガが大外返で迎え撃ち「一本」

マロンガの手順は変わらず。引き手で前襟を掴み、まず張って、次いでこれを折り曲げながら奥襟を叩いて寄せる。濱田為す術なく潰れて「待て」。リーチに勝るマロンガが前襟を掴めむと、距離を取りたければ張って離れ、寄せたければ曲げて近づき、と間合いのコントロールは自在。既にリードを得て、離れるか、組み勝ったときだけ近づくという二極のみで戦いたいマロンガにとってはこの前襟確保がまさに生命線だ。

ところが濵田はこの戦術の要を潰せず、組み手の手順を変えぬまま前襟確保を許し続ける。当然マロンガは組み勝ち続け、濵田は引き手一本のマロンガに対し二本まったく持てぬまま手だけを伸ばすという極端に苦しい場面まで生まれる。続く展開も同じ手順からマロンガが引き手を一方的に絞り込み、釣り手で奥襟を叩いてほとんど「10-0」で組み勝つ。濱田は苦境。

ここで濵田が信じがたい悪手。組み負けた状況にも関わらず、流されて持ちどころのない釣り手で相手の釣り手を抱えての右大外刈に打って出る。思い切り踏み込んだところを見ると、どうやら投げる気満々。組み負けた状況で、パワーと体格に勝る相手に、それもどんな掛け方でも構造上必ず力比べの投げ合いとなる大外刈という選択は「斜め上」という言葉を超えてもはや異次元。横に張られた鉄棒に自ら喉元をぶつける形で突っ込んだ濵田は、当然ながらマロンガが力を籠めるまでもなく勝手に仰け反ってしかも剛体。迎え入れたマロンガが釣り手を上げると軸足がぐにゃりと曲がり、足先から頭まで仰け反り返って畳に埋まり「一本」。

マロンガ優勝決定。首を抱えたまま宣告を待ったマロンガの下で、「死に爪」の正座の形で脚を折り曲げた極めて不自然な格好で負けを受け入れる濵田の体勢が、その選択の「理のなさ」を存分に表していた。寝技に持ち込みさえすれば絶対に勝てる相手に、残り時間が十分ある中で、わざわざ絶対に勝てるわけのない体勢を選んで、しかももっとも返しやすい技を選択して勝負に出る。前段のマロンガの投げが「技有」で止まっていたという延命処置を拒否する、まさに自殺行為。なぜこんなことをするのか、投げたマロンガのほうも薄気味悪く思ったのではないだろうか。ここ数年、すべてを寝技の強さで覆い隠して来た濵田の、理のなさがこれ以上ない形で示されてしまった試合であった。

日本代表選手全試合戦評

【2回戦】
濵田尚里○合技[谷落・横四方固](3:36)△リリアナ・カルデナス(メキシコ)

2回戦、濵田尚里が強引な谷落でリリアナ・カルデナスから「技有」
2回戦、濵田が強引な谷落でリリアナ・カルデナスから「技有」

右相四つ。濵田引き手で袖を一方的に掴み、釣り手で奥襟を狙う。カルデナスはこの釣り手を徹底して持たせず、危ういと見れば釣込腰の形でいったん左肩を遠ざける。掛け潰れ、場外への回避もあり、組み合う時間が極端に短い。濵田は釣り手が持てぬとみると作戦を変更、片襟を差しながらの右大外刈、大内刈と組み際の技を連発するが相手の重心を捕まえきれず、固定できぬまま足を抜かれてしまうことが続く。前進行動も相手を場外に逃がすという方向に働き、力の差がスコアになかなか反映されない。大外刈や大内刈から、あるいは引き手で袖を折り込む一方的な形から走って追い込むのだが、まだ動きが硬く、腰が浮いている印象で詰め切れず。

しかし残り40秒を切ったところ、奥襟を得ての捩じり合いから生まれた流れで濵田必死の動き。自ら釣り手をいったん切って引き手を折り込むと、横を向いて逃れた相手を走って追いかけて右から背中越しに通り抜けて左腰を抱き、足を右小外掛の形で流しながら谷落。先に自分の体だけが落ちてしまったが、帯を掴んだ左手一本で引き落として無理やり尻餅を着かせ、最後は被さって「技有」。そのまま横四方固に抑え込んでぶじ合技の一本勝ち。

掴まえられない相手の重心を、無理やり捕獲した形。力の差を考えれば決してスマートな試合ではなかったが、緊張解けるであろう次戦以降に期待。

【3回戦】
濵田尚里○大内刈(0:42)△ソフィー・ベルガー(ベルギー)

3回戦、濵田尚里がソフィ・ベルガーから大内刈「一本」
3回戦、濵田がソフィ・ベルガーから大内刈「一本」

右相四つ。濵田前戦の凸凹した試合ぶりが嘘のような落ち着いた表情で「はじめ」の声を聞く。引き手で袖をしっかり持って軸を作ると釣り手で奥襟を求め、窮した相手の支釣込足の戻りに二本を得るなり右大内刈を叩き込む。文句なしの「一本」。

【準々決勝】
濵田尚里○崩上四方固(1:13)△パトリシア・サンパイオ(ポルトガル)

準々決勝、濵田がパトリシア・サンパイオから崩上四方固「一本」
準々決勝、濵田がパトリシア・サンパイオから崩上四方固「一本」

右相四つ。長身のサンパイオ引き手でまず前襟を掴んで距離を取りながら奥を狙う。濵田はこの前襟を敢えて受け入れてまず引き手で袖を得ると、この釣り手を切ってやりなおし、結果的には二本をしっかり得る。組み合うことを強いられたサンパイオはしかし嫌い過ぎず支釣込足、続いて濵田の釣り手の肘が上がって脇が空くと打点高めの左袖釣込腰。濵田が力を籠めて組んだときの癖のひとつを突いた格好、上がった肘を下からこじ上げる理のある技であったが、なにしろ地力に差があり過ぎる。弾き返されたサンパイオだけが畳に伏せ、濵田すかさず食いついて寝技を展開。頭側から左横帯を掴んで右肩を下げさせ、腹下に出来た隙間に体を滑り込ませていく。引込返で右前隅に転がすと、両足で必死に絡みつくサンパイオに構わず淡々と右腕を引っ張りだして括る。括りが出来上がると手順通りに足を引き抜き、横四方固。腕緘も出来る場面であったが余計な足し算はせず、相手の動きに最低限の動きで対処。最後は崩上四方固でバランスして抑え切り「一本」。冷静に為すべきことを為した試合。実力差通りの圧勝であった。

【準決勝】
濵田尚里○腕緘(0:49)△クララ・アポテカー(スロベニア)
身長187センチの超大型、アポテカーを畳に迎える一番。組み合わせに恵まれた濵田はここからようやくワールドツアーの常連クラスとの戦いが始まる。しかしこの試合もあっという間に決着。アポテカーが払巻込に潰れると濵田すぐさま寝勝負を展開、右腕を捉え、腕一本を抱える形の崩袈裟固で抑え込みながら腕緘を極め続ける。観念したアポテカーが「参った」を表明して試合はあっという間に決着。

【決勝】

濵田尚里△大外返(2:24)〇マドレーヌ・マロンガ(フランス)
※前掲のため省略

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