グランドスラム・パリ2022 日本代表選手勝ち上がり速報・早出し戦評
日時:2022(R4)年2月5日~6日
会場:アコーアリーナ・オブ・ベルシー
男子60kg級
永山竜樹(了徳寺大職) 優勝
【2回戦】永山竜樹〇合技[隅落・縦四方固](3:29)△ディルショドベク・バラトフ(ウズベキスタン)
永山が右、バラトフ左組みのケンカ四つ。バラトフ背中を深く叩いて迫るが、永山落ち着いて対処。ここぞでは背中を叩き返して打ち合いに応じ、あるいは小外刈でつついてペースを譲らない。嫌い始めたバラトフに1分52秒「取り組まない」咎による「指導」。2分26秒には巴投に潰れたバラトフに偽装攻撃で2つ目の「指導」が与えられる。後のなくなったバラトフは背中を掴んで隅返、さらに後帯を掴んで裏投の特攻。しかし永山バランス良く被り返して寝技に繋ぐ。横四方固に抑え込んだところで前段の被りに「技有」が与えられる。永山いったんは脚を絡まれてしまい「解けた」となるが、抜いて縦四方固に抑え込んで大過なく合技「一本」。
【準々決勝】永山竜樹○巴投(0:25)△イ・ハリン(韓国)
永山、イともに右組みの相四つ。22秒、永山は両袖を絞るなり思い切り良い巴投。両足でコントロールして相手を背中から畳に落とす。主審、当初は「技有」を宣告するも、映像チェックの結果ポイントが訂正され「一本」。永山、強敵イを全く寄せ付けず「秒殺」。
【準決勝】永山竜樹〇優勢[技有・足車]△カラマット・フセイノフ(アゼルバイジャン)
永山右、フセイノフ左組みのケンカ四つ。永山右出足払で先制攻撃、フセイノフの片手内股を右一本背負投でいなし、続いて左「一本大外」、さらに深く呼び込みながらの左背負投で打点高く回す。これは落ち際に反転されてポイントとはならなかったが、直後の1分1秒フセイノフに消極的試合姿勢の「指導」。永山は以後も右内股と小内刈のコンビネーション、右出足払に左背負投と繰り出して快走。フセイノフは片手の左内股をベースに右肩車も織り交ぜながらペースを掴み返そうとするが、完全に見切っている永山は潰し、腕を跨ぎ、動じない。3分11秒、永山右小外刈から素早く右足車に繋ぐと、スピードアップについていけないフセイノフ一瞬で体側から落ちる。映像チェックの結果これは「技有」。永山は右背負投、左背負投と交互に繰り出してクロージング態勢。フセイノフの変則左袖釣込腰もあっさりいなしてタイムアップ。
【決勝】永山竜樹〇合技[抱分・横四方固](3:29)△ジョン・スンビョン(韓国)
永山右、ジョンは左組みのケンカ四つ。ジョンの右一本背負投を深く受けた永山抱分で放るが反転されてしまい惜しくもポイントにはならず。永山出足払を交えて優位に試合を進めるが、1分過ぎには逆に左一本背負投を抱かれて放られ、あやうく腹ばいに落ちて「待て」。1分38秒、掛け潰れて伏せたジョンが寝勝負を嫌って匍匐で場外まで這いずり、場外の「指導」。永山2分半過ぎには右出足払でポイント級の投げを見せ、続いて左背負投で大きく回す。受けには粗さがあるものの、攻めは好調。残り1分を過ぎたところでジョンが右一本背負投、しかし永山反応良く抱いて大きく放り、抱分「技有」。そのまま横四方固に抑え込んで合技「一本」。
男子66kg級
田中龍馬(筑波大2年) 3位
【2回戦】田中龍馬〇袖釣込腰(1:56)△ボジダル・テメルコフ(ブルガリア)
田中が右、テメルコフ左組みのケンカ四つ。テメルコフ長い腕を利して片腕を抱き込み、「ケンカ四つクロス」の左内股を見せて絡みつく。49秒双方に「取り組まない」咎で「指導」。1分51秒には手首を抱き込んで守ったテメルコフに2つ目の「指導」が与えられる。直後田中、これまでの袖狙いから一転引き手で襟を引っ掴むと、懐に入り込んで右袖釣込腰。いままでの膠着が嘘のようにテメルコフあっさり宙を舞い、田中打点高く頭上から抜き落としで「一本」。
【準々決勝】田中龍馬〇GS反則[指導3](GS0:15)△ウィリアン・リマ(ブラジル)
田中右、リマ左組みのケンカ四つ。リマ体を投げだしての右背負投で横に振って先制攻撃、以後は肩車に左一本背負投と片手技を続ける。田中しっかり捌くも手数で後手を踏み、1分33秒田中に消極的試合姿勢の「指導」。田中釣り手を持つと激しく振って牽制、これに過敏に反応したリマが右背負投で両手を離して潰れ、2分7秒偽装攻撃の「指導」。田中この相手に対して組み手の完成にこだわっては機を失うと見たか、モードを変えて片手の右背負投に右大内刈と連続攻撃。3分18秒リマに消極的的試合姿勢の「指導2」。残り23秒、田中の右小内刈に「技有」が宣せられるがこれは取り消しとなり試合はGS延長戦へ。しかし田中は一度掴んだペースを離さず、右背負投を2連発。ここからの寝技の展開が終わったところで主審リマに消極的試合姿勢の「指導3」を宣告。田中、ベスト4入り決定。
【準決勝】田中龍馬△GS反則[指導3](GS1:34)〇アン・バウル(韓国)
田中が右、アンは左組みのケンカ四つ。アンは左袖釣込腰で先制攻撃。以後も組み際に左背負投を先んじて仕掛ける挙を続け、1分45秒、2分0秒と田中に消極的試合姿勢による「指導」が2つ与えられる。アンはあくまで田中に仕掛けさせぬまま走り切る構え、しかし組み手があまりにも偏狭に過ぎ、2分14秒、3分31秒といずれも両袖ブロックの「指導」失陥。ここでスコアはタイとなる。しかしアンは左背負投に右一本背負投と先手で塗りつぶす組み立てをあくまで止めない。田中はもはや完全に見切って立ったまま捌き、弾き返し続けるが自分の技を出す展開が作れない。GS1分34秒、アンが右一本背負投に掛け潰れた直後、これ以上の展開なしと見た主審が田中に3つ目の「指導」を宣告。勝利に徹したアンが、田中に何もさせぬまま決勝進出を決めた。
【3位決定戦】田中龍馬〇袖釣込腰(0:23)△ルーカス・サハ(フィンランド)
サハ、独特の動きで体を揺すって右袖釣込腰も田中動ぜず。サハが左で襟を掴みに来ると迎え撃ってこの袖を右で捉え、片手の右袖釣込腰。中途で残る左で袖を拾い、打点高く投げ切って「一本」。
男子73kg級
橋本壮市(パーク24) 2位
【1回戦】橋本壮市○優勢[技有・引込返]△ツルパル・ジュカエフ(フィンランド)
橋本が右、ジュカエフが左組みのケンカ四つ。最初の組み手争いで橋本がどこか痛めた様子、直後の4秒、ジュカエフに「指導」が与えられる。41秒、橋本にも消極的姿勢の「指導」。ひたすら背中を叩いて振り回すジュカエフに橋本は苦戦、右足を相手の腿に掛ける「外サリハニ」で間合いを取りながら対峙するが、なかなかペースを掴めない。1分23秒、ジュカエフに場外の「指導2」。しかし、2分8秒には橋本に消極的姿勢で「指導2」が追加され、さらに2分47秒にはなぜか3つ目の「指導」が与えられる。しかし、これはすぐに取り消し。直後、反対に直前の攻防での橋本の引込返が「技有」となり、このポイントで決着。
【2回戦】橋本壮市○優勢[技有・袖釣込腰]△ダニエル・カルグニン(ブラジル)
橋本、カルグニンともに右組みの相四つ。橋本はいつも通り組み手を持ち替えながら前に出て圧を掛ける。2分30秒、橋本は引き手で相手の腕を外から抱く「橋本グリップ」を作ると、すかさず片手の左袖釣込腰(「橋本スペシャル」)に飛び込み、頭から叩き落として「技有」。以降はカルグニンの捨て身の攻めの前に押し込まれる時間帯が続き、残り1分には自らの引込返に被られて抑え込まれかけ、さらに残り30秒には谷落で捲られかけるも、残り21秒に偽装攻撃の「指導」を失うのみで試合をまとめる。
【準々決勝】橋本壮市○優勢[技有・一本背負投]△フェイ・ヌジエ(ガンビア)
橋本、ヌジエともに右組みの相四つ。橋本は組み手の手順を進めながら前に出て圧を掛ける。1分7秒、場外に押し出されたヌジエに場外の「指導」。以降も橋本は圧を掛けながら前に出続け、3分13秒、組み際に組み手と逆の左一本背負投で「技有」。以降は余裕を持ったままこのポイントを守り切り優勢勝ち。
【準決勝】橋本壮市○GS技有・大内返(GS1:30)△ファビオ・バジーレ(イタリア)
橋本が右、バジーレが左組みのケンカ四つ。橋本は今大会多用している「外サリハニ」を用いて距離を取りながら圧を掛けてじっくりと組み手の手順を進め、一方のバジーレは積極的に相手を動かしながら技のチャンスを窺う。1分13秒、バジーレに場外の「指導」。ここからは1分近く橋本優位の時間が続くが、バジーレが隅返に肩車と技を積んだことで2分43秒、橋本に消極的姿勢の「指導」。しかし、ここから再び橋本が技を連発して山場を作り、3分29秒にはバジーレに消極的姿勢の「指導2」が追加される。残り6秒にはバジーレがポイント級の右内股を見せるも橋本腹這いで逃れ、勝負はGS延長戦へ。GS1分30秒、バジーレが奥を叩いて組み手と逆の右大内刈を仕掛けると、橋本これを押し止めながら大内返。一瞬の静止の後バジーレが勢い良く畳に落ちて「技有」。
【決勝】橋本壮市△GS反則[指導3](GS1:35)〇ラシャ・シャヴダトゥアシヴィリ(ジョージア)
ともに右組みの相四つ。橋本引き手を外から内へと抱え握る「橋本グリップ」を志向するが、シャヴダトゥアシヴィリは自らも引き手で腕を抱え込み、あるいは釣り手で奥を叩き、時に引き手で襟を持ち、組み手の形を変えながら橋本に棲みどころを与えない。30秒過ぎにクロスに叩いた形を端緒に橋本を場外で放るシーンも作り(ノーポイント)、じわりと優位。1分43秒双方に消極的試合姿勢の咎で「指導」。シャヴダトゥアシヴィリここからクロスの右大外刈に左背負投と積み、2分51秒には橋本に消極的試合姿勢の咎で「指導」。組み手と技が連動するのが売りの橋本だが、シャヴダトゥアシヴィリの巧い組み手の前に「やり直し」が増えてなかなか具体的な技まで歩を進められない。。試合はこのままGS延長戦へ。橋本シャヴダトゥアシヴィリに一手目の優位を与えることを嫌い、やはり切り合い、抑え合い、やり直しを続けることとなる。GS1分35秒主審試合を止めて、双方に両袖を抑えて膠着を企図したとの咎で「指導」。これで「指導3」となった橋本の敗退が決まった。
原田健士(ALSOK) 2回戦敗退
【1回戦】原田健士〇内股(3:54)△オドゲレル・ウランバヤル(モンゴル)
原田右、オドゲレル・ウランバヤル左組みのケンカ四つ。体の強いオドゲレル・ウランバヤル、釣り手一本で突いては左小外刈、右一本背負投、右への肩車と勢いよく組み際の技を連発。40秒双方に片手の「指導」。原田徐々に慣れ始めてしっかり捌き、2分14秒には引き手を求めて相手に片手の「指導2」を押し付けるが、先手攻撃を許して2分39秒には消極的試合姿勢で「指導2」失陥。寝技で攻めて展開を作り直すと、最終盤に引き手を持たせておいて右内股一撃。抜け掛けたがしっかり横に詰めて投げ切り「一本」。
【2回戦】原田健士△GS合技[出足払・隅落](GS0:15)〇ベンジャマン・アクシス(フランス)
原田右、アクシス左組みのケンカ四つ。長身のアクシス長い腕を振り回して迫り、背中を横から叩くと同時に左出足払。オルジョフを狩った前戦でも見せていたこの技で48秒「技有」。原田背中を抱き返して対抗、引き手争いとなり1分14秒に原田、時間差あってアクシスにも片手の咎で「指導」。アクシス背中を抱いて股中に作用足を入れ、原田を背中に着かせたまま内股の駆け引き。しかし原田裏投に切り返して1分47秒「技有」奪回。その後もアクシスの背中抱きに原田が裏で応じる形で、試合はGS延長戦へ。開始早々、前段と同様の展開から原田が裏投。しかしアクシスが被って落とし隅落「技有」。
男子81kg級
藤原崇太郎(旭化成) 優勝
【2回戦】藤原崇太郎〇小内刈(1:27)△ゼベダ・レフヴィアシヴィリ(セルビア)
藤原左、レフヴィアシヴィリ右組みのケンカ四つ。レフヴィアシヴィリは組み合うと右内股のエントリーから両足の巴投に入り込む巧技を見せるが、藤原なんなく捌いて「待て」。藤原粘り強く組み手を進め、両袖から釣り手で前襟を得ると左背負投。力を掛け合ったまま耐えさせ、いったん離れると同じモーションから左小内刈を仕掛ける。繋がったまま、粘る態勢で待ち受けたレフヴィアシヴィリは剛体。ゆっくり、そして意外なほど大きく崩れたところに手を離さぬまま藤原が突っ込んで回旋を呉れ、加速を掛けて「一本」。
【準々決勝】藤原崇太郎〇合技[崩上四方固・横四方固](3:47)△ロイク・ピエトリ(フランス)
藤原左、ピエトリ右組みのケンカ四つ。ピエトリ釣り手を外から抱えて進退、左払巻込の奇襲を見せるが藤原動ぜず。ピエトリの引き手争いに藤原が付き合わされた形の1分10秒、双方に「取り組まない」咎による「指導」。ピエトリ組み手をスイッチして左組み、左大外刈を見せる。続いてまたもスイッチしての左小内巻込を見せるが、藤原これを捌いて引込返。回すと相手を膝で制し、頭側から崩上四方固に抑え込む。14秒経過で逃がしてしまったが、1分30秒「技有」を得る。終盤、ピエトリまたもスイッチして左で上から叩くと、藤原落ち着いて切り返しの支釣込足。崩れた相手の背についてローリング、横四方固に抑え込む。上体をしっかり制し続けて合技「一本」。
【準決勝】藤原崇太郎○GS技有・大内刈(GS4:05)△シャロフィディン・ボルタボエフ(ウズベキスタン)
藤原、ボルタボエフともに左組みの相四つ。18秒、相手の引き手を嫌った藤原に取り組まないとして「指導」。以降もボルタボエフの強烈な引き手の把持の前に藤原はなかなか釣り手を持てない展開が続く。一方のボルタボエフもクロスグリップから強引な巻き込み技を連発するが決め切れず、互いに決定打ないまま試合はGS延長戦へ。GS45秒、左外巻込で掛け潰れたボルタボエフに偽装攻撃の「指導」宣告。さらにGS1分7秒には指を絡めたとして両者に「指導2」が追加。GS2分10秒には藤原がポイント級の左小内刈を見せるが、ボルタボエフは手を着いて耐え、ぎりぎりでポイント失陥を免れる。GS延長戦が3分を過ぎるとスタミナの切れたボルタボエフは組み際の左外巻込を連発して「指導」奪取を企図。対する藤原は焦って技を掛けるのではなく、あくまでも自らの強みである組み手で応じる。GS4分間際、藤原は釣り手で片襟を差すと引き手で横帯を掴んで拘束を強め、ケンケンの左大内刈。浴びせるように相手を体側から落としてGS4分5秒「技有」。藤原、3度目の対戦でボルタボエフに初勝利。
【決勝】藤原崇太郎〇小外掛(2:20)△タト・グリガラシヴィリ(ジョージア)
ともに左組みの相四つ。厳しい引き手の袖の絞り合いが続く。膠着を嫌ったグリガラシヴィリは釣り手をクロスに降らせると、支釣込足で蹴って動きを作り、背中に食いついてまるごと胴を抱く。藤原ここは割り切って潰れて「待て」。続く展開、グリガラシヴィリが袖を絞っていなし、再び背に食いつこうとすると藤原嫌わず迎え撃って打点高く左一本背負投。密着して高く担ぎ上げ、体を捨てて投げ切り1分13秒「技有」。「一本」でもおかしくない強烈な技だった。しかしグリガラシヴィリすぐさま逆襲。釣り手をクロスに降らせると相手を屈させたまま引き手で胴を抱いて帯取返、ほとんど俵返様に背筋を使って捲り投げ、1分24秒「技有」奪回。藤原「待て」が掛かると伏せたまま悔しさを露にするが、気持ちを切らさず以後も強気の進退。グリガラシヴィリのクロス組み手を大内刈で押し戻す。2分過ぎ、グリガラシヴィリが背中を叩いて「やぐら投げ」の大技。しかし持ち上げられ掛けた藤原これは予想の範囲内とばかりにインパクトをずらし、降りて己の左小外掛に変換。相手と繋がり、背を反らして踏ん張ったまままともに食らったグリガラシヴィリ崩落。劇的「一本」。
男子90kg級
村尾三四郎(東海大3年) 優勝
【2回戦】村尾三四郎○崩袈裟固(3:44)△フランシス・ダミエ(フランス)
村尾が左、ダミエが右組みのケンカ四つ。釣り手で背中深くを抱いて密着したいダミエに、釣り手を内から突いて距離を取りたい村尾という構図。49秒、腰の差し合いから村尾がケンケンの左大内で追い込み「技有」を得るが、これは直後に取り消される。2分16秒、間合いを詰めて場外に押し出された村尾に場外の「指導」。村尾が自分の距離で技を放って大枠で優位も、相手の懐の深さのために投げるには至らない。残り35秒には村尾の左小外刈をきっかけに脇を差し合う危険な間合いが生まれるが、村尾は相手の後襟に四指を差し入れ逆手で持ち、股中に後ろから脚を差し入れケンケンで追いながら引き落とす。これに対してダミエも体を捻って被りにかかるが、村尾の引き落とす力の方が勝り谷落「技有」。そのまま崩上四方固で抑え込んだところでダミエが「参った」。3分44秒、決着。
【準々決勝】村尾三四郎○GS技有・小内刈(GS0:32)△ダヴラト・ボボノフ(ウズベキスタン)
村尾が左、ボボノフが右組みのケンカ四つ。ボボノフは二本組み合っては不利と見たか、釣り手一本の状態から右内股、肩車、左外巻込と積みながら試合を進める。村尾いずれも余裕を持って防ぎ、圧を掛けて前に出るが、なかなか引き手を持つことができず試合の主導権を握れない。3分39秒、村尾に「指導」が与えられ、勝負はGS延長戦へ。延長戦でもボボノフは同様の戦法を続けようとするが、GS20秒、村尾は相手を場外際に追い詰め引き手を確保。一度左足車を放って牽制した後、引き手側に一歩踏み込ませながら左小内刈を仕掛ける。引き出しの小内刈の形、村尾の外側の技を警戒して腰を引いていたボボノフは堪らず崩れて崩落。村尾、上体のコントロールを利かせて背中を畳に着け、GS32秒「技有」。過去2敗のボボノフにリベンジ達成。
【準決勝】村尾三四郎〇出足払(2:52)△アレクシ・マチュー(フランス)
村尾が左、マチューは右組みのケンカ四つ。マチュー右内股も村尾は二本持ったまま体で振り返して動ぜず。左小内刈から左内股、左大内刈と繋いでじわりと攻勢を取る。組み手争いの最前線は引き手を巡る攻防、村尾が浅いながらも外側から袖を持ったときは明らかに攻勢を取り、1分半過ぎにはここから左大内刈、左足車、左内股と連発。しかしここでマチュー、村尾に良い形で釣り手を持たせたままなぜか引き手で襟を持つ選択ミス。村尾労せずして引き手で袖の外側を掴み返し、左大内刈で叩き落とす。2分0秒「技有」。以後も村尾は地力の差と組み手の優位をテコに危なげなく進退。2分52秒には己の右側へ横移動を強い、止まりかけたところにタイミングピタリの左出足払。マチュー片足を揚げて吹っ飛び、背中から落ちて「一本」。
【決勝】村尾三四郎〇優勢[技有・大外刈]△ママダリ・メフディエフ(アゼルバイジャン)
ともに左組みの相四つ。この試合の前線は村尾の引き手による袖の確保。村尾は釣り手で片襟を差して引き寄せ、あるいはこの形から敢えて片手の大外刈を打って近づき、時に引き手で襟を持って奥襟を叩き、支釣込足で足元を蹴って崩し、執拗に袖にアプローチする。しかし袖を持つとメフディエフすぐさま激しく切り離し、決してこの形を許さない。村尾が片襟で引き寄せて引き手で袖を持ち、メフディエフがまたもや切り離した直後の1分38秒、双方に消極的試合姿勢の「指導」。メフディエフは釣り手をクロス、あるいは上腕に入れて対峙。村尾一計を案じ、引き手で袖を掴み、嫌ったメフディエフの切り離しに合わせて強烈な左出足払。メフディエフ大きく浮いて腹ばいに落ち「待て」。展開に強烈な楔を打ち込んだ格好。そして試合時間が3分を越えたところで村尾ついに引き手で袖をがっちり掴む。メフディエフ腕を引っ込めて切ろうとするが切れず、そしてこの動作に合わせて村尾が両袖の左大外刈。斜めから膝を殺し、膕を刈り上げて叩き落とし3分14秒「技有」。村尾は以後も手堅く戦い、危なげなくクロージング。「技有」優勢で勝利を決めた。
男子100kg級
飯田健太郎(旭化成) 3位
【1回戦】飯田健太郎〇合技[内股・縦四方固](2:01)△ウォン・ジョンフン(韓国)
飯田が右、ウォン左組みのケンカ四つ。飯田試合開始と同時にすぐさま組み付いて右内股、大きく崩して寝技に食いついてやる気十分。さらに引き手で袖、釣り手で奥襟を一呼吸で得ると、体を閉めた相手に対応して軸足外回りの内股でコンパクトに投げ、「技有」。その後相手の背中に食いつき釣り手の四指で後襟を得る「抱き勝負」に近い伸るか反るかの形が2度あったが、大過なし。時間が無くなり窮したウォンの抱きつき谷落をかわし、背に食いつき、ローリングして抑え込み「一本」。
【2回戦】飯田健太郎○合技[内股・縦四方固](4:00)△シメオン・カタリナ(オランダ)
飯田が右、カタリナが両組み。19秒、飯田が組み勝って潰し、カタリナに偽装攻撃の「指導」。以降も飯田が組み勝って優位に試合を進めるが、1分52秒、相手に釣り手を片側にまとめられてしまい、飯田に片襟の「指導」が与えられる。しかし続く展開の2分28秒、飯田は引き手から得ると、釣り手を得るなり右内股に飛び込み、体に巻き付けるように投げ切って「技有」。3分22秒にはカタリナに極端な防御姿勢の「指導2」が追加される。最後は右内股で伏せさせたところから寝技を展開して縦四方固で抑え込み、試合終了と同時に合技「一本」。
【準々決勝】飯田健太郎〇GS技有・内股(GS0:21)△マイケル・コレル(オランダ)
ともに右組みの相四つ。互いに組み手の完成にこだわり、形を直し合ううちに時間が過ぎ去って46秒双方に消極的試合姿勢の「指導」。飯田足が良く出、膝車から左小内刈に繋いでコレルにたたらを踏ませる。やや手の詰まったコレル中途半端な左一本背負投、飯田これを利して両襟をガッチリ掴む。コレル窮して左、右と順に切り離してしまい、1分14秒「取り組まない」咎の「指導2」。残り1分を過ぎるとコレルさらに動きが粗くなり、右一本背負投フェイントから右小内巻込も飯田しっかり立ったままいなす。直後飯田両襟で己の右に誘導、横移動しながら左小内刈で叩くとコレル体側から落ち「技有」。しかし不十分とみなされたかこれは取り消しとなり、試合はGS延長戦へ。飯田引き手で襟を持って進退、釣り手は袖を殺されていたがコレルの左袖釣込腰をかわした瞬間襟を掴み、両襟の右内股。深く入ったこの技にコレル耐えきれず一回転「技有」。
【準決勝】飯田健太郎△片手絞(3:42)○トマ・ニキフォロフ(ベルギー)
飯田、ニキフォロフともに右組みの相四つ。組み手争いから試合が始まり、ニキフォロフが右背負投、右外巻込と技を積んだ1分34秒、飯田に消極的姿勢の「指導」。2分55秒には飯田が変則の右袖釣込腰で相手を肩に乗せて持ち上げる面白い場面が生まれるが、これは両者ともに伏せてポイントはなし。残り30秒、ニキフォロフが肩車を仕掛けると飯田伏せてしまい、すかさずニキフォロフが「ボーアンドアローチョーク」に移行。襟を持った手は腋下だったが、そのまま絞め上げて3分42秒「一本」。
【3位決定戦】飯田健太郎〇GS内股(GS3:05)△ラファエル・ブザカリニ(ブラジル)
ともに右組みの相四つ。ブザカリニは釣り手で片襟を差して接近し、これを起点に引き手を求める形を多用。当然ながら飯田引き手で袖を得ることが増えるが、絞られる釣り手の方が整わず、なかなか攻めの形が作れない。互いに組み手のやり直しが続き、1分0秒双方に消極的試合姿勢の「指導」。以後も組み手がなかなか作れない飯田はほとんど技が出ず、得意の内股も相手の片襟を剥がす手段として機能するのみ。相手の不用意な払巻込に食いついて抑える場面も作るが数秒で「解けた」となり、ブザカリニが片襟から背負落、片手の右大外刈と積むとこの技に引っ掛かって伏せてしまう。直後の2分56秒、消極的試合姿勢の「指導2」失陥。試合はこの形で膠着し、GS延長戦へ。延長も様相はさほど変わらない。飯田時折良いタイミングの足技は見せるが、ブザカリニの片襟技に手数を積まれ、危うい綱渡りが続く。GS2分51秒、これまで見せていない左背負投に掛け潰れてしまったブザカリニに偽装攻撃の「指導2」。ブザカリニこれで焦ったか続く展開では引き手で襟、釣り手で袖を絡ませて持つ完全な左組みで組んでしまう。飯田袖を持ち返すと釣り手を奥襟に入れて完璧な組み手を完成。ブザカリニ慌てて引き手で袖を絞り落とそうとするが時既に遅し、飯田得意の跳ね上げる内股でまず大きく浮かせ、腰を切って回旋を呉れて「一本」。
男子100kg超級
影浦心(日本中央競馬会) 3位
【1回戦】影浦心○優勢[技有・大内刈]△ムスタファ・フォファナ(ギニア)
影浦、フォファナともに左組みの相四つ。影浦、まずは1分15秒、組み際に片袖の左大内刈を押し込んで「技有」を先行する。以降は相手の懐の深さに手こずり具体的なポイントは追加できなかったが、担ぎ技で攻め続け、2分9秒、2分55秒と消極的姿勢の「指導」2つを追加。そのまま無理せず4分間を終え、「技有」優勢で勝利。
【準々決勝】影浦心〇背負投(3:53)△ジョセフ・テヘック(フランス)
影浦左、テヘック右組みのケンカ四つ。テヘック釣り手で下から前襟を持ち、スイッチして左払巻込の奇襲。影浦危うく捌いて「待て」。テヘックは釣り手を背中、後帯と握り替えて右内股を放つ強気の攻めを繰り返す。影浦内股透の体捌きでことごとく捌くも、勝負技の左背負投が効き切らず。座り込み潰れることが続く。しかし粘り強く攻め、左背負投で右に抜け落すことを繰り返すうちにテヘック急激に消耗。残り1分半を過ぎると「待て」が掛かっても容易に立ち上がれず、別人のように進退から力が削げ落ちる。影浦が左背負投で崩した3分8秒には正座してしばし立てぬテヘックに消極的試合姿勢の「指導」。テヘック抱きつき小外掛の特攻も影浦あっさり被り返して動ぜず。残り10秒、一瞬で引き手で袖、釣り手で袖口を持った影浦が左背負投。懐に影浦を抱いたまま耐えたテヘックを体を捨ててもろともごろりと回し切り「一本」。
【準決勝】影浦心△反則[指導3](3:07)〇オドフー・ツェツェンツェンゲル(モンゴル)
左相四つ。ツェツェンツェンゲルいきなり奥襟を叩いてやる気十分。しかしツェツェンツェンゲルが引き手で襟を持って距離を取ると影浦もこの形を動かせず展開は膠着、39秒「取り組まない」咎で双方に「指導」。ツェツェンツェンゲル奥襟を叩かんとするが影浦巧みに間合いをコントロール、叩いてくる相手にクロス組み手を強いて、ツェツェンツェンゲルは仕方なく左払巻込に潰れて「待て」。ツェツェンツェンゲルこの際膝を痛めた模様でしばし屈伸を繰り返す。再開後、双方距離を取ったまま様子見。ツェツェンツェンゲルが上下動を繰り返し、影浦が飛び込む間を狙う数秒あって、主審試合を止めると1分43秒双方に「取り組まない」咎による「指導2」。ここからは、影浦片襟を差すとツェツェンツェンゲルが奥襟を叩き、これを影浦が左背負投で剥がすという攻防が2度、3度と続く。ツェツェンツェンゲルは影浦の背負投を引き戻し、あるいは後帯を掴んで逆襲を狙うが、この間にも「待て」が掛かると膝の屈伸を繰り返してかなり状態が悪そう。再開後、ツェツェンツェンゲル思い切って奥襟を叩くと影浦思わず首を抜いてしまう。一瞬の間があり、影浦慌てて払巻込を仕掛けるがその前に主審が既に「待て」を掛けている。主審、首抜きの咎で影浦に3つ目の「指導」を宣告。影浦意外な敗退となった。
【3位決定戦】影浦心〇優勢[技有・内股]△ゲルマン・アンドレエフ(フランス)
影浦左、アンドレエフ右組みのケンカ四つ。アンドレエフ釣り手で背中を深く叩いて右内股。影浦ケンケンで受け切り「めくり」で背を着かせるが当然ながらこれはノーポイント。アンドレエフが釣り手で上から、今度は後帯を持つと影浦は割り切って潰れ、33秒偽装攻撃の「指導」失陥。アンドレエフ以後も釣り手で背中を抱いて一発を狙うことで展開を保とうとするが、影浦引き手で袖を持つと、釣り手の肘を腋に入れて拳で顎を突き左内股一撃。ストンと投げ切って1分17秒「技有」確保。その後「ケンカ四つクロス」を使って展開を留保する相手に影浦が付き合ってしまい、2分6秒双方に片手の「指導」。2つ目の反則を貰った影浦は形上後がなくなる。影浦右一本背負投で攻めて3分11秒アンドレエフに消極的試合姿勢の「指導2」。一発逆転を狙うしかないアンドレエフは釣り手で背を抱いて突進。影浦前襟を持って突き、詰められると左内股で流して展開を保つ。しかし残り9秒、片手で圧を掛けたアンドレエフが一転時計回りの浮技に打って出る。膝を支えられた影浦吹っ飛び、体側から落下。ポイントがあっても文句の言えない技だったが主審これは流し、そのままタイムアップ。影浦、3位を確保。
女子48kg級
角田夏実(了徳寺大職) 優勝
【1回戦】角田夏実○巴投(0:27)△アナスタシーア・バラバン(ブルガリア)
角田、バラバンともに左組みの相四つ。角田、引き手で相手の袖を絞り落とすと奥襟を確保、直後に釣り手を袖に持ち替え、27秒、両袖の巴投に潜り込み「一本」。角田、秒殺で初戦を突破。
【準々決勝】角田夏実○GS技有・体落(GS0:27)△ブランディーヌ・ポン(フランス)
角田左、ポン右組みのケンカ四つ。手先の組み手争いを経てポンが左一本背負投に潰れ、39秒偽装攻撃の「指導」。ポンは釣り手で襟を突き、角田の巴投を徹底警戒。角田は引き手で巧みに上腕を掴んでは両足の巴投、そしてここから繋いでの腕挫十字固を2度、3度と見せるが、ポンはいずれも防ぎ、持ち上げ、ポイントを与えない。ポンは組み際の左背負投で展開を留保、角田は小内刈に、後帯を持って振る左体落に活路を見出し、試合はGS延長戦へ。角田引き手で袖を得ると、脇を差しながら左の体落。作用足を乗り越えさせた勢いのまま回し、「技有」で勝利決定。
【準決勝】角田夏実○優勢[技有・背負投]△古賀若菜
角田、古賀ともに左組みの相四つ。組み手争いが続き、30秒に両者に取り組まないことによる「指導」が与えられる。38秒には角田が左大内刈で潰して腕挫十字固を狙うも、これは極め切れず。以降も角田が寝技で攻める展開が続くが、決定的な場面は生まれない。2分8秒には再び両者に取り組まないとして「指導2」が与えられる。本戦終了間際の残り12秒、角田が両手で引き手を持っての左大内刈から左背負投に繋ぎ、古賀を体側から畳に落として寝技を展開。再び腕挫十字固を極めかけるが、古賀が持ち上げたところで4分間が終わる。ここで古賀が出血したため試合が中断、そのままGS延長戦に突入すると思われたが、古賀が戻ると同時に先程の角田の背負投が「技有」となり、決着。
【決勝】角田夏実○合技[巴投・崩上四方固]△バフードルジ・バーサンフー(モンゴル)
角田が左、バフードルジが右組みのケンカ四つ。40秒、角田は両手を得るなり巴投に潜り込み、両足でコントロールして体側から落とし「技有」。1分45秒には相手を押し出し場外の「指導」を得る。以降も2度、ポイント級の巴投を見せ、2分30秒からは腕挫十字固を狙いながら30秒近く寝技で攻め続ける。残り30秒、展開に窮したバフードルジが場外際で巴投を仕掛けると被り返して寝技を展開。まず腕緘を極めにかかり、決まらぬと見るや脚を抜いて抑え込みに変化。残り時間0秒に崩上四方固を完成させ、10秒抑え込んで合技「一本」に至る。
古賀若菜(山梨学院大3年) 3位
【1回戦】古賀若菜〇GS技有・背負投(GS0:06)△マーヴェ・アザク(トルコ)
古賀が左、アザク右組みのケンカ四つ。古賀いきなり組み潰して1分近く寝技を展開も獲り切れない。以後は極端に腰を引き、時折左背負投を見せるアザクをなかなか投げ切れず、左大内刈、左袖釣込腰、左大外刈と惜しい技を連発もポイントには至らない。1分2秒、3分13秒にいずれも消極的試合姿勢で「指導」を得るが寝技も粘られ、試合はGS延長戦へ。開始早々、組み際に両手で左袖を掴んで左大外刈、そのまま左背負投に繋いで転がし「技有」。
【準々決勝】古賀若菜〇優勢[技有・大内刈]△アマンダ・リマ(ブラジル)
古賀が左、リマ右組みのケンカ四つ。リマが釣り手で背中深くを叩いた瞬間、古賀は左大内刈に切り返す。転がったリマを押し込んで背を着かせると、「待て」の後に映像チェックが入って19秒「技有」。以後も背中を叩いて圧を掛け「際」を作り出すことにチャンスを見出さんとするリマの接近を、古賀が左大内刈に左背負投で剥がすという展開。古賀が左背負投を2連発した1分32秒にはリマに消極的試合姿勢で「指導2」、1分50秒には片手の咎による「指導2」が追加される。古賀は前戦でも見せた左足車から大内刈のコンビネーションも見せて快走。リマの谷落による特攻も隅落の形で被り返して大過なし。立って、寝て、最後まで攻めたままタイムアップ。
【準決勝】古賀若菜△優勢[技有・背負投]〇角田夏実
※前述のため戦評省略
【3位決定戦】古賀若菜〇崩袈裟固(1:54)△レグ=メラニー・クレモン(フランス)
ともに左組みの相四つ。クレモン激しく手先を交互に繰り出して良い位置を掴まんとする。古賀冷静に応じ、横変形の組み合いに持ち込むと左大内刈から左内股に繋いで崩し、背について寝勝負。これは取り切れず48秒「待て」。再びクレモンが手先を激しく出す組み合いから引き手で袖を掴むと、古賀釣り手で前襟を低く持って右袖釣込腰。クレモンの股中で一瞬止まり、転がすと素早く背について寝技を展開。襟袈裟固に近い形から持ち替えて左で脇を差し、右で袖をガッチリ抱えて左からの崩袈裟固。クレモン動けず「一本」。
女子52kg級
志々目愛(了徳寺大職) 3位
【2回戦】志々目愛〇GS内股(GS2:07)△ヤスミン・リマ(ブラジル)
志々目左、リマが右組みのケンカ四つ。立ち位置をL字にしたままの組み手争いからリマが袖口を絞ってブロック、1分36秒「指導」。リマは釣り手で首裏、背中を持つ強気の組み手で展開を留保、志々目に引き手を持たれると一転腰を引いて徹底的に守る。志々目が左小外刈で腰を引かせて左内股を見せた2分11秒、リマに極端な防御姿勢の「指導2」。しかし以後はリマが背中を叩く強気と、先んじて隅返、大内刈に掛け潰れる割り切りの二極を使いこなして決着を先延ばし。志々目の内股も決まり切らず、試合はGS延長戦へ。志々目集中を切らず腰の入れあいと足技を続け、GS2分を過ぎたところで腰の入れあいから左内股。長らく同様の攻防を続けていたリマ、組み手の完成に感度が鈍くなっており、まともにこれを受けて1回転「一本」。
【準々決勝】志々目愛〇GS反則[指導3](GS1:39)△アストリード・ネト(フランス)
志々目左、ネトが右組みのケンカ四つ。ネトは例によって圧力作戦一択、首尾よく奥襟を持って志々目に頭を下げさせ、50秒極端な防御姿勢の「指導」を得る。なかなか良いところを持てない志々目だが接近と離脱を繰り返しながら道筋を探り、残り1分からは組み際の左大内刈に活路を見出してペースを掴む。大内刈で場外まで出し、ケンケンの左内股に入り込み、激しく追ったところでタイムアップ。試合はGS延長戦へ。形上組み負けても前に出ることで展開を掴んだ志々目はこの方針を継続。まず片襟の左内股で場外まで引きずり、GS29秒ネトに消極的試合姿勢の「指導」。右組みを強いられたところから構わず左大内刈で追ったGS53秒にはネトに場外の「指導2」が与えられる。怒気を発したネトは片手を交互に激しく突きながら前に出るが、既に泣き所の集中力の欠如が見え始めている。志々目頭を下げられながらも小外刈で前に出て場外に弾き出す。続く展開、ネト「両襟奥」でブロックも志々目はやはり前に出て後退させ、場外の咎で3つ目の「指導」を押し付ける。志々目、ベスト4入り決定。
【準決勝】志々目愛△GS肩車(GS3:37)〇アモンディーヌ・ブシャー(フランス)
志々目が左、ブシャー右組みのケンカ四つ。ブシャーは左への肩車に右出足払、後帯を握っての右大内刈に右内股で攻め、志々目は斜めに詰めるような片手の左大外刈、さらにこれも片手の左内股に深く背中を持ち返しての隅返で対抗する。どちらかというと取り味のある技を打つのはブシャーの方だが、志々目のプレッシャーがよほど強いのか激しく疲労。本戦終盤には早くも「待て」が掛かると正座したまま動けぬ場面が出始める。試合は1つの「指導」もないままGS延長戦へ。ブシャー背中を叩いて寄っては出足払を打つが、組める場面が増えた志々目は左内股が出せるようになり形勢は悪からず。しかしブシャーの出足払を場外に向けての左内股でいなしたGS1分7秒、場外の「指導」失陥。以後試合は動的膠着、ブシャーは左への肩車を繰り返すが消耗激しく「待て」が掛かってもなかなか立てない場面が増え、展望決して明るからず。GS3分31秒に立てぬまま主審に声を掛けられた際には出血があった模様で、しばし試合が中断する。しかしここが勝負の分かれ目。中断再開後のエアポケットを突き、ブシャーはいったん奥襟を叩くと、右小外掛を入れながら首を志々目の懐内に突っ込み、左への肩車に打って出る。一瞬集中が切れたか侵入を許してしまった志々目、大きく理合を満たしたこの技に耐え切れず1回転「一本」。ブシャー、執念の一撃で決勝進出を決めた。
【3位決定戦】志々目愛○GS技有・内股(GS2:28)△チェルシー・ジャイルス(イギリス)
志々目が左、ジャイルスが右組みのケンカ四つ。ジャイルスは力が伝わりやすい両襟、一方の志々目は釣り手を内から持ち、袖を得た引き手を己の側に寄せた正統派の組み手で試合を進める。組み勝っている志々目は巴投に左内股と技を放つが、相手の懐の深さに吸収されてしまいいずれも決め切れず。しかし手数が評価される形で、1分16秒、ジャイルスに消極的試合姿勢の「指導」。志々目、直後の1分38秒には左内股から相手が腰を切ったところに左小外刈を合わせて押し込むが、これはジャイルスが自ら引き込んだと見なされてノーポイント。以降、ジャイルスが背中を抱いて間合いを詰め、志々目が左内股や隅返でそれを引き剥がす形で終盤まで試合が進む。残り11秒にジャイルスに消極的姿勢の「指導2」が追加され、勝負はGS延長戦へ。延長戦に入っても志々目は積極的に左内股を狙って攻勢。変わらず相手の懐の深さで凌がれ続けるも、忍耐強く仕掛け続ける。GS2分23秒、ジャイルスに背中深くを抱かれての場外際の攻防から、志々目が左内股に飛び込む。浅く作用脚を差し入れてから軸足を深く差し入れて二段で跳ね上げ、相手が崩れるとそのまま乗り上げるように押し込み「技有」。志々目、3位を確保。
女子57kg級
玉置桃(三井住友海上) 2位
【2回戦】玉置桃〇GS反則[指導3](GS1:01)△パク・ユンソン(韓国)
玉置右、パク左組みのケンカ四つ。玉置左背負投から寝技を展開、「舟久保固め」で抑え込むが2秒で「解けた」。しかしその後も「ケンカ四つクロス」からの左内股で先んじて攻め、1分47秒パクに消極的試合姿勢の咎で「指導」。1分57秒には「取り組まない」咎で双方に「指導」。玉置腕挫十字固でほとんど取り掛かるがまたも逃がしてしまい、しかし両袖の巴投で攻めて展開自体は譲らず。試合はGS延長戦へ。玉置ペースを変えずに泥臭く手先の突き合いを続け、GS1分を越えたところで双方に「取り組まない」咎による「指導」。これで試合が終わった。
【準々決勝】玉置桃〇GS反則[指導3](GS0:52)△ファイザ・モクダ(フランス)
ともに右組みの相四つ。玉置例によって組み際の技を徹底、先んじて良い位置を得ては右体落に左一本背負投と掛け潰れて手数を積む。玉置奥襟を引っ掴むとモクダ頭を抜いて打点の高い右背負投、これは良い技だったが潰れてしまい直後の1分22秒首抜きの「指導」。ここで玉置手先の組み手争いに誘い、1分39秒には双方に「取り組まない」咎による「指導」。玉置は左一本背負投、片手の右体落に両袖の右体落、片襟の左背負投に、両袖の大外刈、「サリハニ」様の作用足突っ込みからケンケンしての右大内刈と、先んじて掛け続ける。モクダ潰れた玉置を引きずる動作を続けるがまったくペースを掴めない。玉置が左襟を握っての右背負投、そのまま離さず左背負投、さらに右体落と3連発したGS延長戦52秒、モクダに3つ目の「指導」。玉置危なげなくベスト4入り。
【準決勝】玉置桃○反則[DH](1:38)△プリシラ・ネト(フランス)
※金属など硬い物質を持ち込んだことによる
玉置が右、ネトが左組みのケンカ四つ。激しい組み手争いから試合が始まり、41秒、両者に片手の「指導」。ここから再び激しい組み手の攻防が展開されるが、1分38秒、ネトが奥襟を叩いて玉置を潰した際に、ネトの懐からスマートフォンが畳に落ちる。「待て」と同時にこれに気づいた玉置が主審に手渡しながらアピールすると、主審はネトに「金属など硬い物質を持ち込んだことによる」咎でダイレクト反則を宣告。地元大会でのあまりにも重大なミスにネトはガックリ。意外な形で玉置の決勝進出が決まった。
【決勝】玉置桃△GS反則[指導3](GS2:32)〇舟久保遥香
※後述のため戦評省略
舟久保遥香(三井住友海上) 優勝
【1回戦】舟久保遥香〇縦四方固(1:32)△ディアッソネマ・ムクングイ(アンゴラ)
ともに右組みの相四つ。ムクングイは釣り手奥、片襟、引き手襟と手立てを変えて守らんとするが、舟久保すぐさま引き手で袖を絞り落としてことごとくその企図を壊す。奥襟を取られたムクングイが右一本背負投に潰れた47秒、首抜きの「指導」。舟久保またもや引き手で袖を確保、ムクングイが引き手で襟を掴んで粘ろうとすると右袖釣込腰で剥がして崩し、そのまま立たせず後帯を掴んで引込返。耐えられるとこれを利して横に押し込んで背中を着かせ、縦四方固に抑え込む。絶妙なバランスで抑え切り「一本」。
【2回戦】舟久保遥香〇GS反則[指導3](GS2:00)△ミナ・リベール(ベルギー)
舟久保右、リベール左組みのケンカ四つ。リベール長い腕を利して背中を深く叩き、叩いては隅返を繰り返す。この隅返自体に取り味はなく、舟久保は正対からのパスと「腕緘返し」で攻めまくるが、寝勝負前提で守るリベールは長い脚を絡んで耐え続け、なかなか取らせない。2分15秒隅返で潰れたリベールに「指導」、3分40秒には袖口を絞って守ったリベールに「指導2」。ここで試合はGS延長戦へ。舟久保後帯を持っての右体落に、内股様の押しつぶし、右小内刈と良い技が出るがやはり取り切れず。リベールの隅返を斜めにずらして決定的なパスも、やはり絡まれて「待て」。それでも立って、寝て、細かく攻め続けると主審これまでと見てリベールに消極的試合姿勢の咎で「指導3」。反則累積差3-0の一方的なスコアで舟久保の勝利が決まった。
【準々決勝】舟久保遥香○横四方固(2:53)△ユリア・コヴァルツィク(ポーランド)
舟久保、コヴァルツィクともに右組みの相四つ。59秒、舟久保が奥襟を得ての右小内刈で大きく崩すも、あと一歩で背中を着けるには至らず。1分33秒、コヴァルツィクに消極的試合姿勢の「指導」が与えられる。直後の1分52秒、コヴァルツィクが右背負投で掛け潰れると舟久保このチャンスを逃さず「腹包み」から後方に引き込み寝技を展開。絡まれた足を外して横四方固で抑え込む。2分53秒「一本」。
【準決勝】舟久保遥香〇GS横四方固(GS2:46)△サハ=レオニー・シジク(フランス)
舟久保が右、シジク左組みのケンカ四つ。舟久保釣り手一本にあってはもたれ掛かるような右小内刈、奥を深く叩けばこれもケンケンの右小内刈で激しく追って展開を作る。大内刈、小内刈と足元を叩か続けるシジクはなかなか圧を掛け切れない。シジクは左背負投に得意の鋭い出足払と支釣込足の連携、さらに舟久保の体落を思い切り抱えての裏投と魅力的な技を見せるものの、舟久保は組んでは釣り手で奥襟、引き手で袖を早く持ち、内股、大内刈に小内刈、さらに体落と足元を崩す技が止まらない。右小内刈で崩されたシジクは「待て」を貰うと疲労で正座したまましばし立てず、直後の3分12秒シジクに消極的試合姿勢の「指導」。試合はこのままGS延長戦へ持ち込まれる。シジク時折思い切った裏投も見せるが舟久保に足元を崩されて歩かされ続け、疲労がどんどん深くなる。GS1分48秒に膝を着くと、もはや立てずフラフラ。舟久保、続く展開で右体落で大きく崩し、そのまま寝勝負を展開。絡まれた足を引き抜いて横四方固に抑え込むとシジクにもはや力は残っておらず、ほとんど大の字のまま負けを受け入れる。20秒経過で「一本」、舟久保みごと決勝進出。
【決勝】舟久保遥香○GS反則[指導3](GS2:32)△玉置桃
玉置、舟久保ともに右組みの相四つ。互いに手の内を知る同僚同士、組み手争いによる肚の探り合いが続く。互いに浅く技を出すも決定的な間合いには踏み込めず、1分49秒、双方に取り組まないとして「指導」。結局、本戦ではこれ以上ポイントは入らず、大きな動きがないまま勝負はGS延長戦へ。GS39秒、舟久保が釣り手で背中深くを持つとこれを嫌った玉置が掛け潰れてしまい、玉置に偽装攻撃の「指導2」。これでポイントに差がつくことになるが、以降も様相は大きくは変わらず、互いに組み手争いの中で浅い技を散発するに止まる。この流れで迎えたGS2分28秒、互いに両手を持ち合っての近い間合いの攻防から玉置が巴投を失敗したか滑り込むように潰れてしまうミスを犯す。主審、これを見逃さず試合を止め、GS2分32秒、玉置に偽装攻撃の「指導3」。舟久保がグランドスラム・パリ2連覇を達成した。
女子63kg級
鍋倉那美(了徳寺大職) 優勝
【1回戦】鍋倉那美○合技[払巻込・引込返](1:09)△ナディア=マッチコ・ギメンデゴ(中央アフリカ)
鍋倉、ギメンデゴともに右組みの相四つ。鍋倉は先に引き手で袖を得ると次いで奥襟も確保、23秒、右払腰から右払巻込に連絡して「技有」を先行。さらに1分間際、片襟の右大外刈で相手を伏せさせ腕緘を狙い、相手が応じて抱き着いてくると立ち上がり際に引込返を合わせて「技有」を追加する。1分9秒、合技「一本」。
【2回戦】鍋倉那美○反則[指導3](3:24)△レナタ・ザコワ(チェコ)
鍋倉が右、ザコワが左組みのケンカ四つ。鍋倉両襟を持って右内股で攻めるも、1分6秒、自ら手を離してしまい、取り組まないとして「指導」を失う。しかし続く寝技で流れを掴むと、組み勝って攻める展開を続けて2分19秒、2分4秒と極端な防御姿勢で「指導2」を奪う。最後は3分24秒、鍋倉が奥襟を持って圧を掛けたところでザコワが右背負投に掛け潰れ、偽装攻撃の「指導3」で決着。
【準々決勝】鍋倉那美○合技[内股・上四方固](1:59)△サンネ・フェルメール(オランダ)
鍋倉が右、フェルメールが左組みのケンカ四つ。二本持って右内股を狙う鍋倉に、片手状態から低い左一本背負投を狙うフェルメールという構図。22秒、鍋倉が右内股で倒れ込みながら投げ切り「技有」。さらに1分40秒、フェルメールが奥を叩いたところを鍋倉が右体落で伏せさせ、そこから股を持って捲り、横四方固で抑え込む。1分59秒、合技「一本」。
【準決勝】鍋倉那美○横四方固(1:11)△アンジェリカ・シマンスカ(ポーランド)
鍋倉が右、シマンスカが左組みのケンカ四つ。20秒、シマンスカが右大内刈から巴投を仕掛けると、鍋倉これを躱して頭側に被り、寝技を展開。側方に回り込みながら相手の脚を外して横四方固で抑え込む。「一本」で決着。
【決勝】鍋倉那美○反則[指導3](3:55)△土井雅子
鍋倉、土井ともに右組みの相四つ。両者勢い良く飛び出しての袖の絞り合いから試合がスタート。この形を土台に試合が進む。鍋倉が右内股巻込で伏せた1分20秒、土井に消極的姿勢の「指導」。さらに横変形の形で試合が膠着した2分31秒には両者に消極的姿勢の「指導」が与えられる。これで土井は「指導2」。残り30秒には鍋倉が右外巻込から腋下に抜けて腕挫腋固を極めかけるが、これは土井が回転して逃れ「待て」。しかし続く展開でこの形に手応えを得た鍋倉が再び右外巻込から腋下に抜けて腕緘を狙うと、主審はここで明確に展開に差が付いたと見なし、土井に消極的姿勢の「指導3」。試合はスローペースのまま、やや意外な形で決着。
土井雅子(JR東日本) 2位
【2回戦】土井雅子○横四方固(GS2:49)△ラウラ・ファズリウ(コソボ)
土井、ファズリウともに右組みの相四つ。互いに相手の袖を絞り合っての組み手争いで試合が進む。1分29秒、ファズリウに袖口を握ったとして「指導」。一方、2分54秒には引きずり潰された土井にも偽装攻撃の「指導」が与えられる。試合はそのままGS延長戦へ。GS延長戦でも大枠の展開は変わらず。しかし土井が積極的に足を飛ばしていたことでGS37秒、ファズリウに消極的姿勢の「指導2」が追加される。GS2分、土井の右大外刈に対して相手が大外返を狙って伏せると、土井は上に被って「横三角」から寝技を展開、横四方固で抑え込みGS2分49秒「一本」。
【準々決勝】土井雅子○崩上四方固(GS7:55)△ルーシー・レンシャル(イギリス)
土井、レンシャルともに右組みの相四つ。土井、いきなり潰して「横三角」を狙うもこれは決め切れず。以降は袖の絞り合いによる膠着状態が続く。2分30秒にからはレンシャルが背後から三角絞でロックしながら寝技で攻める展開が続くが、ここは土井が凌ぎ切り「待て」。そのまま試合はGS延長戦へ。GS15秒、背後に付かれて伏せた土井に偽装攻撃の「指導」。これ以降、土井は度々寝技で良い形を作るが、あと一歩決め切れない。GS2分18秒、左背負投で伏せたレンシャルにも偽装攻撃の「指導」。これから再び試合が膠着し、GS4分54秒、土井のみに消極的姿勢の「指導2」が追加される。GS7分過ぎ、土井ついに得意の「横三角」にとらえて崩上四方固を完成。20秒抑え込んでGS7分55秒「一本」。
【準決勝】土井雅子〇横四方固(2:27)△ヘーケ・ファンデンベルフ(オランダ)
ともに右組みの相四つ。ファンデンベルフが釣り手で奥襟を叩くと、土井は横変形にずれ、敢えて接近して相手の仕掛けるスペースを潰しながら右袖釣込腰、さらに軸足を回し込んでの右内股で攻める。しかし頭を下げられたまま両足の巴投でぶらさがって潰れてしまい、1分19秒偽装攻撃で「指導」失陥。直後、奮起した土井釣り手で片襟を差しながら支釣込足で蹴り崩すと、膝を着いたファンデンベルフをもはや立たせず。引込返で回し、足を絡ませたまま圧を掛けて抑え込みを狙う。ファンデンベルフの絡みつきは強烈だったが、土井は頭側に体を置き、腕をしっかり括って引き抜きに掛かる。抜かれた瞬間ファンデンベルフ反転を試みるも、この腕の拘束が効き、果たせず。土井バランスよく横四方固で抑え切り「一本」。
【決勝】土井雅子△反則[指導3](3:55)○鍋倉那美
女子70kg級
大野陽子(コマツ) 3位
【2回戦】大野陽子○反則[指導3](1:54)△ツェレンデュラム・エンフチメグ(モンゴル)
大野、ツェレンデュラムともに右組みの相四つ。開始直後に相手の組み際の右背負投で2度大きく崩される厳しい滑り出し。以降は組み手争いが続き、44秒に両者に相手を蹴ったとして「指導」、さらに1分9秒には取り組まないとして両者に「指導2」が与えられる。以降も組み手争いを軸に試合が展開。1分54秒、大野の奥襟を嫌ったツェレンデュラムが首を抜いてしまい、首抜きによる「指導3」で決着。
【準々決勝】大野陽子△GS小内巻込(GS0:19)○マルゴ・ピノ(フランス)
大野が左、ピノが右組みのケンカ四つ。40秒のピノの巴投を起点に大野が寝技を展開、1分半近く攻めるが、足が抜けずあと一歩で抑え込むには至らず。組み手争いが続いた2分1秒、両者に取り組まないとして「指導」。以降は大野が圧を掛けながら前に出て、ピノが担ぎ技を仕掛ける形で試合が進行。3分12秒、不十分な左背負投で引き手が離れてしまったピノに偽装攻撃の「指導2」が追加され、勝負はGS延長戦へ。GS19秒、組み手争いからピノが急加速して左小内巻込を仕掛けると、大野、不用意にこれを受けてしまい背中から畳に落ちて一回転「一本」。大野は敗者復活戦へ。
【敗者復活戦】大野陽子○不戦△クレモンス・エム(フランス)
【3位決定戦】大野陽子○不戦△ジョヴァンナ・スコッチマッロ(ドイツ)
新添左季(自衛隊体育学校) 2位
【1回戦】新添左季〇合技[内股・内股](2:57)△イネス・ペヴォ(フランス)
新添左、ペヴォ右組みのケンカ四つ。新添は両襟でスタート。嫌う相手に片手の内股を混ぜながら圧を掛け、一息で釣り手で奥、引き手で袖を掴むと間を置かずに左内股「技有」。以後も片手から小内刈、両襟で膕への左小外刈と良く攻めて流れを作る。試合時間3分になるところで出足払の撃ち合いで呼吸を整えるとひらりと左内股。思い切り芯を食ったこの技で投げ切り2つ目の「技有」。
【2回戦】新添左季〇横四方固(GS0:10)△マリア・ポルテラ(ブラジル)
新添が左、ポルテラ右組みのケンカ四つ。新添早い段階で二本持ち、引きずり、頭を下げさせては膕への小外刈、体を寄せて左内股と攻める。不利と見たポルテラ釣り手を突いて片手で進退し、徹底的に引き手を嫌う。新添片手から膝車、左小外刈、左小内刈で崩しては長い腕を伸ばして引き手で袖を掴みに掛かる。引き手を嫌ってもリーチで届かされてしまうポルテラはそれでも徹底して釣り手一本で進退、主審長い時間これを放置したが、2分53秒ようやくポルテラに片手の「指導」。これで組まざるを得なくなったポルテラを前に新添は加速、終盤両襟を持って接近する。応じたポルテラはまず右出足払、新添の脚を揚げさせると一歩踏み込んで小外掛に繋ぐが、懐の深い新添は体捌き良く上から被り返して隅落「技有」。そのまま抑え込んで合技「一本」。
【準々決勝】新添左季〇優勢[技有・内股]△ケリー・ピーターセン=ポラード(イギリス)
新添左、ピーターセン=ポラード右組みのケンカ四つ。新添引き手で袖、釣り手で横襟と完璧な組み手を作るとピーターセン=ポラードは腰を引いて耐え、右体落を2連発。新添は左内股、左小外刈と打って空いたスペースに腰を深く入れ、本命の左内股に飛び込む。これは綺麗に決まって35秒「技有」。以後ピーターセン=ポラードは釣り手を突き、低い右大内刈にぶらさがるような左一本背負投と片手技を打って粘る。新添小外刈に左内股と時折良い技を打つが、粘戦志向の相手にやや組み立てが淡泊。終盤は相手に付き合い過ぎた印象で、組み手争いと腰の切り合いを続けたままタイムアップ。後半やや集中を欠いた試合だった。
【準決勝】新添左季〇不戦△ジョヴァンナ・スコッチマッロ(ドイツ)
【決勝】新添左季△GS技有・背負投(GS0:29)○マルゴ・ピノ(フランス)
新添が左、ピノが右組みのケンカ四つ。新添いきなり組み付きながらの左大内刈を見舞って大きく崩す。新添が奥襟を得て組み勝った1分23秒、ピノに極端な防御姿勢の「指導」。続いて片手状態が続いた2分14秒には双方に片手の「指導」が与えられる。これでピノは「指導2」。2分55秒にはピノが右背負投で懐深くに侵入するも、新添は立ったままこれを凌ぐ。以降、大きな動きないまま勝負はGS延長戦へ。GS29秒、新添が相手に背負投に入ることの出来る隙間を与えたまま不用意に引き手を求めて腕を伸ばすと、ピノその隙を逃さず右背負投に飛び込む。釣り手は相手の腕の外側にあり、この隙間を潰せない。完全に懐に潜り込まれてしまった新添は抗えず、ごろりと転がり「技有」。決着。
女子78kg級
梅木真美(ALSOK) 2位
【1回戦】梅木真美○反則[指導3](3:49)△アリナ・ブーン(ドイツ)
梅木が左、ブーンが右組みのケンカ四つ。梅木は袖と奥襟の二本を持って優勢。ブーンは釣り手で背中を抱いて間合いを取るが、梅木構わず腰を切りながら前に出続け、1分25秒、2分46秒とブーンに消極的姿勢の「指導」が与えられる。最後は3分49秒、梅木が圧を掛けて場外に押し出したところでブーンに場外の「指導3」が与えられ決着。
【準々決勝】梅木真美○横四方固△ナターシャ・アウスマ(オランダ)
梅木が左、アウスマが右組みのケンカ四つ。梅木が組み勝って煽り出し、アウスマが釣り手で背中を抱いて凌ぐ形で試合が進行。25秒、アウスマに袖口を握ったとして「指導」が与えられる。2分20秒、梅木は相手を潰すと得意の「横三角」から寝技を展開。横四方固で抑え込む。16秒抑え込んだところで相手が「参った」。
【準決勝】梅木真美○腕緘(2:18)△イ・ジョンギュン(韓国)
梅木、イともに左組みの相四つ。梅木は釣り手を絞られたままもたれかかるような左大外刈を放って攻勢。1分にはこの形から寝技を展開し、「横三角」から捲るが被り切れず抑え込むには至らない。1分50秒には相手の肩車を起点に再度「横三角」から寝技を展開。守る相手に脚を絡ませたまま腕を取り、腕緘に極める。2分18秒、イが「参った」。
【決勝】梅木真美△優勢[技有・引込返]○オドレイ・チュメオ(フランス)
梅木が左、チュメオが右組みのケンカ四つ。チュメオは引き手から得ると奥襟、後帯と釣り手の位置を深め、一気に引込返に飛び込む。膝で腹を蹴り上げる形の勢いある技に梅木一回転して体側から落下。14秒「一本」が宣告される。チュメオ大喜びで激しくガッツポーズも、これは映像確認の結果「技有」に訂正される。さらに1分2秒にチュメオが抱きついての右小外掛で体側から落とすが、これは背中の接地が甘くノーポイント。1分14秒には潰された梅木に偽装攻撃の「指導」。しかし中盤以降チュメオ激しく疲労。2分9秒には、組み負けて伏せたチュメオにも偽装攻撃の「指導」が与えられる。梅木は突進、疲労したまま守るチュメオは陥落寸前の印象。3分12秒、梅木が奥襟を得て場外際で左内股を仕掛けるとチュメオ明らかに足を持って耐えるが、これはスルー。伏せさせた形から梅木「横三角」を狙うもこれは決め切れず貴重な時間を大きく消費。「待て」の時点で残り時間は残り28秒。直後の3分40秒には梅木が左大内刈で潰して「腰絞め」を狙うが、これも決め切れず。残り0秒、伏せたチュメオに偽装攻撃の「指導2」が与えられたところで試合が終わった。
髙山莉加(三井住友海上) 1回戦敗退
【1回戦】髙山莉加△反則[指導3](3:01)○ユン・ヒュンジ(韓国)
髙山、ユンともに右組みの相四つ。19秒、ユンに取り組まないことによる「指導」。しかし直後の36秒、巴投で引き込んだ髙山にも偽装攻撃の「指導」が与えられる。さらに1分18秒には両者に取り組まないとして「指導2」。直後の1分25秒、髙山が片襟の右大外刈を仕掛けるが、形が不十分なために返されかける。髙山、やや空回りしている印象。引き手で腋を突かれたまま頭を下げられた髙山、釣り手を離しての右払腰を仕掛けて体勢を整えようとするが、立ち戻った際に突かれるとまっすぐ下がって畳を割ってしまう。場外に出てから小内刈、払腰と仕掛けたが後の祭り。3分1秒、髙山に「指導3」が与えられて決着。まさかの初戦敗退。
女子78kg超級
冨田若春(コマツ) 優勝
【1回戦】冨田若春〇反則[指導3](3:31)△レネー・ルフト(ドイツ)
冨田が右、大型のルフト右組みの相四つ。冨田まず内股で跳ね上げてやる気十分の出だし。ルフトは完全に左構え。両襟を掴むが冨田は引き手で袖を絞り落とすと、決して切らせぬまま40秒近く進退。右大外刈を仕掛けるとルフト潰れ、59秒消極的試合姿勢の「指導」。冨田左へ肩車も掛け潰れ。ルフトは右払巻込に右釣腰と見せるが冨田動ぜず。しかしルフトの強気の組み手を少し見る形となってしまい、2分18秒双方に消極的試合姿勢の「指導」。以後は試合なかなか動かずも、冨田が突かれた釣り手をうまく使って片手の右内股で大きく崩すと、直後消極的試合姿勢でルフトに「指導3」。
【準々決勝】冨田若春〇反則[指導3](2:51)△ベアトリス・ソウザ(ブラジル)
右相四つ。冨田徹底的に引き手で相手の釣り手を絞り、嫌ったソウザに50秒「取り組まない」咎による「指導」。1分49秒、技の出ない両者に消極的試合姿勢の「指導」。リーチを掛けた冨田は両足ジャンプの右一本背負投に右袖釣込腰、支釣込足と見せて攻める。ここで獲り切れなかったことで試合やや膠着したが十分な組み手の作れないソウザの技が止まり、2分51秒両者に消極的試合姿勢の「指導」。ソウザが「指導3」となって試合が終わった。
【準決勝】冨田若春〇優勢[技有・一本背負投]△ジュリア・トロフア(フランス)
右相四つ。ともに欲しい形は引き手で袖を絞り、釣り手をフリーとする状態。妥協なく引き手で袖を絞り合って試合やや膠着。片手、両袖でも技のある冨田が片襟の大外刈など見せてやや攻勢も、試合を動かすには至らない。1分14秒双方に消極的試合姿勢の「指導」。以後も引き手で袖を絞り合う展開、これを縫って機動力のある冨田の側が腕一本を抱えた右大外刈に右袖釣込腰と技を積む。トロフワがしっかり弾き返すためなかなか展開に差がつかないが、冨田が右内巻込様の担ぎ技に潰れた2分33秒、トロフワに消極的試合姿勢で「指導2」。残り1分を過ぎると冨田やや加速、引き手で袖口をしっかり握ると右内巻込様に首の横に腕を固定し、前に突っ込むような右一本背負投。トロフワ顔から落ち、次いで冨田の回旋に伴って転がり3分27秒「技有」。トロフワここに至って加速、横変形から時計回りの膝車、ここから左出足払に繋ぐが効き切る前に体を捨ててしまい展開を動かせず。腕一本を抱えた右大外刈を見せたところで、タイムアップ。
【決勝】冨田若春○浮落(2:31)△ホマーヌ・ディッコ(フランス)
冨田、ディッコともに右組みの相四つ。ディッコ先に袖を得ると奥襟を狙い、冨田は守勢に回ってしまう。25秒、冨田に取り組まないことによる「指導」。以降もディッコが先に引き手を持ち、一方の冨田は引き手で袖を得ても切られてしまうことが続き、なかなか自分の形を作れない。横変形で試合が膠着した2分4秒、両者に消極的姿勢の「指導」。これで冨田は「指導2」となる。直後、後のない冨田が片襟の右払腰に右一本背負投、右小内刈と連続で出して試合を動かしにかかると、ディッコは釣り手をクロスグリップに深く差し入れて応じ、右大内刈から準決勝でも見せた「大内捻り」を狙う。刈り足で相手を固定したまま上体を捩じって被り落とすディッコの得意技だが、しかし、刈り足が掛からず己の体だけが空転してしまう。冨田が被ると透かされる形となったディッコは時計まわりに吹っ飛ぶ。2分31秒、浮落「一本」で決着。