阿部一二三(パーク24)

阿部一二三(パーク24) ABE Hifumi

ABE Hifumi
23歳 1997/8/9
WR:5位 組み手:右組み
得意技:右背負投、右袖釣込腰、右大外刈
使用技:右小内刈、右小外刈、右大内刈、左一本背負投、右大腰、右内股

2014年に史上最年少となる17歳2ヶ月で講道館杯を制し、以降この世代の旗手として常に注目を浴びてきたスター。リオ五輪代表には間に合わなかったが、続く2017年、そして2018年と世界選手権を連覇。ライバル丸山城志郎(ミキハウス)との激しい鍔迫り合いの末、2020年12月に行われた異例のワンマッチによる「決定戦」を制して五輪代表の座を勝ち取った。柔道というジャンルを飛び越え、東京五輪におけるこの世代のアスリートの「顔」として扱われるシンボリックな存在である。

優れた動体視力と抜群の体の力、そして異様なまでの肩の柔らかさという特徴すべてをフル活用した「居合い抜き」スタイルが持ち味。引き手一本で遠間に構え、ここぞと見れば畳を蹴って一瞬で相手の懐に飛び込む。投げと同時に叩きこむ釣り手の持ちどころは片襟、両袖、背中とすべてが超攻撃型。あ、と思った瞬間には体をぶつけられた相手が既に高々浮き上がり、阿部は決めの方向を探っておのが体を操作中。この一瞬の「間」、そしてその後の決めが巻き起こすカタルシスはまさに柔道の醍醐味。“遠間からひと呼吸で打点の高い担ぎ技を打ち込む”、極めて高い資質が要求されるこの型で戦う選手は世界にもほとんどいない。使う技はほとんどすべてが大技。とにかく華のある選手である。

技術的には決めの上手さが出色。遠間から作りなく、しかも一瞬で持ちどころを定めて投げねばならない「居合い抜き」技はどうしても仕掛けの段階では不十分になりがちなのだが、これを補うべく、阿部はインパクト後のフォローが抜群に上手い。相手の体を乗り越える、足を継ぐ、回転方向を変える、こういったパーツを組み合わせて背中を着かせることに長けており、「体をしっかりぶつけさえすれば最終的には『一本』」という独自の世界を築き上げている。

近年は足技の進境著しく、右小外刈や、所属の先輩・髙藤直寿(パーク24)ばりの右小内刈も用いている。独自過ぎるスタイルゆえこの単に技を増やしてもなかなか足し算にならず、柔道の幅が広がらなかったのだが、このふたつの足技は嵌った。小外刈は攻撃の起点として、小内刈はこれに留まらぬ決め技として阿部の柔道のレベルを一段押し上げてくれた。間違いなくリオ後もっとも「強い」状態で本番に臨む阿部の活躍に期待したい。

おもな戦績

2019年 東京世界選手権 3位
2018年 バクー世界選手権 優勝
2017年 ブダペスト世界選手権 優勝

最近の成績

2021年4月 グランドスラム・アンタルヤ 優勝
2020年12月 東京五輪代表決定戦 勝利 ※ワンマッチ形式
2020年2月 グランドスラム・デュッセルドルフ 優勝

更新日:2021年7月18日(東京オリンピック特集)
監修:eJudo編集部

東京世界柔道選手権2019での記事

ABE Hifumi
22歳 1997/8/9
WR:3位
組み手:右組み
得意技:右背負投、右袖釣込腰、右大外刈
使用技:右小外刈、右大腰、右大内刈、左一本背負投、右内股

世界選手権2連覇中の現役世界王者。2014年に史上最年少となる17歳2ヶ月で講道館杯を制し、以降この世代の旗手として常に注目を浴びてきた。昨年の世界選手権では妹の詩とともに史上初となる兄妹同日の世界王座獲得を成し遂げ、いまや柔道というジャンルを飛び越えて、東京五輪におけるこの世代のアスリートの「顔」として扱われるシンボリックな存在である。

投げ一発の威力がクローズアップされることが多いが、最大の特徴は「相手の背中を畳に着ける」能力。ほとんどの投げで、相手の身体を乗り越える、足を継ぐ、あるいは回転の方向を変える、と状況に即したフォローを加えて回旋力を一段も二段も増し、無理やり背中を着かせて「一本」に繋いでいる。この決めの巧さと常識外れの肩の柔らかさが、さほどの崩しや作りを経ずに「いきなり入って投げ切ってしまう」一見強引な阿部の投技成立の因。投げ一発をアイデンティティとする選手は数多いが、その中にあってもちょっと珍しいタイプである。

ただし昨年の世界選手権を制して以降、成績は下降気味。3大会連続で優勝を逃したばかりかこの間ライバルの丸山城志郎に2連敗を喫しており、扱いの大きさに比して実は競技成績的にはかなり行き詰った状況でもある。周囲の研究に技術の進化が追いついていないことがその因と観察されるが、4月の全日本選抜体重別選手権では新兵器の右小外刈を導入するなど本人もこの技術的閉塞を打破しようと必死。今までのやり方だけでは勝ち抜けなくなってきた状況で迎える今大会、どんな新モードを持ち込んでくれるかに期待。

おもな戦績

2018年 バクー世界選手権 優勝
2017年 ブダペスト世界選手権 優勝
2014年 講道館杯 優勝 ※史上最年少

最近の成績

2019年4月 全日本選抜体重別選手権 2位
2019年2月 グランドスラム・パリ 2回戦敗退
2018年11月 グランドスラム大阪 2位

更新日:8月11日(東京世界選手権2019特集)

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