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【東京世界柔道選手権2019特集】永山が髙藤に逆転勝ちで銅メダル獲得、優勝は欧州王者チフヴィミアニが攫う・男子60kg級速報レポート

取材:eJudo編集部
撮影:乾晋也、辺見真也

→東京世界柔道選手権2019組み合わせ(公式サイトippon.org内)

→男子60kg級全試合結果

東京世界柔道選手権男子60kg級3位決定戦、試合終了直前に永山竜樹が髙藤直寿から隅返「技有」
3位決定戦、試合終了直前に永山竜樹が髙藤直寿から隅返「技有」

東京世界柔道選手権2019は25日、日本武道館で開幕。初日は男子60kg級と女子48kg級の競技が行われた。

男子60kg級は、決勝での対決が確実視された日本代表の髙藤直寿(パーク24)と永山竜樹(了徳寺大職)の2人がともに中途で敗退、3位決定戦で直接対決することとなった。髙藤は準々決勝でシャラフディン・ルトフィラエフ(ウズベキスタン)に内股「一本」で敗れ、永山は準決勝で今期のヨーロッパ王者ルフミ・チフヴィミアニ(ジョージア)とのGS延長戦を肩車を潰されての浮落「技有」で落とした。

髙藤と永山の対決は残り25秒で髙藤が隅落「技有」を確保。このまま勝利がほぼ確実かと思われたが、残り数秒で永山が隅返「技有」で追いつく。そのまま横四方固で抑え込んで合技「一本」で勝ち越し。逆転勝利で銅メダルを獲得した。

東京世界柔道選手権男子60kg級決勝、ルフミ・チフヴィミアニがシャラフディン・ルトフィラエフから釣込腰「一本」
決勝、ルフミ・チフヴィミアニがシャラフディン・ルトフィラエフから釣込腰「一本」

決勝には日本選手を下した2人が勝ち上がり、チフヴィミアニが不利な展開を内股透「技有」に釣込腰「一本」で突破し、初の世界選手権金メダルを獲得した。

この日は優勝候補のベテランたちが次々敗れ、若手、あるいは国内で2番手とされる選手が躍動。

メダルには手が届かなかったが特に目立っていたのが、7位のヤン・ユンウェイ(台湾)と5位のグスマン・キルギズバエフ(カザフスタン)、7位のクバニチュベク・アイベク=ウール(キルギスタン)の3名。ヤンは1回戦で好調のアシュリー・マッケンジー(イギリス)を一本背負投「技有」で下したばかりか、以降第1シードのロベルト・ムシュヴィドバゼ(ロシア)を「指導3」、ディヨルベク・ウロズボエフ(ウズベキスタン)を小外刈「一本」と優勝候補を2人撃破。巧みな組み手とスピードある背負投を駆使して前半戦の台風の目、メダルを持ち帰れないのがおかしいくらいの大活躍だった。キルギスバエフはフェリペ・キタダイ(ブラジル)とアミラン・パピナシヴィリ(ジョージア)に勝利、気風の良い柔道を披露した18歳のアイベク=ウールは4回戦でダシュダヴァー・アマルツヴシン(モンゴル)と試合時間8分半の壮絶な投げ合いを大内返「一本」で制してプールファイナルまで進んだ。

長年上位陣の顔ぶれがなかなか変わらなかった60kg級だが、久々新たな潮流の見られた大会だった。

入賞者および3位決定戦と決勝、日本代表選手全試合の戦評は下記。全試合の結果は「全試合結果」を参照されたい。

入賞者

東京世界柔道選手権2019、男子60kg級メダリスト。左から2位のシャラフディン・ルトフィラエフ、優勝のルフミ・チフヴィミアニ、3位のイェルドス・スメトフと永山竜樹。
男子60kg級メダリスト。左から2位のシャラフディン・ルトフィラエフ、優勝のルフミ・チフヴィミアニ、3位のイェルドス・スメトフと永山竜樹。

【入賞者】
1.CHKHVIMIANI, Lukhumi (GEO)
2.LUTFILLAEV, Sharafuddin (UZB)
3.NAGAYAMA, Ryuju (JPN)
3.SMETOV, Yeldos (KAZ)
5.KYRGYZBAYEV, Gusman (KAZ)
5.TAKATO, Naohisa (JPN)
7.AIBEK UULU, Kubanychbek (KGZ)
7.YANG, Yung Wei (TPE)

【成績上位者】
優 勝:ルフミ・チフヴィミアニ(ジョージア)
準優勝:シャラフディン・ルトフィラエフ(ウズベキスタン)
第三位:永山竜樹、イェルドス・スメトフ(カザフスタン)

決勝ラウンド戦評

東京世界柔道選手権男子60kg級3位決定戦の同国対決、イェルドス・スメトフがグスマン・キルギズバエフを隅落「一本」
3位決定戦の同国対決、イェルドス・スメトフがグスマン・キルギズバエフを隅落「一本」

【3位決定戦】

イェルドス・スメトフ(カザフスタン)○GS隅落(GS1:40)△グスマン・キルギズバエフ(カザフスタン)

スメトフ、キルギズバエフともに右組みの相四つ。互いに手の内をよく知る国内のライバル同士。ゆえに双方技が出ず、組み合っての膠着状態が続く。いずれも決定的な場面を作れないまま時間が過ぎ、「指導1」対「指導2」のスメトフのリードで勝負はGS延長戦へ。GS1分3秒、キルギズバエフが釣り手を背中深くに叩き入れると、スメトフこれを嫌ってあっさり伏せてしまい偽装攻撃による「指導2」。これで両者のポイントが並ぶ。これを受けて試合は加速。キルギズバエフが組み際にクロスグリップを狙ったところをスメトフがいなして崩すと、キルギズバエフそのまま右内股巻込で伏せて展開を切らんとする。スメトフはこれを中空で止めて得意の裏投を狙う。キルギズバエフはもはや脱力して伏せるしか残された道はなく、足を相手の胴体に絡めながら耐えるが、スメトフそのまま俵返の要領で強引に捲り投げる。キルギズバエフは頭から畳に突き刺さるように転がり落ちてGS1分40秒、隅落「一本」。スメトフが国内1番手の意地を見せて3位を獲得した。

東京世界柔道選手権男子60kg級3位決定戦髙藤が隅落「技有」で一時は決定的なリード
髙藤が隅落「技有」で一時は決定的なリード
東京世界柔道選手権男子60kg級3位決定戦逆転勝ちの後輩・永山を髙藤が讃える
逆転勝ちの後輩・永山を髙藤が讃える

永山竜樹○合技[隅返・横四方固](4:00)△髙藤直寿

髙藤が左、永山が右組みのケンカ四つ。永山が強烈な出足払で髙藤を伏せさせ、髙藤が引き出しながらの小内刈を狙い、これを餌に隅返を放つという攻防で序盤が過ぎる。髙藤が出足払に左小内刈で試合を引っ張るが永山弾いて動ぜず。1分過ぎには髙藤が釣り手を激しく振ると永山が左肩車、これを髙藤が引込返に切り返すという極めて速いテンポの攻防。続いて2分10秒には永山の内股を皮切りに縺れたところから髙藤が浮技に身を躍らせ、これをさらに永山が振り向きながら切り返すというこれも段重ねの速い攻防が見られる。目が離せない試合。2分48秒、永山の左肩車に偽装攻撃の「指導」が与えられると試合は少々加速。髙藤が左内股から隅返の連携で膝を着かせ、優位を取り掛ける。
ここで髙藤が左内股、応じた永山の右内股を透かすとその伏せ際を狙ってめくり返しの隅落。これが見事決まって残り26秒決定的な「技有」。試合時間を考えればもはや勝敗は決まった感あり。あっという間に残り時間は10秒となり、髙藤は手先を前に出して完全なクロージング態勢。しかしここで絡みついた永山が、髙藤の潰れ際にその体を抱え脚を差し込んで隅返一発。おそらく残り時間は5秒を切っていたと思われるが、髙藤が体側から落ちて衝撃的な「技有」。タイムアップと思ったかここで一瞬目を切った髙藤をよそに永山は拘束を解かず、首を極める形で押し込み横四方固。もはや髙藤動けず合技「一本」。永山劇的な逆転で銅メダル獲得。髙藤は5位に終わった。

東京世界柔道選手権男子60kg級決勝、チフヴィミアニ(ジョージア)がルトフィラエフの内股を待ち構えて股中で透かし「技有」
決勝、チフヴィミアニ(ジョージア)がルトフィラエフの内股を待ち構えて股中で透かし「技有」

【決勝】

ルフミ・チフヴィミアニ(ジョージア)○釣込腰(3:43)△シャラフディン・ルトフィラエフ(ウズベキスタン)

ルトフィラエフは左、チフヴィミアニは左組みベースの両組み。好調のルトフィラエフ釣り手で背中を持ち、思い切った左内股を見舞う。これに手ごたえを得ると再び引き手で袖、釣り手で背中を持って左内股、チフヴィミアニ腰を切って耐えるが1分11秒チフヴィミアニに「指導2」。以後もルトフィラエフが組み手で良い形を作っては腰を切ってこの左内股を晒す。チフヴィミアニ待っていては本命の内股で持っていかれると浮落で捩じって力をずらし、次いで強引に左大外刈に飛び込んで展開を切る。ルトフィラエフ返しを狙って「待て」。2分43秒には組み手のミスで「指導」を失ったものの主導権は完全にルトフィラエフ。あとは得意の内股をいつ叩き込むか、という情勢だが、勝負を焦ったか、ルトフィラエフ相手に背を抱かせた不十分な情勢のままひときわ思い切って左内股に打って出る。だが腰を引いたチフヴィミアニの姿勢は誘い、待ってましたと一歩進んで股中で透かすと、釣り手の拘束が抜けてしまったルトフィラエフの体は空転「技有」。
もはや行くしかないルトフィラエフは、内股を狙って釣り手を深く入れんと前に伸ばす。しかし予期したチフヴィミアニこれも待ち構え、脚を体落様に踏ん張って右釣込腰。ルトフィラエフたまらず吹っ飛び「一本」。

日本代表選手全試合戦評

永山竜樹(了徳寺大職)
成績:3位


【2回戦】
永山竜樹〇内股透(2:02)△キム・ウォンジン(韓国)

永山が左、キムが右組みのケンカ四つ。キムは力があって重心が低い永山との投げ合いを嫌って「指導」奪取作戦。引き手でまず前襟、釣り手で奥襟を持って肘を入れ、形上の優位を作ると浅く大内刈と内股を差し入れて攻勢を演出。永山は一手目の前襟を許すがゆえ、なかなか攻めの形を作れない。形の利はキムにあり。
2分過ぎ、キムがまたもや引き手で襟、釣り手で奥襟を掴む形。永山はここで背中を抱えて耐え、形上は組み負け。ここまで攻勢演出一辺倒だったキムだがあまりの良い形に、吸い寄せられるように思い切った右内股。しかしブンと振り上げた作用足は空転、永山一瞬で身を切って透かして鮮やか内股透「一本」。最高の出だし。

【3回戦】
永山竜樹○合技[背負投・一本背負投](3:36)△モリッツ・プラフキー(ドイツ)

永山が右、プラフキー左組みのけんか四つ。プラフキーは永山に組み止められる前に左一本背負投、片襟の右背負投、体を大きく振っての右一本背負投と先んじて攻撃。試合を流しつづけて手数で「指導」を狙う構え。永山序盤はじっくり見極め、1分42秒に得意の組み手をスイッチしながらの片襟左背負投一撃、背中を上手く使って押し込み「技有」。これに手ごたえを得た永山、相手が手立てを変えぬとみるやこの左背負投で次々攻めこむ。残り30秒を切ったところで再び左へ、今度は一本背負投。プラフキーいったん伏せたがあくまで押し込み「技有」。合技「一本」で決着。

【4回戦】
永山竜樹○優勢[技有・背負投]△ヤニスラフ・ゲルチェフ(ブルガリア)

右相四つ。ゲルチェフ組み合わず、組み際に遠間から座り込んでの左小内巻込、巴投、横落と浅い技を次々掛けては潰れる。永山じっくり見極めて動きの起こり際に右出足払、受けたゲルチェフがまたもや巴投の形で試合を切り、56秒偽装攻撃の「指導」。ゲルチェフしかし戦法を改めず、巴投、さらに左腰車からの巴投と組み際の捨身技を連発。1分37秒には主審が手数を認めて永山に消極の「指導」を与えるに至る。永山、危なげはないもののすぐ後にスメトフ戦が控えることを考えると早く勝負を決めてしまいたい状況。
1分48秒、永山の前進に足を触ってしまったゲルチェフに「指導2」。あと1つの「指導」で勝利に辿り着く永山だが、相手の煮詰まりを考慮して加速。2分53秒、組み際にこれまでと一転右から先に出して左襟を握ってスイッチ、左背負投を捩じ入れて「技有」。以降は前に出てくる相手に出足払、体落と入れながら順行運転。残り0秒で「指導」1つを貰ったがぶじ終戦。

【準々決勝】
永山竜樹○合技[隅落・一本背負投](3:18)△イェルドス・スメトフ(カザフスタン)

大一番は右相四つ。スメトフまず得意の体落を入れると、両袖の攻防を経て一方的に引き手で袖を掴む形を続ける。永山にとっては釣り手を低く抑えられる一見苦しい形だが、得意のスイッチ左背負投のチャンスもあると見てか敢えて過剰反応せずじっくり進退。スメトフの体落、永山の組み際の右内股と静かな攻防数合を経て試合時間が2分を超えたところで、組み手争いの際で苦しくなったスメトフが腕を抱いて左外巻込の形で潰れようとする。ひとまず流れを切らんと体を回したこの安易な判断を永山は見逃さない。隅落に捕まえ、体を乗り込ませて相手の頭を支点に回旋を呉れてやり、決定的な「技有」。
後のなくなったスメトフは袖を絞り込んでの左体落を狙うが、2分43秒には袖口を絞り込んだ咎で「指導」も失う苦境。
ここで永山が組み際にやや中途半端な横落。スメトフ引込返に捉えかけて一瞬永山危機もこれは自ら回転して回避。この横落に偽装攻撃の「指導」が与えられたが、永山は動ぜず。続くスメトフの右一本背負投を立ち際の右小外刈に捉えかけるなど相手が良く見えている模様。3分18秒、右の出足払から動きを止めずに左一本背負投に繋ぎ鮮やか「技有」。大一番を合技「一本」の完勝で乗り越えた。

【準決勝】
永山竜樹△GS技有・浮落(GS1:53)○ルフミ・チフヴィミアニ(ジョージア)

永山が右、チフヴィミアニは左組みべースの両組み。チフヴィミアニは左構えでグイと圧殺、永山いったんは回避、続いて左背負投で流すが、突いた右襟を抱き込まれて間合いを詰められ、再び奥襟を許して苦しい体勢。展開を切らんとふたたび左背負投に飛び込むが潰れてしまい、54秒偽装攻撃の「指導」。永山以後も奥を取られると組み手をスイッチしての左背負投に入るが相手の足が遠くことごとく掛け潰れてしまい、得点の匂いは感じられない。しかし試合時間2分が近づくところで体を相手の右横に運んで右小外刈を絡みつかせると、チフヴィミアニ明らかに嫌がる。永山この小外刈から軸足を外に回しこんだ右内股で大きく崩し、突如として主導権を掌握。右内股で大きく崩し、右小外刈を絡ませては左背負投と左一本背負投、右内股に繋ぐ。打開を期したチフヴィミアニ右に構えを変えて奥を叩くが永山瞬間巴投に入り込んで自らのチャンスに変換。残り24秒、永山左へ肩車も浅く、チフヴィミアニが浮技に切り返して放らんとする場面があったが投げ切れず、試合はそのままGS延長戦へ。
延長に入ると永山片手の右内股でまず伏せさせ、次いでこの右内股で立て続けに大きく崩して快走。あと一歩で投げが決まると思わせる情勢。この右内股で耐えさせて思い切った左背負投に繋いだGS1分11秒にはチフヴィミアニに「指導」。以後も永山執拗に右内股で攻める。
機が熟したと判断したか、永山1分53秒に右方向へ肩車。これまで潜って来た左の担ぎではなく右、高い打点の跳ね技ではなく低く座り込む潜り技とこれまでの展開を撒き餌に使った面白い組み立てであったが、崩れたチフヴィミアニはいったん手を畳に着いて体勢を立て直す。永山は決めを打つべく体を回して天井を向くが、首が抜けてこれは空転。チフヴィミアニしっかり上体を制して押し込み「一本」。映像チェックの結果効果は「技有」に格下げされたが勝敗は変わらず。永山は準決勝敗退。

【3位決定戦】
永山竜樹○合技[隅返・横四方固](4:00)△髙藤直寿

前掲のため省略


シャラフディン・ルトフィラエフが髙藤直寿から内股「技有」
シャラフディン・ルトフィラエフが髙藤直寿から内股「技有」

髙藤直寿(パーク24)
成績:5位


【2回戦】
髙藤直寿〇崩上四方固(1:51)△ミフラジ・アックス(トルコ)
左相四つ。アックスは外巻込様に腕を抱き込んで固定する形を作るが髙藤あっさり脱出。まともに組ませぬまま片手の小内刈で崩す。この技で2度崩し、2度目に食いつくともはや立たせず「横三角」から相手の腕を抱え込んで抑え切り「一本」。近距離戦でのアックスは帯落様の角度で腕を固定する変則の谷落を使う危険な選手でもあるが、髙藤はまったく近づけぬまま、リスクを冒さずあっという間の寝技で勝負を決めた。快勝である。

【3回戦】
髙藤直寿〇払腰(1:43)△ハクベルディ・ジュマエフ(トルクメニスタン)

左相四つ、組み手争いの中ジュマエフが片襟の左背負投に飛び込むが髙藤あっさり潰す。しかし1分22秒、両袖の攻防から髙藤の横移動に合わせてジュマエフが「横巴」。進行方向に技がかちあった髙藤は高く宙を舞う。額を畳にこすりながら身を切って膝から落ちたかと思われたが映像確認の結果これは「技有」。
しかし髙藤は冷静。ジュマエフ再びの巴投をひらりとかわすなり引き上げて左払腰。ほとんど隅落に近い低空ながら完全に背中を着かせて「一本」。

【4回戦】
髙藤直寿○反則[指導3](2:16)△ワリーデ・キア(フランス)

髙藤が左、キアが右組みのケンカ四つ。キアは長い右腕を伸ばして背中を抱かんとし、髙藤は釣り手で前襟を得てこれを外す。蹴り崩してキアの足を開かせ、上から位押しに潰すと、この際足を触ったキアに18秒「指導」。同じ構図の組み手の攻防が続き、50秒双方に消極的との咎で「指導」。スコア上後のなくなったキアは釣り手で後帯を持ち、あるいは髙藤の釣り手を払いのけて背中を持ち、と吶喊密着攻撃を連続。髙藤は下がりながらも左背負投、あるいは一転釣り手一本での左大外刈と抗するがやや捌きかねて苦しい情勢。しかし、首を抱えに来たキアの釣り手を外して片手のまま前に押し込むとキアが畳を割り、2分16秒場外の咎でやや意外な「指導3」これで試合が終わった。

【準々決勝】
髙藤直寿△内股(1:49)○シャラフディン・ルトフィラエフ(ウズベキスタン)

左相四つ。好調のルトフィラエフ、背中を叩いて接近すると髙藤嫌って体を開き気味に避ける。手ごたえを得たルトフィラエフ同じ形で前に出、髙藤が思わず潰れた53秒偽装攻撃の「指導」。髙藤足元に意識を集中、足技を狙う気配だが覚悟の決まったルトフィラエフは長い腕をいっぱいに伸ばして迫力のクロス組み手。再び髙藤が潰れて1分19秒「指導2」。残り2分半以上を残して髙藤は後がなくなる。
採れる戦術の幅が一気に減った髙藤、手立てを変えて右引き手で前襟をまず持つが、同じ展開を狙った1分23秒にはこの手の袖を絞り込んだルトフィラエフが体を開いて左内股。右手を持っていかれた髙藤体が伸ばされる前に素早い反応で手を離し、体を開いて回避するがあまりにも打点が高い。膝をつき、バウンドしたところにルトフィラエフが体ごと押し込んで回旋を呉れる。主審は「技有」を宣告、映像チェックの結果これが「一本」に引き上げられて試合が終わった。髙藤、衝撃的な敗戦。

【敗者復活戦】
髙藤直寿○優勢[技有・肩車]△クバニチュベク・アイベク=ウール(キルギスタン)

髙藤が左、アイベク=ウールが右組みのケンカ四つ。釣り手で背中を叩いて接近を図るウールに対し髙藤は前襟を持ち、釣り手をよく動かして対応。アイベク=ウールはまったく近づけず、2分4秒には片襟の反則を犯し「指導」。続く展開、髙藤肘を上げてひときわ釣り手を激しく動かし、これに混ぜ込んで相手の右へ肩車。これが決まって2分38秒「技有」。髙藤の釣り手にブロックされ続けるウールは戦術的な引き出しの少なさを露呈。手立てを変えることが出来ず、髙藤は余裕をもってクロージング。ウールが時計回りの浮技の奇襲を見せ、潰れたところでタイムアップ。

【3位決定戦】
永山竜樹○合技[隅返・横四方固](4:00)△髙藤直寿

※前掲のため省略

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