飯田健太郎(旭化成)

飯田健太郎(旭化成) IIDA Kentaro

IIDA Kentaro
24歳 1998/5/4
WR:10位 組み手:右組み

得意技:右内股、右背負投
使用技:右大内刈、右小外刈、右大外刈、左小外刈、右払腰、右一本背負投、右袖釣込腰、左内股(やぐら投げ)、裏投

2018年アジア競技大会王者。高校3年生で出場した2017年グランドスラム・パリに優勝、ニュースター現わると世界を驚かせた逸材。しかし、以降は世界王者ウルフアロンに蓋をされる形でなかなか世界大会の檜舞台を踏めず、初出場は2021年ハンガリー世界選手権。しかし3回戦で敗れ、2回目の挑戦となった昨年のタシケント世界選手権もまさかの2回戦敗退。今大会で、3度目の正直となる初優勝を目指す。

昨今珍しいほどの本格派スタイル。袖と前襟、あるいは奥襟の二本を持って戦う正統派であり、得意技は代名詞でもある右内股。切れ味抜群、さらに跳ね上げて、ケンケンで追って、前に引き出して、飛び込んで、あるいは釣り手側に呼び込んでと「すべてを内股で解決」とでも言わんばかりにバリエーションが多彩。大学時代には低い右背負投も修得。この「表(高い内股)と裏(低い背負投)」の対の関係をなす2つの大技で柔道を構成する。足技のセンスも非凡で、特に相四つ相手の左出足払は芸術的な切れ味。長身痩躯の飯田が背筋をピンと伸ばし、足技で崩し、得意の内股で次々「一本」を奪う様には、これぞ日本柔道とファンの心を激しく揺さぶるものがある。

課題は、海外のパワーファイターと比較したときの線の細さと、技の威力が高すぎるがゆえに成長が遅れた感のある組み手、そして間合いの管理の甘さ。国際大会での失点の多くが、地力が上の海外勢に不用意に密着を許してのものだ。地力も上がっているのだが、怪力自慢が揃う100kg級にあっては平均より下。パワーの関与する割合の大きい接近戦では、一方的に不利を押し付けられることになってしまう。とはいえ、飯田の柔道からすれば問題は地力ではなく、容易に間合いを詰められてしまう組み手と間合いの管理の方。今大会でも、いかに組み手厳しく自らの距離を維持できるかが勝利の鍵となるはずだ。

おもな戦績

2018年 ワールドマスターズ青島 3位
2018年 アジア競技大会 優勝
ワールドツアー 表彰台12度(優勝4度)

最近の成績

2022年12月 ワールドマスターズ・エルサレム 予選ラウンド敗退
2022年12月 グランドスラム東京 2位
2022年10月 タシケント世界選手権 予選ラウンド敗退

更新日:2023年4月29日(ドーハ世界柔道選手権2023完全ガイド)
監修:eJudo編集部

タシケント世界柔道選手権2022での記事

IIDA Kentaro
24歳 1998/5/4
WR:10位 組み手:右組み

得意技:右内股、右背負投
使用技:右大内刈、右小外刈、右大外刈、左小外刈、右払腰、右一本背負投、右袖釣込腰、左内股(やぐら投げ)、裏投

2018年アジア競技大会王者。高校3年生で出場した2017年グランドスラム・パリに優勝、ニュースター現わると世界を驚かせた逸材。しかし、以降は世界王者ウルフアロン(了徳寺大職)に蓋をされる形でなかなか檜舞台を踏めず、昨年ついに初の世界選手権代表の座を得るも、結果は3回戦負け。今年4月の全日本選抜体重別選手権でも羽賀龍之介(旭化成)に敗れて3位に終わるなど、苦しんでいる。今大会はウルフの五輪後の休養と、国内にほかに派遣基準を満たす選手がいないことから手にした2度目のチャンス。7月のグランドスラム・ハンガリーで優勝するなど復活の兆しもあり、パリ五輪に向けてここはぜひとも優勝が欲しいところ。

スタイルは「本格派」。袖と前襟、あるいは奥襟を持って戦う正統派であり、得意技は抜群の切れ味を誇る右内股。跳ね上げて、ケンケンで追って、前に引き出して、飛び込んで、あるいは釣り手側に呼び込んでと「すべてを内股で解決」とでも言わんばかりに実に多彩な方法論を持っている。さらに大学時代には低空の右背負投も修得。この「表(高い内股)と裏(低い背負投)」の対の関係をなす2つの大技が飯田の柔道の軸だ。足技のセンスも非凡なものを持っており、特に相四つ相手の左出足払は芸術的な切れ味。長身痩躯の飯田が背筋をピンと伸ばし、足技で崩し、得意の内股で次々「一本」を奪う様には、これぞ日本柔道とファンの心を激しく揺さぶるものがある。

課題は、海外のパワーファイターと比較したときの線の細さと、技の威力が高すぎるがゆえに国内の試合では放置されていた組み手、そして間合いの管理の甘さ。国際大会での失点の多くが、地力が上の海外勢に不用意に密着を許してのものだ。地力も上がっているのだが、怪力自慢が揃う100kg級にあっては、中堅層まで含めても平均より下。パワーの関与する割合の大きい接近戦では、一方的に不利を押し付けられることになってしまう。とはいえ、飯田の柔道からすれば問題は地力ではなく容易に間合いを詰められてしまう組み手と間合いの管理の方。今大会でも、いかに組み手厳しく自らの距離を維持できるかが勝利の鍵となるはずだ。

おもな戦績

2018年 ワールドマスターズ青島 3位
2018年 アジア競技大会 優勝
ワールドツアー 表彰台10度(優勝4度)

最近の成績

2022年7月 グランドスラム・ハンガリー 優勝
2022年6月 グランドスラム・ウランバートル 5位
2022年4月 全日本選抜体重別選手権 3位

更新日:2022年10月10日(タシケント世界柔道選手権特集)
監修:eJudo編集部

ブダペスト世界選手権2021での記事

IIDA Kentaro
23歳 1998/5/4
WR:21位 組み手:右組み
得意技:右内股、右背負投
使用技:右大内刈、右小外刈、右大外刈、左小外刈、右払腰、右一本背負投、右袖釣込腰、左内股(やぐら投げ)、裏投

2018年ジャカルタアジア競技大会金メダリスト。高校3年生で出場した2017年グランドスラム・パリに優勝、ニュースター現わると世界を驚かせた逸材である。しかし世界王者ウルフアロン(了徳寺大職)に蓋をされる形でその後なかなか檜舞台を踏めず。今春から旭化成所属となったこのタイミングで、ついに世界選手権初出場の栄を得た。

得意技はこれぞ日本柔道という切れ味の右内股。跳ね上げて、ケンケンで追って、前に引き出して、飛び込んで、あるいは釣り手側に呼び込んでとその方法論は実に多彩。加えて大学時代には低空の右背負投も修得。この「表(高い内股)と裏(低い背負投)」の対の関係をなす2つの大技がいまの柔道の柱だ。足技のセンスも非凡、特に相四つ相手の左出足払は芸術的な切れ味を誇る。長身痩躯の飯田が背筋をピンと伸ばし、足技で崩し、得意の内股で次々「一本」を奪う様には、これぞ日本柔道とファンの心を激しく揺さぶるものがある。

あまりに柔道が綺麗であるゆえの、展開の繊細さが積年の課題。しかし昨秋の講道館杯と今年4月の全日本選抜体重別選手権では逞しい柔道を披露していずれも優勝。パワーで技術を塗りつぶしてくる肉体派や罠を張って待ち構える曲者タイプ、これまで苦手にしていた型の選手をまったく問題にしなかった。才能に見合った結果を得るための準備がついに整いつつある印象だ。天才の名をほしいままにした高校時代を考えれば、まだ世界を獲っていないことがむしろ不思議。ついに世界の舞台に立つ飯田の、満を持しての頂点獲りに期待したい。

おもな戦績

2019年 グランドスラム・デュッセルドルフ 優勝
2018年 アジア競技大会 優勝
2017年 グランドスラム・パリ 優勝

最近の成績

2021年4月 全日本選抜体重別選手権 優勝
2020年 全日本選手権 3回戦敗退 ※無差別
2020年 講道館杯全日本体重別選手権 優勝

更新日:2021年6月3日(ブダペスト世界選手権2021特集)

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