[随時更新]日本代表選手勝ち上がり速報・全試合戦評/グランドスラム・バクー2021最終日

日時:2021(令和3)年11月7日(日)
会場:ヘイダル・アリエフ・スポーツアリーナ(アゼルバイジャン)

男子90kg級

増山香補(パーク24) 優勝

【1回戦】増山香補〇優勢[技有・体落]△キーガン・ユン(カナダ)
増山左、ユン右組みのケンカ四つ。ケンカ四つ。2分29秒、引き手を切った増山に「指導」。増山は足技に担ぎ技、崩しては寝技とよく攻めて相手のリソースを削ぎ続ける。残り14秒、引き手でしっかり袖を絞ると、切ろうとした相手にこれを許さず、綺麗な左体落で「技有」。そのままタイムアップ。

【2回戦】増山香補〇優勢[技有・一本背負投]△ガンツルガ・アルタンバガナ(モンゴル)
左相四つ。増山は左右の背負投を、しかもすべて打点高く次々繰り出す極めて面白い戦型。左背負投、右の片手右背負投と立て続けに打った1分1秒、ガンツルガ・アルタンバガナに「指導」。増山はさらに組み際の片襟左背負投、肘抜きの右背負投と立て続けに攻める。ガンツルガ・アルタンバガナ釣り手でまず奥襟を叩いて組み止めようとするが、増山はまったく動ぜず左背負投で抜き、右背負投に繋ぐ異様な連携で投げを狙い続ける。2分9秒技の出せないガンツルガ・アルタンバガナに「指導2」。増山は左右に背負投、あおって左大内刈と自在の動き。奥襟圧力に動きを止めてしまった3分8秒防御姿勢の「指導」を貰ったが勢いは衰えない。ガンツルガ・アルタンバガナ一計を案じ釣り手で腋下を掴むがこれは増山の術中、左一本背負投に切り返し、打点高く投げ切って3分37秒「技有」。そのままタイムアップ、増山充実の試合であった。

【準々決勝】増山香補〇GS反則[指導3](GS1:24)△エルラン・シェロフ(キルギスタン)
増山左、シェロフ右組みのケンカ四つ。長身で手足が長く、かつ腰を引いて構える相手の間合いの遠さに増山やや手を焼き、なかなか技が芯を食えず。「指導」2-1リードのまま試合はGS延長戦へ。増山相手の体を起こして左背負投、さらに大内刈と小内刈の連携で前に出るもやはりなかなか崩せない。GS延長戦1分、増山手首を立ててにじり寄り、左大外刈で詰めて左背負投という好連携。続く展開、手が詰まり始めたシェロフは引き手の指を握り合わせてディフェンス。主審見逃さず試合を止め3つ目の「指導」を宣告。ここで試合終了。

【準決勝】増山香補〇GS反則[指導3](GS4:14)△ベカ・グヴィニアシヴィリ(ジョージア)
増山左、グヴィニアシヴィリ右組みのケンカ四つ。増山良く攻めるがグヴィニアシヴィリの丁寧な組み手と際の粘りの前に、なかなか展開を動かせない。ともに十分な形になれぬまま、2分32秒双方に「取り組まない」咎の「指導」。増山このあたりから「大内・小内」の連携に手ごたえを見出し、幾度か大きく崩して展開を掴む。大胆な左背負投も仕掛けられるようになったところで本戦4分間が終了。迎えたGS延長戦は大枠増山が優位。「大内・小内」に打点の高い左背負投であわやという場面を作り続ける。しかしグヴィニアシヴィリは機を見ては捨身技や「サリハニ」からの内股掛け潰れ、後の先の技を的確に仕掛け、ワンチャンスを待ってあくまで展開を留保し続ける。それでも増山足技の連携と背負投の矛を収めず、グヴィニアシヴィリの体力を奪い。徐々に試合を塗りつぶしていく。グヴィニアシヴィリは「待て」の度に正座する姿を見せるようになり、やがて寝転がったまま起き上がれなくなっていく。増山粘り強く、しかもあくまで投げを狙って大技、足技と仕掛け続け、GS3分2秒「指導2」、そしてついにGS4分14秒「指導3」と奪ってフィニッシュ。増山粘り勝ち。難しい試合を勝ち切って決勝進出決定。

【決勝】増山香補〇GS反則[指導3](GS1:43)△ママダリ・メフディエフ(アゼルバイジャン)
左相四つ。まず引き手で襟を持ち、これを起点に左右形を変えながらの背負投を狙う増山に、釣り手で上腕あるいは奥襟を持って圧したいメフディエフという構図で試合が進む。メフディエフのしつこく、強い組み手に増山あるいは右背負投で抜け、あるいは左一本背負投で投げに掛かり、時に支釣込足で外して、と粘り強く対峙。右背負投から左一本背負投に繋いだ54秒、メフディエフに「指導」。増山なおも攻め続けるが、メフディエフが釣り手で上腕を持ったまま突進すると場外際でやや腰が浮いて危うい体勢。割り切って前に潰れ、2分11秒「指導」を貰う。前進圧力に手ごたえを得たメフディエフ前に出ながらの足技に活路を見出さんとするが、増山すべて左背負投に切り返し続けて譲らず。試合はこのままGS延長戦へ。増山はメフディエフのクロス組み手を左大内刈で剥がすと、引き手を襟で持っては釣り手で同じ襟を掴んでの左背負投を連発。GS延長戦27秒メフディエフに「指導2」。増山、GS1分過ぎからは外足を張り、体落様の左背負投に活路を見出しこの技で投げを狙い続ける。メフディエフは明らかに疲労、徐々に圧力が弱まる。GS1分43秒、増山は外足をいったん大外刈の形に入れて張り、大きく回転して左背負投に連絡。メフディエフ後ろから思わずこの作用足を抱えてしまうミス。主審が足取りのゼスチャーとともに「指導3」を宣して試合が終わった。


田嶋剛希(パーク24) 5位

【1回戦】田嶋剛希〇崩袈裟固(1:05)△ジョヴァンニ・フェレイラ(ブラジル)
田嶋右、フェレイラ左組みのケンカ四つ。田嶋襟を掴んだ釣り手を高く、袖を掴んだ引き手を低く構える万全の形から右内股で攻める。嫌ったフェレイラが巻き込み潰れ、隅落を狙う形で潰した田嶋ここからしぶとく寝技を展開。足を絡まれるといったん敢えてローリングして再展開。下から腕を抱えたまま後帯を掴み、「横返し」で捲って横四方固。体勢整えながら崩袈裟固で抑え続け、膝を立てられてしまったがここでブザー。「一本」。

【2回戦】田嶋剛希〇合技[横四方固・横四方固](1:34)△セオドロス・ツェリディス(ギリシャ)
右相四つ。22秒、袖口絞った田嶋に「指導」。39秒、ツェリディスが肩車も田嶋余裕を持って潰して寝技へ。両腕で後帯を掴んで胴を抱え、ローリングして抑え込む。縦四方固の形で絡まれた脚を引き抜いて横四方固に連絡「抑え込み」の宣告を聞く。10秒経過したところでいったん足を絡まれたが抑え込み直し、1分34秒2つ目の「技有」。

【準々決勝】田嶋剛希△優勢[技有・体落]〇ママダリ・メフディエフ(アゼルバイジャン)
田嶋右、メフディエフ左組みのケンカ四つ。田嶋肘抜きの右背負投で先んじて攻め、やる気十分。しかし体勢低く構えたところ背中を深く掴まれ、形上頭が下がったままの進退となってしまう。37秒極端な防御姿勢の咎で「指導」。直後、前に出て引き手で左片襟を探ったところメフディエフこの上腕を引き手で深く掴み、伸びた手を呼び込むように思い切った左体落。田嶋大きく転がって41秒「技有」を失う。田嶋激しく前に出て攻めるがメフディエフ長い腕を利した間合いの出し入れと返し矢の左小外刈、機を見ての捨身技で容易に展開を与えず。田嶋の攻めが遅くなると見るや一転組み潰す戦術眼の良さも見せ、攻めの形を作らせない。田嶋それでも前に出て1分40秒場外の「指導」は奪ったが、以後は残り5秒、割り切って潰れたメフディエフに偽装攻撃の「指導2」が与えられたのみ。「技有」優勢で試合は終了となった。
【敗者復活戦】田嶋剛希〇横四方固(2:23)△ヴガル・タリボフ(アゼルバイジャン)
右相四つ。田嶋、タリボフのクロス組み手からの「蹴り崩し」に膝を着いてしまい「指導」1つを貰う。しかし冷静さを失わず。再び蹴り崩しを狙う相手を横変形に誘うと今度は支釣込足で潰し返し、寝技へと移行。まず片手で帯を掴むと下から引き込み、後帯を両手握りに変え、横に転がし、縦四方固の形から脚を引き抜いて横四方固へと繋ぐ。タリボフ早々に「参った」。

【3位決定戦】田嶋剛希△反則[指導3](2:35)〇ベカ・グヴィニアシヴィリ(ジョ―ジア)
右相四つ。29秒田嶋に「指導」。田嶋時折左一本背負投を見せるが効かず、組み手の様相からも地力で後塵を拝する印象。グヴィニアシヴィリが引き手で腋裏、釣り手で後帯を掴むと田嶋潰れてしまい、1分1秒「指導2」。続く展開、グヴィニアシヴィリ引き手で袖を押し込んで除け、後帯に持ち替えると腹を出して持ち上げ、左へ移腰。釣り手をクロスに応じて横腹を見せていた田嶋は耐えきれない。豪快極まりない一発決まって1分13秒「技有」。2分35秒、田嶋頭を下げたところを前にはたき込まれ、後帯を持たれるとそのまま潰れてしまう。「指導3」が宣されて試合決着。

男子100kg級

飯田健太郎(旭化成) 3位

【1回戦】飯田健太郎〇合技[袖釣込腰・隅落](1:53)△ハリー・ロヴェール=ヘウィット(イングランド)
右相四つ。相手は飯田以上の長身細身。飯田は左構えで引き手の確保を狙う。27秒、両手で相手の組み手を切った飯田に「指導」。1分1秒、飯田が低く右袖釣込腰。敢えて小さく速い動作で右前隅に落とし「技有」。1分23秒、飯田の奥襟確保を肘を抱える形で外そうとしたロヴェール=ヘウィットに「指導」。続く展開、手の詰まったロヴェール=ヘウィットが斜めに右大外刈も飯田ガッチリ止め。緩やかな動きで隅落。最後は縦回転で相手が背中から落ち「技有」で決着。

【準々決勝】飯田健太郎△GS反則[指導3](GS1:34)〇ニイアズ・ビラロフ(ロシア)
飯田右、ビラロフ左組みのケンカ四つ。飯田は釣り手を突かれてなかなか持ちどころを定められず、数合の駆け引きを経てここは大枠クリアするも、とにかく引き手を持たせてもらえない。1分6秒両者に片手のゼスチャーで「指導」。飯田、1分28秒に良い形を作って右内股も投げ切れず潰れて「待て」。1分58秒には両者に片手の「指導2」。飯田釣り手は良いところを得て手首を立てる場面があるがやはり引き手が持てず、片手の攻防が続く。ビラロフ引き手を切っては右一本背負投に、見せ技の左内股、左払腰と明らかに「指導」狙いで手数を積む。様相変わぬまま試合はGS延長戦へ。GS延長戦1分過ぎ、飯田釣り手で後襟を得ると引き手は敢えて袖を与えたまま前へ。ビラロフの左体落に合わせて右内股も透かされ、チャンスは潰える。直後、ビラロフが右一本背負投に潰れると主審試合を止め、飯田に消極の「指導」。これで試合が終わった。

【敗者復活戦】飯田健太郎〇内股(0:11)△ミヘイル・ジャパナゼ(ジョージア)
飯田引き手で袖を一方的に確保。釣り手を奥襟に入れるなり思い切った右内股、作用足を高く揚げる。ジャパナゼ奥襟を恐れて反時計回りに動き始めたところにこの技を食ってあっさり一回転。「一本」。

【3位決定戦】飯田健太郎〇内股(2:22)△アンドレ・ハムベルト(ブラジル)
ともに右組みの相四つ。ハムベルト引き手で襟を持って激しく振り立て、牽制。飯田左出足払に右袖釣込腰と放つが不十分。ハムベルトが奥襟を叩き、転じて左一本背負投を見せた2分6秒、飯田に消極的試合姿勢の「指導」。続く展開、飯田釣り手で奥襟を持つと右小外刈でアプローチ。ここでハムベルトは反時計回りに回りながら左小外刈を当て、さらに背を抱き左小外掛に連絡して勝負に出る。背を抱かせた飯田もミス、しかし自ら飯田得意の内股に最も向いた形を作ったハムベルトもそれ以上の悪手。作用足の掛かりどころを貰った飯田軽く右内股で放って「一本」。


男子100kg超級

斉藤立(国士舘大2年) 優勝

【1回戦】斉藤立〇合技[大内刈・体落](1:32)△ジャマル・フェイジエフ(アゼルバイジャン)
左相四つ。試合が始まるなり万全の組み手、左大内刈で追い込んで投げ11秒「技有」。フェイジエフ左払巻込も斉藤立ったまま弾き返して動ぜず。引き手と横襟を得ると釣り手の手首を立て、左体落。綺麗に決まって「技有」。

【準々決勝】斉藤立〇内股(2:23)△ウシャンギ・コカウリ(アゼルバイジャン)
斉藤左、コカウリ右組みのケンカ四つ。47秒技の出ないコカウリに「指導」。1分30秒手先の組み手争いを続けた双方に「指導」。斉藤、釣り手で横襟を持ち手首を立てて前へ。片襟を突き返して応じていたコカウリ手が詰まり、思い切って釣り手を大きく巻き返す。しかしその巻き返しムーブに綺麗に合わせて斉藤が左内股。柔らかく、鋭い一撃見事決まって「一本」。

【準決勝】斉藤立〇横四方固(3:14)△オドフー・ツェツェンツェンゲル(モンゴル)
左相四つ。オドフー・ツェツェンツェンゲルは横変形にずれての組み合いを志向。斉藤たびたび左大外刈を見せるが、耐えられ、空振りで潰れ、これはなかなか効かず。オドフー・ツェツェンツェンゲルは体落に大外刈で攻め返す。斉藤、引き手で襟を掴むと前に出て、大内刈崩れの左内股。左後隅にグシャリと落として2分39秒「技有」。後のなくなったオドフー・ツェツェンツェンゲル釣り手をクロスに入れて牽制すると巴投。しかし斉藤潰し、両襟で首を圧したまま相手の腰を上げると、自らの腰を切って肩越しに脚をパス、上体にアプローチする。瞬間横四方固が完成。観念したオドフー・ツェツェンツェンゲル「参った」。

【決勝】斉藤立〇支釣込足(3:10)△テムル・ラヒモフ(タジキスタン)
左相四つ。双方まず引き手で襟を得ての陣地争いが続く。42秒、両襟を高く掴んだ斉藤が左大内刈。引っ掛けて脚を上げさせ、前に出、胸を合わせながら両手をハンドル操作。相手の重心が浮くと体ごと左後隅に突っ込んで投げ切り「技有」。ラヒモフ右小外刈から右小外掛に連絡、斉藤たたらを踏む場面があったが耐え切って大過なし。ラヒモフはクロス組み手に背中抱き、後帯掴みと様々手立てを駆使するが、斉藤がきちんと対応すると危機を感じていずれも自ら矛を収める。斉藤2分過ぎには横襟を握った釣り手の手首を立てて左体落、2分40秒には同じく手首を立てて左内股と良い技を連発。3分過ぎ、ラヒモフ組み際に右内股の牽制を見せると、構えを左に戻して釣り手で奥襟を叩く。釣り手で横襟を掴んでいた斉藤引き手で腋裏を掴んで応じると、一瞬前に踏み込むフェイントから身を翻して支釣込足一撃。ラヒモフ両足を揃えて反時計回りに吹っ飛び「一本」。


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