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【東京世界柔道選手権2019特集】混戦模様もツシシヴィリ筆頭の3名が優勝候補、「担ぎ系」の陣取り合戦にも注目・男子100kg超級概況×有力選手

原沢久喜
日本代表は原沢久喜

階級概況

東京世界柔道選手権2019、男子100kg級実力推測マップ。
男子100kg級「実力推測マップ」

昨年大会に続く、絶対王者テディ・リネール(フランス)不在時の暫定王者決定第2ラウンド。「実力推測マップ」は純戦力(序列)と、「担ぎ技系か非担ぎ系(本格派タイプ含む)か」という技術的なタイプ、現在の最重量級の実相に合わせて2つの項を掛け合わせて作らせて頂いた。

優勝候補は現役世界王者のグラム・ツシシヴィリ(ジョージア)を筆頭に、2016年リオデジャネイロ五輪銀メダリストの原沢久喜(百五銀行)、同大会100kg級金メダリストのルカシュ・クルパレク(チェコ)の3名だ。このなかでは具体的な投げ技に乏しいクルパレクが一段落ちるのではないかと観察するが、それでも2メートル近い身長とフィジカル面の強さはトップグループから頭1つ抜けており、その意味で図内「優勝候補」グループに含めさせてもらった。原沢とクルパレクはともに担ぎ技系を比較的苦手としており、ここから考えれば実績、相性ともに最も優勝に近いと目されるのはツシシヴィリ。ただし原沢はこの両者いずれとも対戦歴がなく、実際に戦った場合にどうなるかはまだ読みがたいところがある。また、ツシシヴィリも実は自身と似た担ぎ技系を苦手としており、このタイプが主流となって来ている中できっちり勝ち上がれるのかも注目ポイント。

これを追うのは、ラファエル・シウバ(ブラジル)、オール・サッソン(イスラエル)らの「トップグループ」。ここにも過去のメダリストやそれに準ずる強者が多くおり、優勝候補を食ってしまう可能性も十分に考えられる。また、その下の第2グループも成績のアベレージから分類しただけであり、ヤキフ・ハモー(ウクライナ)やヘンク・フロル(オランダ)ら一発勝負であればトップグループに勝利するだけの力を持つ選手が揃っている。この階級もやはり混戦模様である。優勝候補に上げた3名も決して絶対ではなく、組み合わせ次第ではトーナメント中途で消えることも十分にあり得る。

グラム・ツシシヴィリ
連覇を狙うグラム・ツシシヴィリ

勝ち上がりという観点からの概況は以上だが、本階級にはもう1つ、前述の通り「担ぎ技系vs非担ぎ技系」という横軸が存在する。絶対王者リネールに対するアンチテーゼとして100kg超級で流行し始めたと思われる担ぎ技だが、2016年リオデジャネイロ五輪におけるサッソンの躍進を経て、昨年のツシシヴィリの戴冠でピークに達した感がある。現在の階級の主役はスピードと担ぎ技の保有という2項目を満たす選手たち。果たしてこの傾向はこれ以降も加速していくのか。当然今度はこの流れに対するアンチテーゼとして非担ぎ技系の選手たちもなんらかのスタイルの変化や対応策を持ち込むと思われ、このあたり両陣営の技術的攻防にも注目だ。

有力選手

ルカシュ・クルパレク
ルカシュ・クルパレク

随時更新。「東京世界選手権完全ガイド」トップページから、100kg超級の「有力選手」ボタンをクリックして頂きたい。有力選手をピックアップして、その柔道の傾向と組み手、得意技や実績を紹介する。

シード予想

東京世界柔道選手権2019、男子100kg級シード予想
男子100kg級シード予想

グラム・ツシシヴィリ(ジョージア)と原沢久喜(百五銀行)はともにトーナメントの上側に置かれ、準決勝で対戦が組まれることとなった。それぞれ準々決勝でツシシヴィリがキム・スンミン(韓国)、原沢がラファエル・シウバ(ブラジル)と対戦予定となっているが、いずれも勝ち上がりは自体は問題ないと思われる。原沢とツシシヴィリの対戦は前述のとおり、相性的にはツシシヴィリが有利と思われる。原沢は袖を絞ってくる相手と担ぎ技を用いる相手を比較的苦手としているが、ツシシヴィリはこの2点に特化した謂わばそのスタイルの権化のような存在。原沢も当然自身のウィークポイントは理解していると思われ、どのような柔道でこれに対抗するのかにも注目だ。

一方、ルカシュ・クルパレク(チェコ)は優勝候補のなかでは1人だけトーナメントの下側を引いた。しかし、準々決勝の相手にロイ・メイヤー(オランダ)、準決勝の相手にダヴィド・モウラ(ブラジル)とオール・サッソン(イスラエル)の勝者と、苦手の担ぎ技系、あるいは担ぎ技を保有する選手が置かれており、勝ち上がりの難易度は高い。

シード外にも有力選手は多いが、優勝候補3名はともに担ぎ技系を苦手としており、これを満たすトップグループの選手はナイダン・ツヴシンバヤル(モンゴル)、ウルジバヤル・デューレンバヤル(モンゴル)、キム・ミンジョン(韓国)の3名。これらの選手の配置によって序盤戦の消耗度合いが大きく変わると予想され、ドローはこの3名の配置に注目したい。

【プールA】
第1シード:グラム・ツシシヴィリ(ジョージア)
第8シード:キム・スンミン(韓国)

【プールB】
第4シード:原沢久喜(百五銀行)
第5シード:ラファエル・シウバ(ブラジル)

【プールC】
第2シード:ルカシュ・クルパレク(チェコ)
第7シード:ロイ・メイヤー(オランダ)

【プールD】
第3シード:ダヴィド・モウラ(ブラジル)
第6シード:オール・サッソン(イスラエル)

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