阿部一二三(パーク24)

阿部一二三(パーク24) ABE Hifumi

ABE Hifumi
階級:66kg級 WR:6位
26歳 1997/8/9
組み手:右組み

得意技:右背負投、右袖釣込腰、右大外刈、右小外刈
使用技:右小内刈、右大内刈、右一本背負投、左一本背負投、右大腰、右釣込腰、右釣腰、右内股
階級の絶対王者。東京五輪金メダリストであり、世界選手権でも4度(2017年、2018年、2022年、2023年)優勝している。東京五輪では妹の阿部詩とともに五輪史上初の兄妹同日優勝を達成。日本スポーツ界の顔の1人として扱われる、ジャンルを超えたスターだ。

基本属性は担ぎ技系。体の力と肩の柔らかさという特徴をフルに活用した、「居合い抜き」スタイルを持ち味としている。引き手一本で遠間に構え、ここぞと見れば畳を蹴って急加速、一瞬で相手の懐に飛び込む。この型は極めて高い資質が要求されるため、世界でも使いこなす選手はほとんど存在しない。

決めの上手さも出色。仮に技の掛かりが浅くても、相手の体を乗り越える、足を継ぐ、決めの方向を変えるなど、複数の技術を組み合わせ、相手の背中を畳に着ける。この技術力の高さにより、「体をしっかりぶつけさえすれば『一本』」という独自の世界を築き上げている。用いるのは大技ばかり、かつ勝利のほとんどが豪快な「一本」という、華のある選手だ。

大学時代後半は柔道が単調となり、勝ち星の一方で内容的には停滞の感があったが(本人も「強くなっていることが実感出来た時期」として高校時代と大学卒業後を挙げてこの点を認めている)、実業団入り後に一気に技術のレベルが上がった。足技、組み手の持ちどころと手札を増やし、丸山城志郎との対決に備えるなかで、かつて苦手だったケンカ四つ相手の方法論もレベルアップさせた。最新モードでは、袖と前襟の正位置を得ての進退も完璧にこなすようになり、足技の精度も本職のレベルに到達。寝技には課題を残すものの、立技の全方位性を手に入れた。

所属の先輩である髙藤直寿、伊丹直喜の業界屈指の「柔道知識人」2人の薫陶もあってか、技術のアップデート、対戦相手の研究にも余念がない。意外に思われるファンもいるかもしれないが、国際大会の映像は「かなり見る方」(本人談)で、マニアの域。現在では戦術レベルも階級屈指の域に達している。

おもな戦績

2021年 東京五輪 優勝
世界選手権 優勝4回(2017年、2018年、2022年、2023年)
2019年 東京世界選手権 3位

最近の成績

2024年3月 グランドスラム・アンタルヤ 優勝
2023年12月 グランドスラム東京 優勝
2023年5月 ドーハ世界選手権 優勝

Judobase:https://judobase.ijf.org/#/competitor/profile/13208
Judoinside:https://www.judoinside.com/judoka/85604/Hifumi_Abe/judo-career

更新日:2024年7月4日(パリオリンピック2024特集)
監修:eJudo編集部

ドーハ世界柔道選手権2023での記事

ABE Hifumi
25歳 1997/8/9
WR:5位 組み手:右組み

得意技:右背負投、右袖釣込腰、右大外刈
使用技:右小外刈、右小内刈、右大内刈、右一本背負投、左一本背負投、右大腰、右内股

東京五輪金メダリスト。世界選手権でも3度(2017年、2018年、2022年)優勝している。東京五輪では妹の阿部詩とともに五輪史上初の兄妹同日優勝を達成。日本スポーツ界の顔の1人として扱われる、ジャンルを超えたスターである。

世界選手権2連覇(2019年、2021年)の丸山城志郎(ミキハウス)とはライバル関係にあったが、2020年12月に行われた「ワンマッチ」による五輪代表決定戦を含めて現在は阿部が4連勝中。パリ五輪代表争いでも独走している。

体の力と肩の柔らかさという特徴をフルに活用した「居合い抜き」スタイルが進退のベース。引き手一本で遠間に構え、ここぞと見れば畳を蹴って一瞬で相手の懐に飛び込む。 “遠間からひと呼吸で打点の高い担ぎ技を打ち込む”、極めて高い資質が要求されるこの型で戦う選手は、世界にもほとんどいない。使う技はほとんどすべてが大技。華のある選手である。

技術的には決めの上手さが出色。相手の体を乗り越える、足を継ぐ、回転方向を変える、とおいった技術を組み合わせて背中を着かせることに長けており「体をしっかりぶつけさえすれば最終的には『一本』」という独自の世界を築き上げている。

大学時代後半は柔道が単調となり、勝ち星の一方で内容的には停滞の感があったが、実業団入り後一気に技術のレベルが上がった。足技を積み増し、組み手の手札を増やし、また丸山城志郎との対決に備える中で、かつて苦手だったケンカ四つ相手の方法論もレベルアップさせた。独自のスタイルゆえなかなか角を伸ばす方向が見出だせなかったのだが、引き手で近い襟を掴んでの大外刈など、己の特徴を上手く生かし、「投げる」帰結と「負けない」進退を両立させている。最近は袖と襟と二本を得ての進退もこなすようになり、長所はそのままに、全方位的な強さを身に付けつつある。

おもな戦績

2021年 東京五輪 優勝
世界選手権 優勝3度(2017年、2018年、2022年)
2019年 東京世界選手権 3位

最近の成績

2022年10月 タシケント世界選手権 優勝
2022年7月 グランドスラム・ハンガリー 優勝
2022年4月 全日本選抜体重別選手権 優勝

更新日:2023年5月6日(ドーハ世界柔道選手権2023完全ガイド)
監修:eJudo編集部

タシケント世界柔道選手権2022での記事

ABE Hifumi
25歳 1997/8/9
WR:9位 組み手:右組み

得意技:右背負投、右袖釣込腰、右大外刈
使用技:右小外刈、右小内刈、右大内刈、右一本背負投、左一本背負投、右大腰、右内股

東京五輪金メダリスト。世界選手権でも2度(2017年、2018年)優勝している。2014年に史上最年少となる17歳2ヶ月で講道館杯を制するなど、高校時代から世代の旗手として高い注目を浴びてきた。東京五輪では妹の阿部詩とともに五輪史上初の兄妹同日優勝を達成した。兄妹揃って日本スポーツ界の顔として扱われる、ジャンルを超えたスターである。

世界選手権2連覇中(2019年、2021年)の丸山城志郎(ミキハウス)とはライバル関係。直接対決の戦績は5勝4敗、2020年12月に行われた異例の「ワンマッチ」による五輪代表決定戦を含めてもっか阿部が3連勝中。

優れた動体視力と抜群の体の力、そして異様なまでの肩の柔らかさという特徴をフルに活用した「居合い抜き」スタイルが最大の特徴。引き手一本で遠間に構え、ここぞと見れば畳を蹴って一瞬で相手の懐に飛び込む。 “遠間からひと呼吸で打点の高い担ぎ技を打ち込む”、極めて高い資質が要求されるこの型で戦う選手は、世界にもほとんどいない。使う技はほとんどすべてが大技。とにかく華のある選手である。

技術的には決めの上手さが出色。遠間から作りなく、しかも一瞬で持ちどころを定めて投げねばならない「居合い抜き」技はどうしても仕掛けの段階では不十分になりがちなのだが、これを補うべく、阿部はインパクト後のフォローが抜群に上手い。相手の体を乗り越える、足を継ぐ、回転方向を変える、こういったパーツを組み合わせて背中を着かせることに長けており「体をしっかりぶつけさえすれば最終的には『一本』」という独自の世界を築き上げている。

大学時代後半は柔道が単調となり、勝ち星の一方で内容的には停滞の感があったが、社会人となってから一気に技術のレベルが上がった。足技を上積み、組み手の手札を増やし、また丸山城志郎との対決に備える中で、かつて苦手だったケンカ四つ相手の方法論を一気にレベルアップさせた。独自のスタイルゆえなかなか角を伸ばす方向が見いだせなかったのだが、引き手で近い襟を掴んでの大外刈など、己の特徴をうまく生かし、「投げる」帰結と「負けない」進退を両立させている。直前の稽古を見ると、低い右背負落やかつて挑んだ左一本背負投も積極的に仕掛け、これも意外に嵌まる気配があった。さらに一段レベルの上がった戦いを見せてくれるはずだ。

おもな戦績

2021年 東京五輪 優勝
2018年 バクー世界選手権 優勝
2017年 ブダペスト世界選手権 優勝

最近の成績

2022年7月 グランドスラム・ハンガリー 優勝
2022年4月 全日本選抜体重別選手権 優勝
2021年7月 東京五輪 優勝

更新日:2022年10月5日(タシケント世界柔道選手権特集)
監修:eJudo編集部

東京2020オリンピックでの記事

ABE Hifumi
23歳 1997/8/9
WR:5位 組み手:右組み
得意技:右背負投、右袖釣込腰、右大外刈
使用技:右小内刈、右小外刈、右大内刈、左一本背負投、右大腰、右内股

2014年に史上最年少となる17歳2ヶ月で講道館杯を制し、以降この世代の旗手として常に注目を浴びてきたスター。リオ五輪代表には間に合わなかったが、続く2017年、そして2018年と世界選手権を連覇。ライバル丸山城志郎(ミキハウス)との激しい鍔迫り合いの末、2020年12月に行われた異例のワンマッチによる「決定戦」を制して五輪代表の座を勝ち取った。柔道というジャンルを飛び越え、東京五輪におけるこの世代のアスリートの「顔」として扱われるシンボリックな存在である。

優れた動体視力と抜群の体の力、そして異様なまでの肩の柔らかさという特徴すべてをフル活用した「居合い抜き」スタイルが持ち味。引き手一本で遠間に構え、ここぞと見れば畳を蹴って一瞬で相手の懐に飛び込む。投げと同時に叩きこむ釣り手の持ちどころは片襟、両袖、背中とすべてが超攻撃型。あ、と思った瞬間には体をぶつけられた相手が既に高々浮き上がり、阿部は決めの方向を探っておのが体を操作中。この一瞬の「間」、そしてその後の決めが巻き起こすカタルシスはまさに柔道の醍醐味。“遠間からひと呼吸で打点の高い担ぎ技を打ち込む”、極めて高い資質が要求されるこの型で戦う選手は世界にもほとんどいない。使う技はほとんどすべてが大技。とにかく華のある選手である。

技術的には決めの上手さが出色。遠間から作りなく、しかも一瞬で持ちどころを定めて投げねばならない「居合い抜き」技はどうしても仕掛けの段階では不十分になりがちなのだが、これを補うべく、阿部はインパクト後のフォローが抜群に上手い。相手の体を乗り越える、足を継ぐ、回転方向を変える、こういったパーツを組み合わせて背中を着かせることに長けており、「体をしっかりぶつけさえすれば最終的には『一本』」という独自の世界を築き上げている。

近年は足技の進境著しく、右小外刈や、所属の先輩・髙藤直寿(パーク24)ばりの右小内刈も用いている。独自過ぎるスタイルゆえこの単に技を増やしてもなかなか足し算にならず、柔道の幅が広がらなかったのだが、このふたつの足技は嵌った。小外刈は攻撃の起点として、小内刈はこれに留まらぬ決め技として阿部の柔道のレベルを一段押し上げてくれた。間違いなくリオ後もっとも「強い」状態で本番に臨む阿部の活躍に期待したい。

おもな戦績

2019年 東京世界選手権 3位
2018年 バクー世界選手権 優勝
2017年 ブダペスト世界選手権 優勝

最近の成績

2021年4月 グランドスラム・アンタルヤ 優勝
2020年12月 東京五輪代表決定戦 勝利 ※ワンマッチ形式
2020年2月 グランドスラム・デュッセルドルフ 優勝

更新日:2021年7月18日(東京オリンピック特集)
監修:eJudo編集部

東京世界柔道選手権2019での記事

ABE Hifumi
22歳 1997/8/9
WR:3位
組み手:右組み
得意技:右背負投、右袖釣込腰、右大外刈
使用技:右小外刈、右大腰、右大内刈、左一本背負投、右内股

世界選手権2連覇中の現役世界王者。2014年に史上最年少となる17歳2ヶ月で講道館杯を制し、以降この世代の旗手として常に注目を浴びてきた。昨年の世界選手権では妹の詩とともに史上初となる兄妹同日の世界王座獲得を成し遂げ、いまや柔道というジャンルを飛び越えて、東京五輪におけるこの世代のアスリートの「顔」として扱われるシンボリックな存在である。

投げ一発の威力がクローズアップされることが多いが、最大の特徴は「相手の背中を畳に着ける」能力。ほとんどの投げで、相手の身体を乗り越える、足を継ぐ、あるいは回転の方向を変える、と状況に即したフォローを加えて回旋力を一段も二段も増し、無理やり背中を着かせて「一本」に繋いでいる。この決めの巧さと常識外れの肩の柔らかさが、さほどの崩しや作りを経ずに「いきなり入って投げ切ってしまう」一見強引な阿部の投技成立の因。投げ一発をアイデンティティとする選手は数多いが、その中にあってもちょっと珍しいタイプである。

ただし昨年の世界選手権を制して以降、成績は下降気味。3大会連続で優勝を逃したばかりかこの間ライバルの丸山城志郎に2連敗を喫しており、扱いの大きさに比して実は競技成績的にはかなり行き詰った状況でもある。周囲の研究に技術の進化が追いついていないことがその因と観察されるが、4月の全日本選抜体重別選手権では新兵器の右小外刈を導入するなど本人もこの技術的閉塞を打破しようと必死。今までのやり方だけでは勝ち抜けなくなってきた状況で迎える今大会、どんな新モードを持ち込んでくれるかに期待。

おもな戦績

2018年 バクー世界選手権 優勝
2017年 ブダペスト世界選手権 優勝
2014年 講道館杯 優勝 ※史上最年少

最近の成績

2019年4月 全日本選抜体重別選手権 2位
2019年2月 グランドスラム・パリ 2回戦敗退
2018年11月 グランドスラム大阪 2位

更新日:8月11日(東京世界選手権2019特集)

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