[随時更新]日本代表選手勝ち上がり速報・全試合戦評/グランドスラム・バクー2021第2日

日時:2021(令和3)年11月6日(土)
会場:ヘイダル・アリエフ・スポーツアリーナ(アゼルバイジャン)

男子73kg級

大吉賢(了徳寺大職) 2位

【1回戦】大吉賢○肩固(GS1:05)△オドゲレル・ウランバヤル(モンゴル)
ともに左組みの相四つ。組み合うなりひたすら蹴り崩してくる相手に大吉手を焼き、本戦で「指導2」のビハインドを負ってしまう。しかし、GS30秒、伏せた相手に引込返。この流れで下から抱き込んで背中で結手、そのまま転がして肩固で抑え込む。窮地脱出、GS1分5秒「一本」。

【2回戦】大吉賢○合技[巴投・小内刈](2:18)△ルスタン・オルジョフ(アゼルバイジャン)
ともに左組みの相四つ。開始30秒、横変形にずれての力比べから、大吉が釣り手を肩に持ち替え巴投。これが金的に入ってしまったオルジョフ体側から落ちて「技有」となる。しかし1分2秒、再び大吉が巴投を仕掛けると、オルジョフ今度はこれを抱き止めて浴びせ倒し「技有」を取り返す。追いつかれた大吉だが、怯むこと一切なくなく得意の接近戦を挑み続け、2分18秒、右の「やぐら投げ」から右小内刈に繋ぎ「技有」。合技「一本」で強敵オルジョフを撃破。

【準々決勝】大吉賢○合技[浮落・内股](2:25)△アユブ・ハジャリエフ(ロシア)
ともに左組みの相四つ。1分18秒、大吉は相手の右背負投を引っ張り上げて自らの浮落に変換、豪快に浴びせ投げて「技有」を先取。さらに2分22秒、横変形にずれた形からハジャリエフが組み手をスイッチして釣り手で右奥を叩くと、大吉鋭く反応して脇を差し、大腰様に腰に乗せての左内股。これで「技有」を追加、合技「一本」で快勝。

【準決勝】大吉賢○跳腰(1:42)△ルーカス・フェンネコルド(ドイツ)
大吉が左、フェンネコルドが右組みのケンカ四つ。1分30秒過ぎ、大吉は釣り手を上から被せるようにして襟を得ると、右大内刈を狙って相手が接近してきたところで引き手で袖も確保。一度膝裏への左小外刈で釣り手側に振ると、鋭く左跳腰に飛び込む。相手を完全に腰に乗せ、豪快に回しきって1分42秒「一本」。

【決勝】大吉賢△GS反則[指導3](GS1:41)〇マフマドベク・マフマドベコフ(ロシア)
大吉左、マフマドベコフ右組みのケンカ四つ。マフマドベコフ釣り手で背中を深く叩くが、大吉片手のまま高い左内股で剥がし、同じく片手のまま膝を入れた谷落で崩してと、冴えた解を見せる。しかしマフマドベコフは下からの腕挫十字固に「表三角」と寝技でしぶとく展開を掴み返す。2分54秒双方に消極的の咎で「指導」。マフマドベコフは「ケンカ四つクロス」から大内刈、隅返と、十分組まぬまま手数を積む作戦を選択。展開を取って試合はGS延長戦へ。マフマドベコフは肩車に横落と片手技を連発、「ケンカ四つクロス」からの大内刈も交えて完全に手数モード。大吉両手を広げてアピールも具体的な打開策なく、GS40秒、1分41秒と立て続けに消極の「指導」を貰って終戦。

塚本綾(日本体育大4年) 2回戦敗退

【1回戦】塚本綾○優勢[技有・出足払]△ルファト・ママドフ(アゼルバイジャン)
ともに左組みの相四つ。塚本は組み手争いから相手の釣り手を引き手側にまとめ、56秒、狙いすました右出足払で「技有」を奪う。以降は相手に十分な形を作らせず、このポイントを守りきってタイムアップ。

【2回戦】塚本綾○反則[指導3](3:44)△ツェンドオチル・ツォグトバータル(モンゴル)
塚本、ツェンドオチルともに左組みの相四つ。塚本はツェンドオチルの厳しい引き手の絞りの前に釣り手でなかなか十分な位置を持てず、一方のツェンドオチルも序盤は抑え気味に試合を進め、膠着状態が続く。試合動かず2分3秒までにいずれも消極的姿勢の咎で両者に「指導」ふたつが累積。以降は互いに奥を叩きあっての接近戦が続くが、地力に勝るツェンドオチルが足元を蹴り崩し続けて展開を取り、塚本万事休す。3分44秒、塚本に消極的姿勢の咎で「指導3」が与えられて決着。

男子81kg級

友清光(日本製鉄) 7位

【1回戦】友清光○背負投(3:53)△フシュヴァヒト・イディエフ(タジキスタン)
ともに右組みの相四つ。友清は長身の相手を組み手で完封。「指導」差1-2とリードして迎えた残り7秒、両手で引き手側の襟を持っての片襟右背負投で、大きく外に踏み出しながら担いで投げ切り「一本」。

【2回戦】友清光○優勢[技有・袖釣込腰]△ニコン・ザボロスチュク(モルドバ)
ともに右組みの相四つ。1分24秒、友清は横変形にずれた形から得意の左袖釣込腰。残心まで完璧なまさしく美技であったが、背中の着きが甘いと判断され技の効果は「技有」に留まる。以降、相手の「やぐら投げ」や片手絞で危ない場面があったが、このポイントを守りきって優勢勝ち。

【準々決勝】友清光△合技[横四方固・大外車](1:20)○ハシル・ジャファロフ(アゼルバイジャン)
友清が右、ジャファロフが左組みのケンカ四つ。50秒、寝技の攻防で友清が相手の背後を取ろうと被さると、腰を上げて立ち上がりかけていたジャファロフ上体を折って背負投様に引き落とす。友清頭越しに畳に落ち、そのままジャファロフ横四方固。友清必死にもがいて逃れるも、既に10秒が経過しており1分2秒「技有」。さらに直後の1分18秒、組み際に友清が釣り手を求めたところをジャファロフが袖釣込腰様に腕をまとめて左大外刈。移動のタイミングがかち合って両足を刈られる形となった友清は堪らず転がり大外車「技有」。合技「一本」で試合終了、友清は敗者復活戦へ。

【敗者復活戦】友清光△合技[腰車・巴投](3:25)○ドリン・ゴトノアガ(モルドバ)
ともに右組みの相四つ。開始33秒、友清が組み際の右大外巻込。ゴトノアガ勢い良く後方に飛び「一本」が宣せられるが、映像確認の結果背中を着いていないとみなされてポイント自体がなくなる。以降も友清は左袖釣込腰で惜しい場面を作るなど優勢に試合を進めるが、2分39秒、ゴトノアガの左腰車で乗り越えられるように捲り投げられて「技有」を失う。さらに3分19秒、横変形にずれての袖の絞り合いからゴトノアガが巴投に潜り込むと体側から落ちてしまい、痛恨の「技有」失陥。合技「一本」で終戦となった。


賀持喜道(日本大3年) 2回戦敗退

賀持喜道○GS技有・内股(GS1:14)△ハクナザル・ナザロフ(タジキスタン)
ともに左組みの相四つ。本戦では大きな動きはなく、組み手の技術に勝る賀持の優位で勝負はGS延長戦へ。GS1分14秒、賀持、奥襟を得ると相手の「やぐら投げ」に合わせて引き手も確保、直後に得意の一足内股に飛び込み「技有」。

【2回戦】賀持喜道△優勢[技有・隅返]○エルジャン・ハジエフ(アゼルバイジャン)
賀持が左、ハジエフが右組みのケンカ四つ。1分8秒、脇の差し合いから後帯を持たれ、相手の右釣腰に反応したところを隅返で転がされて「技有」を失う。以降激しく攻めるも、逆に袖口を握ったことによる「指導」2つを失う苦しい展開。そのままタイムアップ。

女子63kg級

堀川恵(パーク24) 3位

【1回戦】堀川恵○大外刈(3:02)△サランツェツェグ・ラグワデュラム(モンゴル)
堀川が右、サランツェツェグが左組みのケンカ四つ。2分30秒、堀川は組み際に一瞬相手を前に呼び込み、戻しに合わせて右小内刈。崩れた相手を押し込み「技有」先取。さらに3分2秒、低空の右内股で相手を伏せさせ、その立ち上がり際に右大外刈。足車様に斜めに刈り投げて「一本」。

【準々決勝】堀川恵○優勢[技有・大外刈]△アンリケリス・バリオス(ベネズエラ)
堀川、バリオスともに右組みの相四つ。堀川は長身のバリオスを相手に、先に引き手を得て絞り落とすことを徹底。この形から懐に潜り込んでの足技で攻め続ける。3分15秒、この形から片襟の右大外刈に飛び込み「技有」。このポイントを守りきって優勢勝ち。

【準決勝】堀川恵△優勢[技有・内股]○ボルド・ガンハイチ(モンゴル)
堀川が右、ガンハイチが左組みのケンカ四つ。組み手の技術に勝る堀川が終始優勢。組み手に混ぜ込んでの足技に釣り手を内から得ての右内股と一方的に攻め続ける。しかし3分23秒、引き手のみを持った状態から相手の奥襟叩きに横スイングで応じた瞬間左内股を合わせられてしまい「技有」を失う。残り時間はほぼ残されておらず、このまま試合が終了。堀川、悔しい敗戦で3位決定戦へと回ることになった。

【3位決定戦】堀川恵〇腕挫十字固(3:11)△ガブリエラ・モラエス(ブラジル)
堀川右、モラエス左組みのケンカ四つ。長身のモラエスは釣り手で正中線を超えるほどに深く背中を叩き、足を股中に突っ込んで「サリハニ」状態を作ってから隅返と払巻込を狙う。堀川は前襟を掴み、巧みにスペースを出し入れして対抗。時折肘を押し込み、相手の体を前に送り出して背中にアプローチする巧さを見せる。1分31秒技の出ない堀川に「指導」。2分37秒、モラエスがまたもや「サリハニ」。しかし作用足を外した瞬間堀川一歩退いて空間を作り、ここに叩き落として隅落「技有」。これは取り消されたが展開は徐々に堀川。2分48秒正中線を超えて背中を叩いたモラエスに「指導」。再びモラエス背中を掴むと堀川外し、右小外刈をいったん当て、大きく抜き上げる。モラエスが崩れると大きく押し込み、背中から畳に埋める。なぜかポイントにはならなかったがそのまま頭を跨いで制し、次いで右腕を抱えて腕挫十字固。完全に腕が伸びて「一本」。

女子70kg級

寺田宇多菜(JR東日本) 優勝

【1回戦】寺田宇多菜○合技[背負投・崩上四方固](1:20)△スダバ・アガエワ(アゼルバイジャン)
寺田が左、アガエワが右組みのケンカ四つ。寺田は釣り手で内、引き手で袖の良い形を作ると、51秒に肘抜きの左背負投で「技有」を先行する。投げ終わりの形のまま固めた崩袈裟固は逃してしまうが、すかさず崩上四方固で抑え直して1分20秒、合技「一本」。

【準々決勝】寺田宇多菜○GS反則[指導3](GS3:52)△ミリアム・ブートケライト(ドイツ)
寺田が左、ブートケライトが右組みのケンカ四つ。背中を抱いて右内股を狙う長身のブートケライトに、腰の差し合いから左の担ぎ技を狙う寺田という構図。両者不十分な形から掛け潰れる展開が続くが、終始寺田が先に技を出していたことでGS3分52秒、ブートケライトに「指導3」。ここで決着。

【準決勝】寺田宇多菜○合技[小内刈・崩袈裟固](1:02)△ジュリー・ホーセルホフ(ドイツ)
ともに左組みの相四つ。寺田は長身の相手に対して先に引き手で袖を抑え、片襟の左大外刈に左一本背負投と技を積む。49秒、寺田の組み手に相手が袖の絞り合いで応じると、釣り手を掴まれていた相手の手を切るなり、片襟を差しての左「小内差し」。勢いよく飛び込んだこの技見事決まって「技有」。寺田、投げ終わりの形のまま崩袈裟固で抑え込み1分2秒、合技「一本」に至る。

【決勝】寺田宇多菜〇体落(0:52)△ララ・ツヴェツコ(クロアチア)
ともに左組みの相四つ。寺田両手で丁寧に絞って引き手で袖をしっかり掴む。釣り手を絞られ返したところでいったんはリセットを掛けたが、再び引き手で袖を得ると釣り手で肘下を押しながら低く左体落。作用足が相手の左足首に掛かる綺麗な形、頭を大きく下げられたツヴェツコは前回り受け身に飛び込む形で一回転。文句なしの「一本」。

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