[速報戦評]今週末は73kg級の世界王者3名が揃って大会に参戦、グランプリアンタルヤ2019に登場のアン・チャンリンはルスタン・オルジョフを破り優勝
5日からトルコのアンタルヤで開催されているグランプリ・アンタルヤ2019。2日目に行われた73kg級には現役世界王者のアン・チャンリン(韓国)が出場し、決勝でルスタン・オルジョフ(アゼルバイジャン)をGS延長戦での小外刈「一本」で破り優勝を飾った。 日本ではきのうから平成31年全日本選抜柔道体重別選手権大会(福岡国際センター)が行われており、最終日となるきょう7日は、この73kg級にリオデジャネイロ五輪金メダリストの大野将平(旭化成)と2017年ブダペスト世界選手権王者の橋本壮市(パーク24)が揃って出場する。両者は勝ち上がれば決勝で対戦予定。
【グランプリ・アンタルヤ73kg級決勝】
アン・チャンリン(韓国)○GS小外刈(GS3:10)△ルスタン・オルジョフ(アゼルバイジャン)
アン、オルジョフともに左組みの相四つ。組み手争いから試合が始まり、35秒、両者に取り組まないことによる「指導」が与えられる。しかし、これ以降も組み手争いは継続。相手の袖を絞って担ぎ技を狙いたいアンに密着しての勝負を志向するオルジョフと、両者の柔道は全く噛み合わない。ともに組み際の技を狙うのみで大きな動きがないまま試合は本戦終盤まで進み、3分39秒に両者に再び取り組まないとして「指導2」が追加される。この「指導」は直後にアンの側のみが取り消され、「指導1」対「指導2」でアンがリードして試合はGS延長戦へ。延長戦に入るとまずアンが技を連発して流れを作りに掛かり、右小内刈からの右背負投、右袖釣込腰、左方向への「韓国背負い」と技を繋ぐ。しかし、オルジョフも懐の深さを生かしてこれを凌ぎ、アンの伏せ際にカウンターの隅返を狙ってと一歩も退かず。しかし、GS1分を過ぎた頃からアンがギアを上げると、オルジョフは疲労のためかこれについてこれず、アンが右袖釣込腰、右浮腰とあと一歩でポイントという惜しい技を連続する時間帯が生まれる。アンとしてはこのまま一気に勝負を決めてしまいたいところだったが、指のテーピングが取れてしまい試合が一時中断。これによりオルジョフに休む時間が生まれ、再開直後からは反対にオルジョフが隅落、左大内刈とポイント級の技でアンを攻める。このオルジョフ有利の時間帯を経てのGS2分48秒、オルジョフが強引に右小外掛を仕掛けるとアンは左大内刈でこれを迎え撃ち浴びせ倒す。常ならば「技有」でもおかしくない場面であったが、オルジョフ必死に身を捩って腹這いで回避する。直後のGS3分10秒、オルジョフが前段の攻防でやや弱気になったか組み手を嫌って後退すると、アンは釣り手を片襟に差して左小外刈。オルジョフの重心移動の際を完璧に捉えてハンドル操作で浴びせ倒す。既に体力の切れかかっていたオルジョフは力なくゴロリと転がり落ちて「一本」。アンが今年最初の大会を優勝で飾った。
[参考]決勝動画(IJF公式)は下記。