【東京世界柔道選手権2019特集】王者アグベニューに挑む田代未来とトルステニャク・女子63kg級概況×有力選手
階級概況
階級の三強であるクラリス・アグベニュー(フランス)、田代未来(コマツ)、ティナ・トルステニャク(スロベニア)の力が他の選手を大きく引き離している。三強といってもその力関係には差があり、序列的にはアグベニューを頂点に田代、トルステニャクの順と捉えられる。相性的にはトルステニャクがアグベニュー、田代がトルステニャクを得意としており、特に田代はトルステニャクに無敗の8連勝中と大きく勝ち越している。この一方的な相性から昨年あるいはトルステニャクが陥落しての二強構造が生まれるのではとの観測もあったが、トルステニャクは直近の対戦である今年2月のグランドスラム・パリでもアグベニューとGS延長戦までもつれ込む接戦を演じており、このアグベニューに分がよいという1点をもって三強の地位を維持している。今大会も田代とトルステニャクが王者アグベニューに挑むというのが優勝争いの大きな構図、東京五輪を翌年に控えたこのタイミングで王座の交代なるかに注目である。
前述の3名以下については、マルティナ・トライドス(ドイツ)、ユール・フランセン(オランダ)らの図内「トップグループ」がメダル候補である。しかし、この階級はこのトップグループと第2グループの間の力の差があまりなく、だれが勝ち上がってもおかしくない混戦と考えてよいだろう。表彰台のうち3枠までは前述の三強に占められる可能性が極めて高いため、それ以外の選手が残る1枠を争うことになる。
有力選手
随時更新。「東京世界選手権完全ガイド」トップページから、63kg級の「有力選手」ボタンをクリックして欲しい。有力選手をピックアップして、その柔道の傾向と組み手、得意技や実績を紹介する。
シード予想
序列通りにクラリス・アグベニュー(フランス)が第1シード。第2シードのティナ・トルステニャク(スロベニア)と第3シードの田代未来(コマツ)が準決勝を戦い、その勝者が決勝でアグベニューに挑むこととなる。これまでの戦績や相性を考えれば田代の決勝進出はまず間違いなく、いかに余力を残してアグベニュー戦を迎えられるかが大きなポイントである。田代は1度のみではあるが、アグベニューからの勝利歴(2017年12月ワールドマスターズ)あり。以降は3連敗しているものの、回を追うごとにその差は詰まってきているように感じられる。アグベニューのパワーを組み手でいかに封じられるか、がまず大きなポイント。勝負を焦ることなく得意の足技を出しつつじっくりと戦い、相手が焦れてミスを犯すか、スタミナが切れたところで勝負を掛けたい。ここで勝利して超えてしまうに越したことはないが、少なくとも来年に向けた「手ごたえ」を持ち帰りたい。
【プールA】
第1シード:クラリス・アグベニュー(フランス)
第8シード:マイリン・デルトロ=カルバハル(キューバ)
【プールB】
第4シード:ユール・フランセン(オランダ)
第5シード:マルティナ・トライドス(ドイツ)
【プールC】
第2シード:ティナ・トルステニャク(スロベニア)
第7シード:キャサリン・ブーシェミン=ピナード(カナダ)
【プールD】
第3シード:田代未来(コマツ)
第6シード:サンネ・フェルメール(オランダ)