【東京世界柔道選手権2019特集】朝比奈、素根、オルティスが三強・女子78kg超級概況×有力選手
階級概況
現役世界王者の朝比奈沙羅(パーク24)、昨年のワールドマスターズ王者の素根輝(環太平洋大1年)、そして世界大会で3度の優勝経験を持つイダリス・オルティス(キューバ)の3名が優勝候補。柔道自体の強さでは朝比奈が他の2人をややリードしているように思われるが、作戦立案能力や戦況を見極める力では素根とオルティスが大きく朝比奈を上回っており、相性的な利は素根とオルティスにある。朝比奈としては相手の戦略に絡め取られる前に、ガツガツと前に出て先に「指導」を得、優位を作ってしまいたいところだ。
この3名を追うのがイリーナ・キンゼルスカ(アゼルバイジャン)、ラリサ・セリッチ(ボスニア・ヘルツェゴビナ)らの図内「トップグループ」に挙げた選手たち。本来この筆頭格であるはずのキム・ミンジョン(韓国)は今大会にエントリーしていない。本階級はトップグループと第2グループの間の差が大きいため、上位戦はほぼこのクラス以上の選手で占められることになるだろう。ただしトップグループ内の選手同士の力は競っており、ここから誰がメダルを獲得するのかまで予想することは難しい。
有力選手
随時更新。「東京世界選手権完全ガイド」トップページ>から、78kg超級の「有力選手」ボタンをクリックして頂きたい。有力選手をピックアップして、その柔道の傾向と組み手、得意技や実績を紹介する。
シード予想
イダリス・オルティス(キューバ)が第1シードとしてトーナメントの上側に置かれ、朝比奈沙羅(パーク24)と素根輝(環太平洋大1年)が下側の山の準決勝で激突することとなった。両者の準々決勝の相手は朝比奈がマリーナ・スルツカヤ(ベラルーシ)、素根がラリサ・セリッチ(ボスニア・ヘルツェゴビナ)であり、いずれも敗れるようなことはないだろう。
朝比奈と素根のライバル対決は、現在素根の5連勝中。この5試合ではいずれも朝比奈が序盤優位を作りながら、中盤以降に自らのミスで展開を失い敗れている。前述のとおり柔道自体の強さはまだ朝比奈に分があるものの、試合運びの上手さでは素根が大きく勝っており、それが結果に反映されている格好だ。加えて素根は釣り手の使い方が巧く、組み手で優位を作りながらじっくり勝機を待つことが出来る。ただし、結果こそ大差もその内容はいつも紙一重、どちらかが確実に勝利すると予想できるまでの材料はない。この大会の結果は東京五輪の代表決定に直結するものであり、まして地元の五輪プレイベントのおける直接対決ともなればその影響は甚大。どちらにとっても負けられない戦いだ。決勝で待ち受けるオルティスは「指導3」による勝利を狙って耐久戦を仕掛けてくるものと思われるが、決勝のことは二の次三の次。プライオリティは明らかにこの対決のほうが上だ。どちらもこの試合に全てを出し切るつもりで臨むはず。熱戦に期待したい。
【プールA】
第1シード:イダリス・オルティス(キューバ)
第8シード:ベアトリス・ソウザ(ブラジル)
【プールB】
第4シード:マリア=スエレン・アルセマン(ブラジル)
第5シード:イリーナ・キンゼルスカ(アゼルバイジャン)
【プールC】
第2シード:朝比奈沙羅(パーク24)
第7シード:マリーナ・スルツカヤ(ベラルーシ)
【プールD】
第3シード:ラリサ・セリッチ(ボスニア・ヘルツェゴビナ)
第6シード:素根輝(環太平洋大1年)